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ブリ大根の作り方

ブリ大根は北陸、富山の郷土料理。冬の時期に漁師が身体を温めたという逸話とともに語られることの多いですが、おいしくつくるコツはやはり素材の選択。そして、調味料による味の浸透の違いに注意することです。

ブリ大根
 ブリのあら 300g
 大根       800g
 生姜       20g
煮汁
 日本酒   200cc
 水     800cc
 上白糖      50g(大さじ5強)
 みりん    50cc
 醤油    40cc+40cc    

ブリのアラを1パック買ってきました。本来のブリ大根は中骨を入れるのが本式のようですが、入手しにくいので入れていません。アラを切るのは大変、という方は魚屋さんに「ぶつ切りにしてください」と頼んでください。

アラは脂の多い部位なので素材の差がストレートに出ます。天然がいいような気もしますが、これは香川県で養殖されている「オリーブぶり」。養殖も質がよくなったので天然、養殖にこだわらずおいしいブリを選びましょう。

もう一つの主役、大根です。大根は煮物に適した三浦大根を選択しました。ブリ大根が売りの料理屋さんは源助大根を使用しているお店が多いのではないでしょうか。

800gというとこれくらい。

よく洗ってから乱切りにします。大根の皮は剥く必要はありません。生姜は皮付きのまま厚めにスライスしておきます。

ブリ大根は水から煮ることでブリから味を出し、大根に吸わせたいのできちんと下処理をします。沸騰した湯にブリのアラをくぐらせます。

表面が白くなったら冷水へ。この作業を霜降り(もしくは湯霜)と言います。

流水で表面を洗い、血や鱗の取り残しなどがないかチェックします。

さて、鍋(21.5cmの雪平鍋)にアラ、大根、生姜、水、日本酒を入れ、火にかけます。

沸騰させてアクをとります。霜降りしていることとアラの量が少ないのでアクはそれほど出ないですが、念のため。

ミリンを入れます。

砂糖を加えます。砂糖は若干多めですが、ご飯のおかずという感じにしています。
味付けの基本は「さしすせそ」。それぞれ砂糖、塩、酢、醤油、味噌の順番に加えるという意味ですが、実はさ=砂糖の前にさ=酒が隠れています。

酒を入れることによって、含まれているアルコールが蒸発していくときに一緒に匂いを飛ばしていく「共沸効果」とその香りによって匂いを抑える「マスキング効果」が期待できますし、アルコールはあらゆる調味料よりも早く浸透するため、一番最初に加えると良いのです。また大根の皮を剥かずに(下茹でもせずに)使うことや生姜を入れることも、大根や生姜の香りによってマスキングする効果を狙ったものです。

落とし蓋をして、火加減を吹きこぼれない限界の中火に落とします。落とし蓋にはいくつかの役割がありますが、今回の目的は素材を動かさないようにすることでブリのアラが崩れるのを防ぐためです。

まずはこのまま10分間、素材に甘みをつけます。

10分間経過してから、醤油の半量、40ccを加えます。

同じ火加減のまま20分間煮ます。基本的に煮物は「弱火でコトコト」というイメージがありますが、ブリ大根はあら炊きのように強めの火加減で匂いの成分を揮発させていきます。一緒に煮る大根が強い野菜だからこそできる料理です。

落とし蓋を時々、外して表面を観察してください。

アクが浮いてくるはずです。これは都度、取りのぞきます。

20分、経過したのでもう半量の醤油を加えます。もう落とし蓋はしません。

またアクを取りのぞきます。

最後の醤油を加えてから10分経ちました。20分ほど煮るとさらに濃い味付けのご飯のお供になりますが、これぐらいまで煮詰まればいいでしょう。火加減によっては15分くらいかかるかもしれません。

柚子の皮の千切り、針生姜などを添えるといいでしょう。こっくりと煮込んだブリ大根は一晩経っても美味。面倒でも調味料は順番に何度かに分けて加えることがコツです。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!