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錯覚資産としてのTOEIC活用とその勉強法

どうも、Kamackです。

日本では今でもTOEICが英語力を測る手段として重宝されています。

また、評価される基準も文系と理系とで大きく違います。理系だと比較的低い点数でも英語ができる人と評価され、英語を使う仕事に従事する機会が与えられる事があります。

今回はそんなTOEICがなぜ錯覚資産であるのかとその活用法、そしてTOEICの勉強方法に関して書いてみたいと思います。


錯覚資産としてのTOEIC

TOEICはなぜ錯覚資産なのでしょうか。それは、この指標だけでは英語力を測るのに不足しているという事に他なりません。


TOEIC 860点には、以下のように表現されています。

「Non-Nativeとして十分なコミュニケーションができる。」

「自己の経験の範囲内では、専門外の分野の話題に対しても十分な理解とふさわしい表現ができる。Native Speakerの域には一歩隔たりがあるとはいえ、語彙・文法・構文のいずれをも正確に把握し、流暢に駆使する力を持っている。」


実際のところはどうでしょうか。


英語を勉強し、努力して留学した経験がある方は良く分かると思うのですが、TOEIC900は英語学習の入り口でしかないです。TOEIC 860の方が専門外の分野の話題について十分な理解とふさわしい表現ができるかというと、かなり疑問が残ります。実際に、TOEIC 860以上でも全然話せない人はごまんといますし、逆もしかりです。会話力が試験の評価に入っていないからです。

しかし、TOEIC 900点を持っていると、日本では相当に英語ができる人として見られます。


アゴスが発表した、TOEICとTOEFLの換算表だと、MBA留学に必要なTOEFL100点に対して、TOEIC900-945を獲得した人のTOEFLスコアは73でしかありません。

私もTOEIC 920の時に受けたTOEFLスコアが65だったので、この換算表には納得感があります。TOEIC 900点では留学の手前で落とされるという事になります。


では、なぜTOEIC 800や900という点数がこんなにも日本で評価されるのでしょうか。それは、日本で英語力を測る手段としてTOEICが最も普及しているからに他なりません。

そして、実際の英語力以上に英語ができると思われる、それこそが「錯覚資産」です。

そして、その錯覚資産に日系企業は「機会」を与えてくれるため、結果として本物の能力になっていくのです。


例を挙げます。

TOEFL 100もしくはIELTS 7.0を持っている、と伝えても、大多数の人にはそれってすごいの?何となくすごそうだけど、良く分からない。と思われます。

もっと極端な事を言うと、「IESEというバルセロナにある大学に社費留学していたんだ」というと、「この人は留学を利用してバルセロナで遊んでいたんだな」と思われることすらあります。

それよりも、「TOEIC 900点持っています」と伝えた方が英語が相当できるんだな、と大多数の人から思われやすいです。

これこそがまさに「錯覚資産」の価値なのだと思います。


※私のTwitterのフォロワーさんはMBA受験生が多いため、TOEFL/IELTSの価値が分かる方が多く、逆にピンとこないかもですが。。。

ちなみに、TOEIC 700以下でも海外業務経験や駐在経験があって英語がかなり喋れるような人もいます。が、そのような人はTOEICのスコアをアップデートしていないか、もしくは特定分野に特化した英語力を習得したという方が多いように思います。


TOEICの錯覚資産によって与えられる機会

以下のエントリーでも書いていますが、私はTOEIC 560の時にインドエンジニアとのオフショア開発に従事し、TOEIC 800の時に米国駐在をさせてもらいました

私が働いているのは日系メーカーですが、TOEIC 800はエンジニアとしては上位5-10%に入るので、海外案件を担当できる可能性が上がります。

また、日系メーカーで海外赴任を担当する条件は、下記のうち、いずれかを備えている事だと思います。

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全てをバランス良く備えているとそれだけ海外赴任の可能性は上がります。が、私が見た海外駐在の例では、上記のうち、一つしか備えていなくても海外駐在できている人を見ているので、英語はその意味でオプションです

ただし、海外駐在の確率を上げるためにはTOEICの錯覚資産が確実に役立ちますし、駐在後には当然英語力も必要なので、TOEICで勉強しておくこと自体にマイナス要素は無いかなと思います。


TOEICの点数を上げる方法

ではどうやってTOEICの点数を上げれば良いかというと、近道はないので勉強時間を確保して勉強するしかないです。

まずはざっくりどれくらい勉強すれば目標点数に到達するか、という指標は目安がOxford University Pressから発行されたものが参考になります。

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左に書かれているのが現在のスコアで、上にあるのが目標スコアです。例えば、現在550持っている人が950を取得するには左が550、上が950になっている場所を読み取り、1050時間かかる、という感じです。

