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鶏肉の蒸しスープ

中国料理のスープの技法を使った鶏肉の蒸しスープです。どこが21世紀料理やねん、という感じですが、中国料理の技法を他の料理に応用する点に新しさがあります。

鶏ひき肉 100g
卵白   1個
塩    小さじ1/4
胡椒   適量
スープ  200cc

スープは固形ブイヨンを薄めに溶かしたものを使います。(ブイヨンキューブ1個に対して水600ccを溶かしました)今回は昆布を入れて、煮立てています。後から混ぜる肉に火が通らないように、冷ましておくのが最初のコツです。

鶏肉に卵白と塩、胡椒を入れて混ぜ合わせます。ここにショウガやネギなどを加えると中国料理風の香りになります。戻した干し貝柱なんかを入れてもいいですね。塩加減はスープにあわせて調節してください。

手で混ぜながら、スープを少しずつ加えていきます。

どろどろの状態になりました。

加熱に耐えられる茶碗蒸しの器などに入れて蒸します。

とはいえうちには蒸し器がないので、湯を張った鍋に容器を並べて加熱しました。まー、なんだっていいのです。なかの水分が沸騰したら火を限界まで弱火にして、蓋をして10分間。

鶏肉に火が通ればOK。豚肉を使った蒸しスープの場合は味が出るまでもう少し時間がかかりますが、鶏肉は味が出るのが早いので手軽です。

蒸すことによるメリットは対流が起きずらい、ということ。熱を加えることで起きる対流を〈熱対流〉といいます。普通、スープをとる場合は液体の上部が冷やされ、下部は熱い、という状態ができます。液体は一般的に温度が高いほど表面張力が小さくなり、逆に温度が低いと表面張力が大きくなるので、この場合は熱いところから冷たいほうに液体が引っ張られます。この表面の動きが液体の内部に伝わり、対流が起きるのです。(マランゴニ対流という現象ですね)

蒸し器を使うと上下の温度差が出ないうえ、全体の温度がゆっくりと上がるので、対流が起きずらく、沸点以下の温度で加熱できます。そのため、肉が散ることなくそのままの状態で固まり、澄んだ仕上がりになります。アクセントに浮かべるなら水で戻したクコの実とかでしょうか。

スプーンで肉団子を食べながら召し上がってもらいます。

肉(と卵白の)のタンパク質が凝固する過程でまわりの不純物などを抱え込むので、透明なスープができます。ここから先は家庭のキッチンではなく、現場の話になりますが、この蒸す方式、クリアーなスープをとるのには非常に便利な手法です。つまり、クリアーなコンソメやフォン類、ジュをとりたいのであればスチコンにすべての材料を入れて95℃のスチームモードで加熱すればいい、ということになります。鍋底が焦げるという心配もありませんが、この方式を使う場合は途中でアクがとれないので、それなりにいい品質の材料を使うことが前提条件になります。また、鍋肌でメイラード反応が起きないので、仕上がりは若干変わります。新しい技法として憶えておくのがいいでしょう。

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樋口直哉(TravelingFoodLab.)

樋口直哉 作家・料理家 主な著作として小説『スープの国のお姫様』(小学館)ノンフィクション『おいしいものには理由がある』(角川書店)など。新刊『新しい料理の教科書』が1/17日に発売されました!

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