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かんがえこと-38

3.4

大きなソファーに腰を下ろしコーヒーの香りを嗅いで、パンの袋を開ける。こういうことじゃないの。彩度は奪われた。
市場では子ヤギのミントに挨拶を。竹下通りのサインはださくて(仮)だと思いたい。虎ノ門ヒルズははじめて、遅れてきたルーキーのその長体は窮屈そう。
目的地に近づく。この曲が終わるタイミングに合うように、歩を緩める。

3.11

辿ればぜんぶいとしい。酔っ払って、手をはなした交差点、ケンタッキーでは時計だけ見て、鋭角の階段は目眩がする。あの日泣きながら聴いた曲にして、また会うんだぜ、はじめなければ、終わることはないんだし。

3.31

丸の内のあのビルは取手がついて持ちやすそうだったな、ここらへんのは、掻き分けても掻き分けても、動かない。硬い意志、日本橋プライド。強さは欲しい、硬さは、いらない。けれども4月のダイヤモンドの硬さ。わたしはただ透明で、光を通すだけのそれ。が欲しい。

4.2

あぁ今日に限ってと、それをとくべつな日と思うから落ち込む、まいにち誰かの誕生日と思えばまいにちがとくべつで、とくべつな日はなくて。
いつもの道は歩くたび短くなって、けれども目的地は、まだ見えない。

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