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FIFAワールドカップ・欧州予選 グループC 第6節 北アイルランドvsスイス感想

サッカーを愛する皆様、こんにちは。
くろだといいます。
ワールドカップ欧州予選アーカイブ計画として、僕は「#W杯欧州予選グループC全部見るマン 」として今回は北アイルランドvsスイスを取り上げてみたいと思います

試合前情報

第5節を終えた時点で、北アイルランドは勝ち点4の3位。ブルガリアがリトアニアに勝利した事で順位では上回られていますが、残り試合数を考えると少しでも勝ち点を取って上に上がっていきたいところ。試合前時点で勝ち点7のスイスの背中も見えている所で勝利を収めれば最高、最悪でも引き分けで次節以降に繋げていきたいという一戦です。

対してスイスは勝ち点3を与えてしまうと勝ち点で並ばれるだけでなく、おそらくリトアニアに勝利するであろうイタリアの背中が遠ざかる事になってしまう事からワールドカップ出場を狙う為には是が非でも勝っておきたい試合でしょう。

スタメン

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北アイルランドは、リトアニア戦からバラードが右HVへ移動し、左HVにはブラウンが入りました。試合展開を見てみてからではありますが、スイスのイタリア戦でスタメンだったツバーやソウ、もしくは逆サイドのアエビシェールを気にしていたのか、それともスイスの前線の左右の重心を見ての変更だったのかもしれません。

対して、スイスはセンターラインのセフェロビッチ、フライのセンターラインを残してシャドーと中盤の4枚を変更して臨む布陣となりました。
(仕方がないとはいえ)重心が下がってしまった前節の反省を活かしてなのか、北アイルランドへの対策としてなのかに注目したいと思います。

試合雑感

序盤からスイスがボールを握る展開。
ボール保持の局面ではビルドアップ時に右サイドバックのヴィドマー(3)が上がり、片上げ可変の3-2-5の形を目指す。左サイドはザカリア(6)が大外を担い、ネガティブ・トランジション時にはボールサイドに寄るディフェンスラインへの復帰を見せる。

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それに対して北アイルランドは5バックで迎え撃つ構え。スイスの攻撃時にボールポジションが深くなってくるとフロイラー(8)とフライ(10)に1枚ずつつけることが出来るので、スイスの攻撃を有効に防ぐ局面が続く。

8分なかばに北アイルランドのチャンス。
北アイルランドのブロックの裏を狙ったボールをカットしたブラウン(22)がスイスのディフェンスと中盤の間に送ったボールをラヴェリー(17)が見事なトラップからシュート。ただ、これはエルヴェディ(4)のケアが間に合い、シュートもわずかにそれてゴールならず。

スイスのゴールキックから北アイルランドがボールをスイス陣地深くまで動かすことが出来たが、スイスの陣形はセフェロヴィッチ(9)を前線に1枚残し、バルガス(18)が幅を取りつつボールの逃げ道として残り、ボールサイドを封鎖する形で守備。結果としてスイスはロングボールからの陣地回復を果たしつつ北アイルランドの攻め筋に対応。
とはいえ、スイスはビルドアップ時に早々に3-2-5の布陣を取ってしまった事によって北アイルランドのビルドアップ阻害の前にカウンターを許す局面も。16:23~場面ではマッキャン(16)が上がるタイミングを計る事によって枚数を合わされた結果、中盤の2枚(フロイラー・フライ)でビルドアップの逃げ道を作ることが出来ずにゴールキーパーからのロングキックを選択せざるを得ない状況に。

北アイルランドのフォーメーションは基本的に素直で、攻撃時には両WBがそのまま高さを変えて中盤でラインを形成するが、基本的にカウンターが中心となるためそれほど激しい上下動は必要ない雰囲気。どちらかというと重心が低めではあるものの中央のセンターバック3枚がネガティブ・トランジション時に底をしっかり作ってくれることから守備時の戻りが間に合わないという事もなく、ビルドアップ阻害時にロングボールを選択させた後の回収までの一連は狙っている節がある。

スイスは押し込んだ先に繰り返し攻め立てる状況を作っていきたい所で、31分にPKのチャンスを得る。北アイルランドのスミス(19)がクロスボール対応でファウルを犯してしまったが、スイスの前線の圧力が相当厳しいという事なのか、単純にミスをしてしまったのかはリプレイでも判断難しいところですが、単純にうまく前に入られてしまったとも言えそうだな、と。
このPKはセフェロヴィッチが北アイルランドGKのピーコックに防がれスイスは得点ならず。これまでの攻め筋を見ていると、ここで点を取れなかったのは痛い感じもする。