私が伝えたかったのは、この勉強時間を確保して勉強し、TOEIC 800-900を目指してください、という事です。

ただし、勉強方法が分からない!という方もいると思うので、TOEICの勉強方法を紹介させていただきます。


TOEIC Listeningの勉強方法

TOEIC Listeningに関しては、TOEIC公式問題集を買うのがいいでしょう。

とりあえず、Listening問題を一度通して全て解きます。100%の確信をもって解けなかったものは全て復習対象にするので、その問題をチェックしていってください。ほとんどがチェック状態になっても全然構わないです。

そして、ここからが本番です。

解答は見ずに、自分で解答が分かるまで聞き返し続けます。1問あたり10回、20回、もっと聞くケースもあると思います。そして、分からない部分を解消していきます。

5回聞いても分からない、というくらいからは、ディクテーション(書き取り)をしていくと良いです。書き取っていって分かる事は、以下の事です。

(1)そもそも、聞けてない(書けない)
(2)聞けたけど単語の意味が分からない
(3)単語は全て分かるけど文の意味が取れない

大抵の場合は、(1)そもそも、聞けてない(書けない)で失敗しています。全部聞けて書けたと思っていても、実は聞けていなくて、違う単語を書いている事も相当に多いという事に気づくことでしょう。これを一つずつ正しい解答を見つつ直していき、正しい文が書けるようになるように徹底的に訓練します。最初は絶望的に思われるかもしれないですが、そのうち、ちゃんと聞けて正しい文が書けるようになってきます。

(2)聞けたけど単語の意味が分からないで失敗するようになってきたら、上達の証です。これは単語を調べれば解決するので、単語を調べて意味を覚えていきましょう。単語単位ではなく、フレーズごと覚えていくと、後で自分がスピーキングをする際に使えるようになっていきます。

(3)単語は全て分かるけど文の意味が取れないまで行くと、だいぶいい感じです。正解を見てもいいので、文の意味を取れるようにしていくと、この言い回しでこういう意味になる、という学習ができていきます。ポイントは、リスニングしながら文の意味を取れるようにすることです。それができるようになるまで、何度も繰り返し聞くことです。

上記を全ての問題で分かるようになるまでやります。おそらく、一つの問題セットで数十時間かかると思いますが、それで大丈夫です。全て理解し、すべて正解が選べるようになってから、次の問題セットに移ってください

いくつかの問題セットが終わったときに、TOEIC Listening力は劇的に上がっていますし、英語力としてのListening力も上がっています。


TOEIC Readingの勉強方法

基本的にはListeningと同じ方法で、公式問題集を解いていき、少しでも自信のない問題はチェックしていき、あとで復習対象とします。

そして、すべてを100%理解していくというだけです。Listeningと違うのは、英語の文が紙に書いてあるので、
(1)単語の意味が分からない
(2)単語は全て分かるけど文の意味が取れない

の2種類になると思います。1つの文・文章にどれだけ時間をかけても良いので意味が理解できるまで読みます。単語は調べて大丈夫です。

どうしても分からない場合には、解答を読んでも良いですが、基本は英文で理解できるように何度も読みます。目安は分からない単語を全て調べた上で、10回読んでも分からない場合に解答の日本語を読む感じです。そして、意味を全て理解したら、正しい解答が選べるようになるはずです。

上記を全ての問題で分かるようになるまでやります。おそらく、一つの問題セットで数十時間かかると思いますが、それで大丈夫です。全て理解し、すべて正解が選べるようになってから、次の問題セットに移ってください

いくつかの問題セットが終わったときに、TOEIC Reading力は劇的に上がっていますし、英語力としてのReading力も上がっています。Listeningと同じこと書いていますが、だいたいこんな感じです。


まとめ

日本社会において、TOEICは錯覚資産として大きな力を発揮します。TOEIC 900を取ると、事実はおいといて、日系企業では相当に英語ができる人として見られることができます

この大きな資産に対する学習量は1000時間程度で済みます。平日2時間、土日5時間の勉強だと1年で達成可能で、努力に対するコストパフォーマンスは非常に高いです。※大変なのは承知の上で敢えてこう表現しています。

時間無い、という方は、時間確保のために、例えば携帯電話がiPhoneでしたらスクリーンタイムで携帯電話を使っている見ている時間を見てみてください。そこから捻出可能な時間を計算すると、結構希望が湧いてくると思います。

ぜひ、錯覚資産のTOEICを活用し、それをてこにして本当の英語力を得てください。

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