さんまの焼き方研究

スーパーに炒ったら秋の名物、サンマがもう出ていました。塩焼きにするのが一番、おいしい魚です。

昔は冷凍技術が確立されておらず、品質が落ちた冷凍サンマが出回っていましたが、ここ十年はほとんど差がない(調理で充分、カバーできるレベル)くらいになりました。今日はサンマの焼き方研究です。

サンマを家で焼くときはどうされていますか? 七輪で炭火を起こし、焼くのが一番おいしいですが、家では難しいところ。最近は煙が出ないような魚焼きグリルも発売されているようですが、フライパンでもいくつかのコツを使えばおいしく焼けます。

まず、フライパンでさんまを焼く場合は内臓は抜いておいたほうが無難。内臓はほどよい苦味が美味しいのですが水分が多いため、火の通り具合が計算できませんし、水分で皮がぱりっと仕上がりません。

サンマの塩焼きのポイントは塩。どれくらいの前から塩を振っておくのがいいのでしょうか。塩の量はさんまの重量の3%が目安です。普段は1%の塩で焼くことが多いので、かなり多いな、と思うかもしれませんが脂の多い青魚はこれくらいの量振ります。

ふり塩は魚によって塩の量が異なります。鯛などの白身の魚は2%の塩、鯖やさんまなどの青い魚には3%が目安。これは脂肪の量の違いによるものとされています。とはいっても『魚肉調理におけるふり塩について』(上柳富美子)という論文のなかで「分含量がサバより10%も多いタチウオがサ バより浸透しにくいという 例外が認められた」とあり、そう簡単には言い切れないのですが。

そんなの計ってられないよ、という方は写真を目安にしてください。まんべんなく塩が振られている状態でちょうど3%です。今回は塩を振って

すぐに焼く
5分待って焼く
15分待って焼く
30分待って焼く

の4パターンを試してみます。

中火にかけたフライパンに植物油を小さじ1敷いて、さんまを焼きます。表になる面を先に焼きますよ。

蓋をして蒸し焼きにします。ただし、最後まで蓋をすると皮がぱりっと仕上がりません。5分ほど焼いたら蓋をとります。

裏返して、溶け出した脂をキッチンペーパーなどで丁寧に拭き取ります。裏面は蓋をしないで焼いていきます。香ばしく焦げ目がついたら、さきほどの表面をもう一度焼いて、ぱりっとさせます。酸化した脂を拭き取りながら焼くのがコツです。

焼き上がりました。目安は10分です。サンマは脂が多いため火が通りすぎてパサパサになるリスクは低いので、おおらかな気持ちで焼いても大丈夫。

時間差でどんどん焼いていきます。

比較のために冷ましてから試食します。(とはいっても被験者は三人だけですが)結果は時間をおかずに焼いたものは評価が一番低く、15分経ったものと30分経ったものに味の違いはとくにありませんでした。一番美味しいという声が多かったのは5分置いてから焼いたもの。感想としては「塩気の具合が一番良かった」というものでした。ちなみにある実験によると、全魚種において塩は30分ほどで浸透し、それ以降はあまり差がないようです。

ところで三陸の漁師さん達から「塩を振って一晩置いたサンマが旨い」という話を聞きました。ちょっと試してみましょう。

塩を一杯振って(3%〜4%)、一晩寝かせます。一晩とレシピで言えば6時間以上が目安です。

一晩、置いたサンマの表面を水で洗います。この工程によりトリメチルアミンという臭みのもととなる成分が物理的に除去されます。また、塩によってタンパク質の一部が変性し、保水性が向上。よりしっとりするはずです。

ペーパーで拭きます。

お腹のなかもしっかり拭き取ってくださいね。お腹のなかは脂質が多いため、臭みも出やすい部分。ここで丁寧に拭きとっておくと仕上がりに差がでます。

同じように焼きました。しっかりとした旨味を感じ、また臭みも少ないようです。旨味を強く感じるメカニズムはアミノ酸が魚の表面に移動し、それがメイラード反応を起こした(焼き色が強いのがわかりますか?)からでしょう。時々、塩を振ると旨味が増えるという記述をしている料理書がありますが、アミノ酸の量自体は変わりません。

しかし、さすが漁師さんは魚の美味しい食べ方を知っているといったところ。ただ、保水性が向上するという仮説を立てていましたが、ふわっとした食感はなくなるようです。そこで最初に振る塩に砂糖を混ぜることにしました。

塩80gに対してグラニュー糖20gの割合で混ぜたものを振って、一晩寝かせます。同じように水洗いしてから、水分を拭き取り焼きました。

水分を拭きとっているときから身の違いがわかります。さんまにみずみずしさが残っているのは砂糖の力。砂糖は塩よりも早く浸透するので、水分をなかにとどめてくれるのです。

さんまには旨味がたっぷり含まれ、みずみずしさも残っています。

断面からもみずみずしさが伝わるか、と思います。塩をしておくことで保存性も向上しますし、今のところこれがベターです。サンマの塩焼きは理想的には「塩と砂糖を混ぜたものを振り一晩寝かせ、水洗いしてよく水気を拭き取ったのちに焼く」という結論です。とはいえ一晩なんて待てないよ、という方はせめて5分待ってください。塩を振ってすぐに焼くとなかまで浸透する時間が足りないようです。

あ、あと、骨際に火が入らないという悩みがあるか、と思います。

その場合は真ん中の身の厚い部分切れ目を入れて焼くと火が入りやすいです。

あとの焼き方は基本と同じです。

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コメント2件

興味深い実験でおもしろかったです。
来年の秋には、ぜひ試してみます。
ただ、サンマと言えば内臓(ハラワタ)だと思っているので、ぜひ内臓も美味しく食べられるレシピを開発して欲しいです。
身だけ食べるのは、味気ないんですよね・・・。
こちらのレシピがサンマを開いて骨を除去し、洗った内臓を戻して、はさみ焼きにするという面倒な料理ですが内蔵をおいしく食べられるレシピか、と思います。https://note.mu/travelingfoodlab/n/n96a5843ec499

サンマの内臓を食べる時にはアニサキスに注意してくださいね。
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