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鰺の三枚おろし

お魚、三枚におろせますか?  今日は復習です。

小さくて骨の薄い鰺は大名卸しにするのが一般的。Youtubeにアップされているこちらの服部学園の監修の動画でも大名卸しにしていますね。

ちなみに動画のタイトルは「さばき方」になっていますが、丸の魚を切りわけることは「おろす」と言うので注意。「さばく」は下処理全般をさし、二枚おろしや三枚おろしという言葉はありますが、二枚さばきや三枚さばきという言葉はありません。魚はおろすもので、肉は大抵さばくものです。(ちなみにスッポンの解体は「ほどく」と言います)

さて、大名おろしは「大名のように贅沢なおろし方」と呼ばれていますが、包丁を入れる回数が少ないため、プロも好んで用います。大名おろしは動画を見ればいいので、今日は普通の三枚おろしを復習します。

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鯵を用意しました。家庭ではまな板には新聞紙を敷いておくと汚れずに便利です。新聞に使われている大豆インクや植物油インクの安全性が気になる方はコピー用紙でも大丈夫。まな板を汚すよりはずっとマシです。まな板に水を流しながら処理することは、魚が水を吸ってしまうので避けましょう。

使っている包丁はごく普通の「文化包丁」です。鯵などの魚を下ろす際には刃が薄 いほうが都合がいいので、出刃包丁は必要ないかも。まず包丁の先で背から頭にむかってこそぐようにして鱗を落とします。鯵はうろこが小さいですし、皮を剥いて使う場合などは省略してもなんとかなりますが、一応念のため。

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鯵には「せいご」と呼ばれる鱗が尾から頭に無かってついています。しっぽのあたり に包丁を入れ、包丁を前後に動かすようにしてせいごをとっていきます。手は鯵の頭を抑えるようにしましょう。この時、包丁がすべって左手を切ることがありますので、要注意。包丁を前後に動かして、持つ手には力をいれないことが手を切らないコツ。
指で触ってもいい場所は頭と尾だけと心得てくだ さい。指で魚を抑える場合は、写真のように頭を抑えること。この後の工程で魚の身を抑える場合は指ではなく、掌を使います。

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反対側も同じように。なるべく身をつけないようにしましょう。ちなみにお魚屋さんがよくやる手法に包丁をまな板に押しつけるようにして、下側のせいごを切りとるやり方があります。手を切る心配もなく、仕事も早いのがメリット。身がつきやすいというデメリットもありますが、慣れるとこっちのほうが便利です。

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背びれの下に包丁を入れ、頭を落とします。この時はやや斜めに切り落とすと無駄が ありません。あくまで包丁は前後に動かしてくださいね。包丁に血がついた場合は都度、ふき取ります。

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次に肛門のあたりに向かって縦に包丁を入れ、お腹のあたりを切り落とします。この 場合もなるべく左手の指は魚を抑えないように注意!

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包丁の先をつかって内臓を抑え、引っ張れば内臓がとれます。

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水道水で洗います。魚が水に触れるのは基本的にこの場面だけです。お腹の内側はよ く洗いましょう。この後、キッチンペーパーなどで水気を拭き取ります。

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まな板に戻し、いよいよ三枚におろしていきます。包丁をいれる順番は一般的に腹、 背、背、腹。腹皮から尾に向かって包丁を入れていきます。左手は指ではなく掌を使い、魚を固定します。包丁は背骨と平行に、刃先ではなく刃全体を使うようにします。刃渡りを長く使うように心がけましょう。中骨までいったら、魚の向きを変えます。

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背側から包丁を入れていきます。魚に添 わせるようにして、包丁を入れていきます。中骨まで切りました。

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最後に腹骨(人間で言うと肋骨ですね)がくっついています。この部分を包丁の刃先 で外します。慣れれば必要ありませんが、はじめのうちは写真のように魚を開いて位 置を確認しましょう。

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上身がはずれました。

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再び背皮から包丁を入れていきます。同じように刃渡りを大きく使ってください。

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中骨までいきました。左手はよく猫の手にといいますが、 魚をおろすときに限っては猫の手は使いません。あくまで点ではなく面で抑えるように。

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最後に腹側から身を外していきます。最後に腹骨がありますから、包丁の刃先をつか って外していきます。魚を下ろす場合の手を切ってしまうときというのは包丁の刃が左手を向いている場合 です。そうした瞬間に力を入れすぎたりすると思わず......失敗してしまうわけで、包 丁の角度をまな板に向けるように心がけていれば手を切る頻度は低くなります。また 左手を包丁の位置関係が離れていればさらに危険性は下がります。

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三枚におろせました。

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腹骨をすきとります。この場合も包丁を大きく動かしてください。

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最後は包丁を立てて、切り落とします。最後まですきとろうとすると誤って手を切る 原因になります。包丁の刃が左手を向いてなければ手を切るリスクは下がります。

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ちなみに皮を剥き時は頭から尾に向かってです。この時も左手が重要で指先ではな
く、なるべく面で魚の身を抑えるようにしましょう。
ここまでしてしまえばあとはいかようにもなりますが、小骨が気になります。骨抜き で抜いてもいいのですがこれぐらいの小さな魚ですと別の方法があります。

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小骨の位置を指先で確認するとまっすぐに走っていることがわかると思います。そこ でまず腹側の身を縦に切り落としてしまいます。

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次に小骨が走っている部分を切り落とします。これで骨が気になりません。お刺身や アジフライなどにする場合に知っておくと便利です。中骨が切り落とした血合いの部 分は味噌汁に入れると美味しく食べることができます。

魚をおろすには骨格を理解すること。鯵は背骨が平らなので、おろしやすい魚。 他に料理の本ではありませんが『新魚類解剖図鑑』は魚の骨格について知るにはこれ以上ない本なので読んでおくと参考になります。ご興味のある方は参考にしてみてください。とりあえず今日はこんなところで。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!