見出し画像

締めの一口カレーの作り方

市販のカレールーを使ったカレーというリクエストにお答えして、今回は締めの一口カレーのレシピです。

カレーのレシピにはいくつかの流派があり、基本的にはインドカレー方式と欧風カレー方式にわかれます。インドカレー方式は玉ねぎと肉類、スパイスを炒めたところに水を加え、希釈したもの。短時間で仕上げるので、スパイスの風味がいきた仕上がりになりなす。一方の欧風カレーは肉類を長時間煮込み、そこにルーでとろみをつけて仕上げます。こちらはマイルドでコクがある仕上がりになるのが特徴です。

コース料理の最後のあたりに提供する一口カレーに求める味はさらさらと食べられ、しかも食欲を刺激するスパイシーさ。そのためにインドカレーや欧風カレーの作り方とは違い、スパイスの風味が溶けこんだスープをまず作り、そこに市販のルーを少量溶かし込む方式でつくります。

市販のルーを使うのでカレーにこだわりのある方には怒られそうですが、特徴は野菜を炒める時間10分+煮込み時間10分という短い加熱時間。手軽につくれるのが最大の魅力です。

締めのカレー
にんにく 2~3片(25g)
玉ねぎ 2分の1個(100g)
にんじん 2分の1本(100g)
セロリ 小1本~中3分の2本(100g)
サラダ油 大さじ3
しょうがの絞り汁 大さじ1
カレー粉 大さじ1(8g)
コリアンダー 小さじ1(2.5g)
クミン 小さじ2(5g)
カルダモン 小さじ1(2.5g)
クローブ 3本
赤唐辛子 2分の1本~
ローリエ 1枚
水 1L
コンソメキューブ 1個
市販のカレールー 90g~120g(今回はジャワカレー中辛)

材料が多いですが、カレーは複雑味こそがおいしさ、みたいなところがあるので、ある程度は仕方がないです。あと、締めのカレーなので、肉は入れずにつくります。

まずは野菜をすべてみじん切りに。硫黄化合物が含まれているニンニクとタマネギは、コクに貢献し、にんじんは糖分を担当します。セロリは清涼感を与えてくれるので、通常のカレーよりも多めに使っています。

鍋にサラダ油とにんにくを入れて、火にかけます。火加減は中火です。ニンニクの周りにふつふつと泡が出てきたら、弱火に落とします。

鍋をゆすりつつ、加熱していきます。木べらで混ぜるとニンニクが木べらに付着するので、鍋をゆすって混ぜたほうが効率がいいです。にんにくのいい香りがして、うっすらと焦げ目がついたら、、、

野菜を加えます。火を中火に強めて、しばらくじっくりと炒めましょう。

そのあいだにスパイス類を計量します。今回はヱスビーのカレー粉をベースに調整。カレー粉だけだとバランスのとれた普通の味になってしまいますので、そのバランスを崩します。秘密のスパイスは三つ。クミン、カルダモン、そしてコリアンダーです。これらのスパイスを加えることで 本格的にスパイシーな味わいを演出することができます。

クミンはカレーの香りのベース。ボディを強くするために使います。

カルダモンは高価なスパイスなので、市販のカレー粉には量が入っていません。これを大量に入れることで「スパイスカレー」っぽいニュアンスが簡単に出ます。カルダモンは魚料理にふりかけたり、カリフラワーにふりかけて焼いたりと使いみちは色々とあります。コリアンダー、クミン、カルダモン、クローブは省略してカレー粉に置き換えることができますが、これ1本だけでも買ってください。

コリアンダーはさわやかな香りで、個人的に好きなので入れています。

その他のスパイスです。ローリエとクローブは欧風カレーっぽいニュアンスが出るので入れていますが、省略することもできます。赤唐辛子は辛味担当。シャープな味が出ます。パウダーを使うと舌に辛味がきますが、ホールで使うといわゆる「後からくる辛味」が演出できます。

タマネギが色づいてきたら、カレー粉を投入。あめ色のタマネギの作り方はこちらの記事を参考にしてください。

カレー粉はすでに焙煎されているので、炒める必要はありません。すぐに野菜に混ぜ込んでしまってOK。

パウダースパイス類を加えますが、こちらは焙煎されていないので、野菜を寄せて鍋にスペースをつくったところに加えて、焦がすように強火で加熱します。油をこさじ1ほど足すと炒めやすいです。ここでスパイス類を加熱しておくと仕上がりに差が出ます。

とはいえ強火で長い時間加熱すると鍋が焦げつくので、火から外してショウガのおろし汁を加えて鍋肌の温度を下げます。

水とブイヨンキューブを加えて強火で沸騰させ、弱火でことことと10分間加熱します。

アクみたいな泡が浮いてきますが、肉や魚は入っていないので取り除く必要はまったくなし。

ザルなどでしっかりと濾しとります。これはフランス料理のテクニックですね。ミキサーにかけて、この野菜を食べてもいいのですが、締めのカレーなので仕上がりを軽くするため野菜を除去しています。

ルーによって小麦粉の割合が異なるので、このあたりのレシピ表記は難しいところ。今回はジャワカレーの中辛を使いました。基本的には1パックの半分が目安ですが、好みに応じて写真の分量まで(3/4パック まで)増やすこともできます。増やすのは簡単ですので、まずは半分入れて、後は少しずつ加えていきましょう。

締めのカレーなのでさらっとした感じに仕上げます。

出来上がり。インドカレー、欧風カレーのどちらでもない味わいで、ちょこっとだけ食べて美味しいカレーです。飲み会の最後に出すと喜ばれるたぐいのレシピです。スパイスを焦がすのはスリランカのカレーの手法。肉類を加えるなら少量のひき肉を入れても、こくが出ます。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!