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小豆シリーズ『かぼちゃのいとこ煮』の作り方

かぼちゃのいとこ煮の作り方のリクエストがあったので、ご紹介します。今回のいとこ煮は奈良の郷土料理です。これ、昔の料理なので時間がかかります。しかし、時間を短縮しようと缶詰の煮小豆でつくったりするとまったく別の味になるので、のんびりとリラクゼーションのつもりでつくりましょう。

いとこ煮は日本国語大辞典によると「小豆、または豆と野菜の寄せ煮料理。全国に広く行われ、正月、事八日、盆、祭礼、収穫祭などに食べる。新撰を集めて煮ることにはじまり、雑煮と同じ風習」とあります。料理屋さんではアワビを大豆や小豆と一緒に煮る料理を『いとこ煮』として出しているところがあると思いますが、新撰から来たものだと考えると納得です。

「語源としては煮えにくいものから「追い追い」入れて煮るところから「甥甥」にかけて名付けたなどの説もあるが、野菜ばかり煮るところから、近親関係のいとこにかけてしゃれたものか」

とあるとおり、まず硬い小豆を炊き、その煮汁でかぼちゃを煮ていきます。

かぼちゃのいとこ煮
かぼちゃ 400g〜500g程度(種とワタをとる)
小豆    50g
砂糖    大さじ2
醤油    大さじ1

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まずは小豆を炊いていきます。小豆50gと水200ccを鍋に入れて、中火にかけます。

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沸騰してきたら300ccの水を加えて温度を下げます。この工程により、表面と内側の温度差をなくし、効率的に吸水させつつ、火を入れていきます。

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弱火でことこと煮ていきます。

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あんこをつくる場合は渋切をしましたが、いとこ煮の場合はタンニンが味のボディになるので、そのまま煮ていきます。ここらへんが煮小豆を使うと違うものになるという理由です。炊く時間の目安は1時間。

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1時間経過。つまんで食べるとポクポクした感じの食感だと思います。あんこをつくるときは指で潰れるほどやわらかくしましたが、いとこ煮の場合はこの状態で大丈夫。

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かぼちゃは種とワタをとり、皮を縞に剥いておきます。これが大変なんですよね……。かぼちゃをまな板に置いて、皮を削るように切ったほうが安全です。

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皮を下にして鍋に並べます。

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そこに水150ccとさきほどの小豆を煮汁ごと加えます。ひたひたよりもすこし少ないかな、くらい。

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中火にかけて沸いたら弱火に落として、落し蓋をして10分間炊きます。

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10分経過した段階で小豆が煮崩れる前に砂糖を加えます。落し蓋を戻して、5分間煮含めます。

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火を止めて、醤油を加えて冷まします。かぼちゃの煮物は熱々を食べるものではなく、人肌よりすこし温かいくらいを食べるものです。目安としては50℃くらい。

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小豆が崩れていないのが特徴。この小豆とかぼちゃの量も結構難しくて、あまり小豆が多いと飽きるので、50g程度に留めておくのが懸命。

最初に別物になると来ましたが、簡単につくるなら蒸し小豆を使うという手もあります。蒸し小豆はゆであずきよりも風味が残っているので具合がいいのです。これならかぼちゃ、水、砂糖、蒸し小豆を鍋に入れて落し蓋をして15分煮た後、醤油を加えて冷ますだけでOK。ただ、小豆ポリフェノールを摂取したければやはり自分で時間をかけて小豆を炊くという形になりますね。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!