圧力鍋を使ったカラメル化テクニック『カラメル・カボチャのピュレ』

最新調理テクニック紹介のシリーズです。今回のテーマは『圧力鍋を使ったカラメル化』2011年に刊行された大著「Modernist Cuisine」に掲載されている技法で、はじめに書いておきますが難しいです。こんな調理法もあるのか、という参考程度に。

注意 この調理法では圧力鍋を使っていますが、これはメーカーが推奨する使用法ではありません。今回、圧力鍋にバターをたくさん入れていますが、例えばそれが跳ねて空気弁が詰まってしまうと、内部の圧力はどんどん上昇してしまい(もちろん安全装置もついていますが)最悪の場合、爆発する危険性があるからです。あるいは油脂が密閉ガスケットを溶かしてしまい、圧力低下がおき、そこから中身が噴き出すという事態もありえるかもしれません。実際には圧力鍋の事故の多くは材料の入れすぎで起きています。(特に豆を煮る場合には注意が必要です)このレシピでも分量を守れば必要以上に怖がる必要もないのですが、やはり圧力鍋の原理などについて正しい理解をした上で行うべきです。また、圧力鍋の使用には空気弁が塞がっていないか等、通常使用する程度の点検はやはり必要でしょう。

今日は「カボチャ」を圧力鍋でカラメル化させます。

カボチャのピュレ
 カボチャ 500g程度
 バター  75g(カボチャの重量の15%)
 重曹   2.5g(カボチャの重量の0.5%)
 水    100cc
 塩    適量

分量は「modernist cuisine」のレシピからアレンジしています。日本とアメリカのカボチャでは水分量がまったく異なるので、同じように作っても上手くいきませんでした。塩味もあとで加える形にしています。元ネタのレシピ(かぼちゃの重量の1%の塩)でつくると結構塩っぱいです。(重曹が塩気を強く感じさせるので)量については安全につくるにはこれくらいが適量ですが、これ以上、量を減らすと今度は焦げてしまいます。

かぼちゃは種とワタを取りのぞき、皮を剥き。2.5cmの大きさにカットします。かぼちゃをカットするときは内側から包丁を入れるのが鉄則。外側は硬いので、やわらかい内側から切ったほうが楽です。

バターの分量が多いですが、これを減らすとカラメル化できません。カラメル化、カラメル化と書いていますが、実際にはメイラード反応です。秘密の材料は重曹。メイラード反応に影響を与える要素はいくつかありますが、大きな要因は温度とphですね。phがアルカリ性に傾くほどメイラード反応は進みやすくなります。そこで重曹を加えるのです。水の沸点では通常、メイラード反応はあまり進みません。しかし、圧力鍋のなかは120℃以上(あるいは前後)になりますから、アルカリ性にしておけばメイラード反応を起こすことができる、というわけ。

圧力鍋を強火にかけ、水とバターを溶かします。バターに含まれる水分も重要なポイント。

かぼちゃと重曹を投入し、全体を混ぜます。カラメル化させたカボチャをデザートに使う場合はここで砂糖を加えるといいでしょう。

蓋をして加圧します。

圧力がかかり、蒸気が出てくれば弱火に落として、10分間加熱します。圧力鍋で加熱することで内部の水分は120℃に達し、カボチャ自身の糖分によってメイラード反応が進むのです。

10分経ったら圧力鍋に水をかけて、急冷します。

カボチャは茶色く色づいています。香りもまったく違うものに変わりました。難しいテクニック、というのは圧力鍋の場合、加熱中の状態がまったくわからないから。元ネタのモダニストキュイジーヌでは水も加えずに加熱時間が20分、あるいは30分になっていますが、日本のカボチャでは水を加えた上で10分が限界です。水が入っていても問題なくカラメル化するので大丈夫。

柔らかいので木べらで簡単に潰れます。丁寧にやるなら裏ごし器かミキサーにかけるといいでしょう。濃度を水で調整しています。塩味をつけるならここで。

ソース代わりに皿に敷くとこんな感じ。

カボチャの甘みが抑えられ、非常に深みのある味です。肉料理のソースになります。素材の味を引き出すのも料理ですが、普段馴染みのある素材からまったく違う味を引き出すのもまた現代に求められるテクニックということでしょうか。

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