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シュリーマンの「言語習得への情熱」

時々、日本の家族が読み終わった本をオランダに転送してくれてます。その中から今は、シュリーマンの自伝「古代への情熱」を読んでいます。
実は私、子供の頃は遺跡とか歴史とか大好きだったんです。なので、トロイア遺跡を発掘したシュリーマンの存在は知っていました。
けれど、生い立ちや人となりはよく分かっていなかったようです。そもそも、ドイツ人だったんですね。

シュリーマンは人生の後半で、子供の頃に憧れた考古学の道に没頭します。けれど若いころは、がむしゃらにビジネスに取り組んで財をなしました。ドイツに留まらず、オランダやロシアにも居を移し、各地で仕事をしたのだそう。
そんな彼の趣味のひとつは、言語習得だったようです。実家の経済事情が悪く、高等教育は受けられなかったシュリーマン。けれど働きながら言語の勉強を重ね、なんと最終的には18言語も習得したのだそう。

この本の中に、シュリーマンが自分の勉強法に関して述懐している箇所があるのですが、オランダ語をだらだら勉強している私は読んでて胸がズキズキ痛みました(笑) その一部をご紹介します。

1.大きな声でたくさん音読する

2.ちょっとした翻訳をする

3.毎日一回は授業を受けること

4.興味のある対象について常に作文を書く

5.その作文に教師から添削をうける

6.その直した文章を暗記し、次回の授業で暗誦する


英語を習っていた時は、イギリス教会の日曜礼拝に参加し、牧師の説教をシャドーイングしたそうです。
そして出かける時には、必ず勉強中の言語の本を持ち歩き、少しでも時間があれば読みふけったのだとか。こういう涙ぐましい努力で、英語は半年で身に着けたと語っています。完全に短期集中型ですね!

オランダでロシア語を勉強した時は、周囲にロシア語話者がいなかったので、完全に独学だったそう。それでも貧しいユダヤ人(ロシア語分からない)を雇い、毎日2時間大声でロシア語の暗誦を聞いてもらったというから驚きです。しかもその大声朗読でご近所トラブルが絶えず、ロシア語の勉強中に2度も引っ越しする羽目になりました。本当に、勉強を最優先していたんですね。尊敬しかありません。

こういった言語習得は彼のビジネスに役に立ったようですが、やはり一番役立ったのは遺跡の発掘にでないでしょうか。実はシュリーマンは古代ギリシア語も習得し、古代ギリシャの詩人ホメロスの作品「イーリアス」「オデュッセイア」を巡る旅にでるのです。その旅の際に実際の地形と作品内の記述が共通していることに気づいたそう。その際の気づきが、後の発見にも繋がったのだというのだから驚きます。

一見、何の見返りも期待できないような趣味(例:古代ギリシャ語の勉強)でも、好きなことを続けていると思わぬ成果を生み出すことがあるという好例を見させてもらいました。やっぱり、「好き」は正義ですね。言語習得も考古学も好きじゃない人が古代ギリシャ語を同様に勉強しても、特にこのようなインスピレーションは得られなかったでしょう。
言語に限らず、何かを本気で習得したければ、まずはそのことを何よりも好きになる仕組みを作り上げることが良いかもしれません。さて私は、どうやってオランダ語の勉強を好きになろうかな(笑)

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