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リムーザン風クラフティーの作り方

今日はデザートのクラフティーをつくります。ブラックチェリーを使ったリムーザン風と呼ばれるものです。クラフティーという言葉はリムーザン地方の古語であるオック語の"claufir"(詰める)に由来するという説が有力。火を通した果物にクレープ生地を流し込んで焼くだけの簡単なお菓子で、モチモチの食感が魅力。あまり料理の本には載っていないのでnoteで紹介します。

リムーザン風クラフティー
ブラックチェリーの缶詰 
全卵     3個
グラニュー糖 80g
塩      1つまみ
小麦粉    80g
牛乳     250cc
生クリーム  150cc(脂肪分35%くらいのもの)

コクを出すために生クリームを使ったリッチな配合です。キルシュやバニラで風味をつけてもいいですし、甘さも控えめの配合なので好みでグラニュー糖を100gまで増やしてもいいと思います。

卵3個にグラニュー糖80g、塩ひとつまみを加えて、よく溶きます。

そこに小麦粉を投入。玉がなくなるまでよく混ぜましょう。

牛乳で伸ばしていきます。

最後にコクを出すための生クリームを加えれば生地は完成。材料を順番に入れて混ぜるだけなので簡単です。

ブラックチェリーはフレッシュなものを少量のバターでソテーしてから使うのがベストなのですが、今回は手軽な種抜きタイプの缶詰を使います。缶詰1缶分です。汁気をよく切っておきましょう。ちなみに伝統的な作り方では「種は抜かない」で使います。ジョエル・ロブションも「リムーザン風クラフティーに使うチェリーは種を抜かずに使う。ジュースが出てしまうからである」と書いていますが、種は抜いたほうがやっぱり食べやすいと思いますね。

グラタン皿に薄くバターを塗ります。グラタン皿だと一気に焼けるので、手間がかからないというメリットもありますが、一人前ずつ小さな耐熱皿で焼いてもいいでしょう。

チェリーを並べ、生地を注ぎます。

この時、皿のフチに生地がつくと焦げるので、計量カップなどに移してから注ぐと安全です。170℃に熱したオーブンで30分間焼きます。全卵が入った生地なので焼いていると多少膨らみますが、気にしなくて平気です。

焼き上がり。ブラックチェリーから出た汁気が生地にちょっと染みているところがおいしい部分。少しだけ冷まして、まだ温かさが残っている状態で食べます。

仕上げに粉糖をふりかければ完成です。甘さ控えめの配合にしたので、好みで砂糖を加えたホイップクリームやアイスクリームを添えてもいいと思います。

フランスにはアカデミー・フランセーズという言語関連の学術団体があり、かつては「果物を入れたフラン」をリムーザン風クラフティーと定義していました。しかし、リムーザン地方側から「特産品であるブラックチェリーを使わないものはリムーザン風ではない」という抗議があり、同地方産のブラックチェリーを使ったものをこの名前で呼ぶようになりました。

洋梨やリンゴを使ったものは「フランニャルド風」「フロニャルド風」という具合に名前が変わります。これはお隣のオーベルニュ地方の名物です。リムーザン地方は高地にあり、食べ物の特産品に乏しい町ですが(陶器のリモージュ焼きが有名です)名物となるお菓子のおかげで全国的に知名度を獲得したとも言えます。日本の地方もちょっと参考にできる点があるか、と。

撮影用の食材代として使わせていただきます。高い材料を使うレシピではないですが、サポートしていただけると助かります!