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オランダで加熱してきた塾ビジネス

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先日、オランダのメディア(参照記事1)で、以下のような記事が掲載されました。

オランダでは、中等教育校生(※日本の中高一貫のようなもの)のほぼ3人に1人が、学校外で勉強の個別指導、試験トレーニング、宿題のサポートを受けています。グループ8(※小学校の最高学年。11歳くらい)の小学生の場合、4人に1人がこのタイプの塾サービスを受けます。
※筆者の意訳あり

オランダの教育費は無料ですが、こういった塾のようなサービスはもちろん自腹です。上記の記事によりますと、こういった塾業界の売り上げが2015年は約4850万ユーロだったのに対し、2017年には6920万ユーロに増加したのだそう。成長分野ですね。
でも、塾といっても、日本のような大型進学塾ではなく、もっと小ぢんまりしたイメージです。とあるアムステルダムの学習塾のページ(参考資料2)には、以下のように書かれています。

・1回1時間8ユーロ
・登録制で、1度に生徒は3人までの少人数クラス
・1つの場所で週2回実施
(アムステルダム市内の複数の場所で、違った曜日でも実施している)
・先生は、固定。毎回同じ先生に習う

といった雰囲気です。
場所は、図書館の一角などを間借りしていることもあるようです。

では、「世界一子供が幸せな国」と言われるオランダで、何故これほど塾が急成長しているのでしょう。実は、その独特な進学システムに秘密がありました。実はオランダは、小学校卒業後の中等教育は学校の種類(コース)が異なってくるのです。
長くなるのでここでそのコースに関する詳細は割愛します。ご興味ありましたら、以前「現代ビジネス」に寄稿した記事をご参照くださいませ。

2011年に、高学歴コースに進んだ人の収入は、低学歴者の収入のほぼ2倍になるというデータが統計局から発表されます(参照記事3)。その頃から、子供に高学歴コースへの進学を望む親が急増したようです。

ただ、こういった子供への勉強のプレッシャーを快く思わない人々も大勢存在します。
「子どもたちに、自然にできる以上のことをさせなくてはならないのは可哀想」
「彼らが、自分のレベルにあった教育(職業的中等教育)に進めばいいではないか」

という意見もインターネット上に散見されます。でも、こういった意見の持ち主に実際子供がいるのかどうかは不明です。

もちろん、小学校卒業後の段階で職業的中等教育に進学しても、努力してコースを上方変更していくことは可能です。実際に、時々そういう実例をニュースで目にします(参照記事4)。
でも、こうやってニュースになっているところを見ると、やはり大変なんだと思います。だからこそ、ニュース価値があるんですよね。

学歴や、それに付随する収入格差が解消されない限り、オランダの塾ビジネスは、今後も成長していくかもしれませんね。
それがオランダ全体にとって良いことなのかどうか、まだ私には判断できません。でも、まだ幼い子供たちには、必要以上のプレッシャーをかけるのはやめてあげて欲しいと考えています。


※この下には本文はありませんが、本文中で参照したページ4点を閲覧するのには料金が必要になります。
※参照記事1には、実際の塾の雰囲気が見られる動画も埋め込まれています。

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