前半の終盤辺りでへスイスのビルドアップ時にザカリアが基本ポジションを少し低く設定し、バルガスがマッキャンの視界に入る事で中盤の動きを助ける動きを見せるが、効果を確かめる前にハーフタイムへ。

後半に入ると、スイスの挙動に少し変化が見られるようになる。サイドバックが積極的に押しあがる事によって、ビルドアップ時にしっかりと繋いで進む事よりもボールポジションの基礎位置を高くすることを選択したようだ。
そうなってくると、必然的にトランジションの回数が増えてくるがスイスはバックラインのカバーリングによってボール回収、北アイルランド陣地でのプレー時間を積み重ねていく。

先に動いたのはスイス。
ファスナハト(16)とフライ(10)を下げてシュテフェン(11)とツバー(14)を投入。それぞれの役割を引き継ぐ形でプレーしたが、フライと交代したシュテフェンはプレーエリアがより前の方で活きるタイプなのか押し込んだ展開を継続させる事を意識していた様に思える。
事実、ボール回収から相手陣地でのプレー時間を積み重ね続けていたのはスイスだったので、その展開の中でより可能性を高めたい、という志向だったのだろうと想像する。

ただ、ペナルティエリア内でより可能性のあるプレーを見せていたのがスイスだったかと言うとそうではなく、北アイルランドの方がゴール前で何かが起きそうなプレーを続けていた様に思えるのが痛し痒し、という所。
ボールを握り、回収もするけど相手の高い密度で敷かれたブロックを崩しきれずに決め手もなく、というボール保持を目指すチームあるあるな試合展開のままスコアレスで試合終了の笛を聞く事になった。

まとめ

試合終盤まで積極的に交代カードを切り、勝ち点3への執念を見せたスイスでしたが北アイルランドの守備ブロックに阻まれ、勝ち点1を得るのみとなりました。
前半のPKが決まっていれば、という所でしたがボールを握る事を志向するチームの宿命でもある押し込み過ぎてスペースが無くなってしまう問題をどう解決するのかに苦労した印象も強く残った試合となりました。

逆に、北アイルランドはボールを握られ続けながらも一定のチャンス(またはチャンスになりそうな場面)を作り、スイスに対して一歩も引かない見事な試合だったと言えるのではないでしょうか。

次節は10月からになりますが、スイスは新型コロナから復帰する予定のジャカが入る事によってどのような攻め筋を見せてくれるのかに注目したいと思います。
北アイルランドは今回のスイス戦を見た限り相手との力関係に合わせて両WBの位置を調整する事で対応の仕方が幅広くやれそうだな、という印象を持つことになりました。つけてる順位も悪くないですし、今後の対戦相手への対策がハマればワールドカップ出場権に絡む事も可能ではないかと思います。

スイスも北アイルランドも消化試合数がまだ少ない方なので、まだまだグループCからは目が離せません。

そして、この試合のカメラの引き具合がメッチャ見やすかったので、ハイライトでも見てみてもらえればと。
どの試合もこれくらい引いた視点から見れたら見やすいんだよなぁ・・・と思うので各放送媒体の方々は検討して欲しさあります。オナシャス!

注目選手

ラヴェリー

北アイルランドからはラヴェリーを。
途中交代で退きましたが、カウンターの場面では惜しいシュートを放つなど存在感を発揮。まだ22歳という事で期待をしたい選手です。
transfermarktの情報によれば、エヴァートンの下部組織出身という事で今後の活躍次第での道筋は可能性たっぷりともいえそうです。現在所属しているブラックプールでどれくらい頑張れるか、というと・・・どうなんですか?
教えて詳しい人。

セフェロビッチ

PK外しちゃったことで責任を感じているかどうかは・・・分かりませんが、今節では精力的に相手ディフェンスラインとの駆け引きを行いながら、ターゲットとして前に後ろに貢献しようとしていた姿が印象的でした。
所属しているベンフィカでも安定した活躍を見せている様なので、おそらく次節以降も呼ばれる事になるでしょう。ジャカが復帰した暁にはもしかすると代表でも活躍できるシーンが見られるかもしれないなぁ、という期待をしながら次節を楽しみにしておきたいと思います。

試合結果

2021.9.9
カタールW杯欧州予選 第6節
北アイルランド 0-0 スイス
ウィンザー・パーク
【得点者】
なし

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