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2019の話。

冬は最高。

寒いのは好きじゃないけど、真夏を考えたらずっとマシ。
着るものが多くて面倒だし、洗濯しても乾かないし、隙間風の冷たさは嫌、だけど
魚を処理するのに最適な冷え具合だし、冷蔵冷凍庫に負担がかかりにくいし、湿度が低くて焼菓子が湿気らないし、 モイスティなパンを焼いても悪くなりにくい。

そう、仕事ベースで考えたら冬の方がずっといい。

ドイツパンを焼くのにも最高、ずっとこの季節を待っていた!

種を起こすのに一晩、ときには丸一日。
温度と湿度が低くないと良く育たない、そういうちょうどいい状態というのがある。
いまのうちに、たくさん焼いておこう。

今日はレストブロート(古いパンをふやかしたもの)とクヴェルシュトック(ミュズリーをふやかしたもの)、全粒粉の湯種、サワー種で起こした中種を用意して、
小麦粉をオートリーズ(あらかじめ水と合わせて水和させておく)して、最後に粉を合わせてよく混ぜる。
用意するものがたくさんで、パッと見たら面倒極まりない気がするけど、それぞれの役割を考えたらどれも用意しておきたくなる材料だ。

それに、よく見たらサワー種と粉と水、あとミュズリーくらいしか材料はない。

グルテンの少ないライ麦などをつかって(かつリッチな素材を使わずに)いかにパン生地に仕立てるか、焼きあがったあともやわらかく水分を保つ生地に仕上げるか、幾多の段階を経てこういう作り方が出来上がったんだな〜〜〜と思うと、ひたすら感激してしまう。

料理の時も、魚や肉を処理したり熟成させたりする時もそうやって昔からのやり方の成り立ちを知って心動かされることがよくあった。

こうしたらできるだけフレッシュさを保ちつつ、保存性を高められる、そうやって思いついたやり方について調べてみると、
昔はそうしていた、みたいな記述を見つけることがある。

知らず知らずのうちに昔の人とおなじやり方を選択しているとわかったとき、より感激する。
おなじような道を歩いてきたんだな、と思って。

最先端の機器や設備、改良剤がなくても、できることがたくさんあるのだ。
ただし、それには個々の感覚や知識や技術がないといけない。
よく言われていることだけど
ひとの技術や感覚が先鋭化されていけば最先端の機器はそんなに必要なく、それができない人でもできるように補完してくれるのがそういう機器や設備、改良剤。

といっても、自分はそう公言できるほどのものではないけど.....

だけど、目指すところはそんなとこ。
すごくアナログで昔なやり方を目指している。

私はたくさんの人を雇って店を大きくする必要がないし、そうしたいとも思ってない。
だからできることだと思ってる。

それを広げたいとか、伝えたいとかもない。
自分が目指していて、そうしてできることで、伝わることがあればそれで十分だと思っている。

看板メニューになるような売れ筋のものは作れないけど、好きなものをあれこれ作って、それぞれに少しずつファンやサポーターがついてくれれば全体として成り立つから、それでいい。

そんなことを思うようになってから、お店のこと、経営のことを書く気がなくなった。

だって、自分のやってることは一般性がないのだ。
そして、それぞれの人にそれぞれの答えがあるし、答えの定め方も違う。

そしてさらに、それぞれ自分の答えは自分で決めるしかなく、他人から与えられたものを自分の答えとすることはなかなかできない、というのもある。
うまくいかない時期が長くても、最終的にうまくいかなくても、それは自分のやり方として出した答えをなぞったものなら、それでいいのだ。
(その場所に立たないと見えないこともあるし)

まあそんな感じで....
自分的にはぐんぐん広がっていく世界があって楽しいけど、対外的にはぐっと狭い間口になってる気がする。
2019、それが加速する年になったりして。

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