辛味調味料「かんずり」を使いこなす

今日は僕のお気に入りの調味料、かんずりの紹介。

写真は新潟県内などで入手できる『生かんずり』風味が一味違います。

かんずりは新潟県妙高市の特産品で塩漬けにした唐辛子を雪に晒し、辛味を抜いた後、粉砕し、麹、柚子などを混ぜあわせ熟成発酵させたもの。

味のポイントは雪晒しといって、塩漬けにした唐辛子を雪に晒すことで辛味が抜け、まろやかになる、と言います。これって多分(ここから先は推測になってしまいますが)昼夜の温度差で凍結と解凍を繰り返しているわけですよね。緩慢凍結によって細胞を破壊し、繊維は柔らかくなる。辛味は水に晒しても同じように抜けるかもしれませんが味が抜けすぎてしまうでしょうが、雪であれば表面に浮いてきた水分だけを吸う。土地の風土がつくりだす味です。

ところで発酵の権威、東京農業大学の小泉武夫先生によると「世界でも珍しい唐辛子の発酵食品」とのこと。たしかに唐辛子 の発酵食品は他にタバスコくらいしか思いつきません。小泉先生のお話によると東南 アジアには発酵唐辛子はあるものの、麹を入れたものはないそうです。

おそらく麹をいれることにより単純に発酵するだけではなく「糖化」という現象が置きていると考えられます。唐辛子に含まれている炭水化物が麹の働きによって糖に変わり、それが特有の甘みを生むのです。また、発酵によって、保存性が高まり、香り成分や味などもまろやかなものに変わります。 唐辛子と塩という発酵のしにくいものを低い温度で発酵するわけですから時間がかかります。発酵期間はなんと最低三年。そのように長い時間をかけ、できあがったかんずりはまさに辛味+旨味の万能調味料です。

すでに広く知られているお馴染みの使い方としては

餃子のたれにいれたり、

焼き鳥につけたり、というのが定番。覚えておきたいポイントは 『脂っぽさを中和 してくれる』 というもの。これを知っておければ焼き肉やラーメン、または豚の三枚肉を使った煮込み料理などに添えても美味しく食べられるということがわかります。
さて、かんずりはもちろん薬味以外に料理にも使えます。まず抑えておきたいのは
発酵食品同士の相性の良さを活かした組み合わせ
です。発酵食品同士は相性がいいので、積極的に組み合わせてみましょう。たとえば次のソース。

かんずりソース(醤油ベース)
 かんずり  小さじ1
 醤油  小さじ1
 砂糖  小さじ1

材料を混ぜ合わせればOK。焼いた餅につければ『かんずり餅』に。

出汁で柔らかくなるまで炊いた大根にかければ『かんずり風呂吹き大根』になりま す。応用編としては最初に述べた脂質とのバランスをとる性質を活かして

ステーキにかける、というのもいいでしょう。ステーキ用の牛もも肉を焼き、塩コシ ョウを振ったもの。下は茹でただけの青菜、奥はふかしたじゃがいも(電子レンジで 火を通しても)を半分に切って、オイルで焼いたものです。どちらもかんずりソース とよく合います。醤油ではなく同量の味噌ですと『かんずり味噌ソース』になります。

妙高市にある豚汁の名店「たちばな」ではかんずりを別途、注文することができます。原材料は豚肉とタマネギ、豆腐だけの豚汁ですが、これが絶品。豚肉の脂っぽさをかんずりがうまく中和し、いくらでも食べられるおいしさでした。
さて、次の使い方は 『香りを活かすためにオイルと組み合わせる』
というもの。唐辛子に含まれるカプサイシンは水には溶けませんが、油には溶けると いう性質があります。

どういうことか、実際に見てみましょう。かんずりにオリーブオイルを注いでみます。

しばらく置くとオイルが赤くなりました。これは唐辛子の成分が油脂に溶けたということ。この香りオイルは様々な使い方ができます。

例えば塩コショウで揉み込んだイカに小麦粉をまぶして油で揚げて、、、

マヨネーズ(もしくはヨーグルト)にさきほどつくった辛味オイルを混ぜ込みます。

出来上がり。『いかのフライ、かんずりマヨネーズ添え』です。かんずりとマヨネー ズを混ぜあわせてもおいしいのですが、辛味と香りがマスキングされてしまうので、 マーブル状にするのがコツ。

最後の提案は
トマトと唐辛子の相性の良さを活かす
というもの。トマトと唐辛子は相性が非常によく、お互いの味を引き立てあう関係性です。トマトサラダをつくるときのドレッシングにかんずりを少量混ぜたり、次にご 紹介するパスタソースに、と展開していきます。

かんずりアラビアータ(二人前)
 パスタ 200g
 にんにく 1片
 オリーブオイル 大さじ1
 かんずり 大さじ1
 トマトソース ( 作り方 基本のトマトソース 参照) 180g

フライパンにオリーブオイル大さじ1とにんにくのみじん切りを入れて、火にかけま す。香りが立ってきたらかんずりを入れます。さきほど唐辛子の成分は油に溶けると いうお話をしましたが、投入するタイミングはここです。

かんずりは焦げやすいので注意してください。混ぜ合わせるようにして加熱してきま す。すぐに油が唐辛子色に染まるはずです。同じ要領で麻婆豆腐などをつくるときも 最初の段階でかんずりを入れましょう。

軽く炒めると唐辛子の香りが立ってきます。かんずりの色が若干濃くなったのがわかりますか?

トマトソースを入れて、焦げるのを防ぎます。

今回は別に炒めておいたなすをいれました。パスタのゆで汁を50cc足して、ソースを 伸ばすとともに、乳化を促進させます。

パスタは必ず茹でたて熱々のものを。熱いパスタを熱いソースにいれることによって 表面にソースが浸透します。火を止めて、よく和えます。

器に盛り付けて、パセリのみじんぎりをふりかけて完成です。油っぽさはまったくあ りません。最初に述べたようにかんずりが油っぽさを中和してくれるのです。このト マトとの相性の良さを考えればピザなどにもあうことがわかりますね。

発酵食品×かんずり
トマト×かんずり

という2つの組み合わせをご紹介しましたが、まだまだ可能性がありそうな調味料で す。例えば

クリームチーズ×かんずり

という組み合わせは『発酵食品×かんずり』と香り成分が脂肪に溶けるという性質を 利用した組み合わせ。クラッカーにつけて食べると絶品です。

個人的には日本には上質なハリッサ(中近東の唐辛子調味料)が輸入されていないの で、クスクスに混ぜたり、メルゲーズソーセージを作るときにつかったり、とかんず りを使っていますがハリッサよりもずっとおいしい。鍋の薬味だけに使うのはもった いない伝統食材ですので、今後も研究を続けたいと思います。

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