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超えてきた者

TRIBE TOKYO MMAは創立11年を迎えオープンした頃とは選手の数も倍に増え、一般会員さんをメインにやっていた設立当初とはすいぶん違った景色になってきている。
ジムとしては2年前に北田俊亮が代表を務めるノース支部もオープンして競技とフィットネスの差別化を目指しているのだがビジネスや人を雇う事はなかなか難しく日々勉強であって試練だと思いながら業務をこなしている。

選手育成を始めた時は誰もがもっと簡単に上に行けると思っていた。
自分の通ってきた道筋を振り返れば環境や指導内容などTRIBEは比べようもなく良い内容になっている。
正直なところUFCとかポンポンポーンと上がってる選手を育てれると思っていた。
自分ですらUFCには出ていたしもっと上を獲って欲しい気持ちが選手達にはある。
しかし海外の急速に上がる競技レベルや選手層、反対にビジネス的には下降し続ける日本格闘技界。
自分のやってきた時代とは大きく異なり比べられるような状況では無くなってきている現状だ。
それどころか国内タイトルを獲る事ですら苦戦している状況なので何かを変えたり変わらなければ我がジムは国内ではまぁまぁ強いチーム止まりで終わってしまう。
現時点で自分の頭にある事を整理して先日の試合の事で思う事もあったのでそれをここに記す。

TRIBEの環境

TRIBE TOKYO MMAは80平米のマットスペースと併設するウェイト設備とウォームアップスペースを揃えた環境で都内では広い格闘技ジムに振り分けられる。
世界的に見るととても狭い環境だが東京の不動産事情で個人が経営する施設としてはまぁまぁ頑張っているとは思う。
大きなスポンサーがついたりすれば話も違うが何かに頼るより自力で進まなければいけない状況だ。
場所があれば強豪を集めて練習時間を決めて放っておくだけでも選手は育つと思う。
自分はそんな環境で育ったし、強い奴は自分で考えて練習するから中途半端な指導より、むしろ放っておいた方が良いとも思うのは自分の自論だ。

俺はパンチの打ち方、フォームから指導をする。拳の握り方、当て方、体重の掛け方、ステップなど、結構細かい。
これを先に徹底してやらないとある程度育ってしまってから指導し直すのは容易ではない。
自分の失敗も指導には大きく反映させている。一回負けた試合を取り戻す事は出来ないけど同じミスを選手達には絶対にさせたくは無いのだ。

フィジカルスペースのウェイト器具はしっかり揃っている。フリーウェイトが中心になるがランドマインは日本国内でもだいぶ早い時期に設置していた。※ランドマインは各自調査
ただ器具が良くてもインストラクターがしっかりしていないとただのガラクタになってしまう。

触れなければいけないのが我がジムで起きた5年ほど前の出来事だ。
TRIBEでは5年前からフィジカルトレーニングを堀江登志幸コーチが担当してくれている。

それまでの前任のフィジカルコーチはボディビル的なトレーニングが多かったのだが非常に昭和的な精神論の持ち主で限界ギリギリのトレーニングを選手達に奨励していた。
勿論自分が報酬を払いフィジカルトレーニングを一任していたので自分に大きな責任があった事は理解している。
自分の現役時代から一緒にやってきた仲だったので信頼と期待が彼にはあったのだ。

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