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お花見シーズンのこと(お知らせではないです)

桜が咲く時期がまもなくやってくる。
中目黒の川沿いは、いや、川沿いならずともみんながソワソワする、ウキウキする、あるいは鬱々とする時期だ。

外部から人がたくさんやってきて、桜を愛でるそのついでにモノを買ったり、食べたり、飲んだり、賑やかしい日々がつづく。

ある誰かにとっては、配送や、納品や、あれこれ仕事がたて込む時期なのでソワソワする。

ほかの誰かにとっては、売り上げがぐんと伸びるのでウキウキする。

ほかの誰かにとっては、朝から晩まであっちこっちからのお客さんの声に駆け回る日々になるので鬱々とする。

自然が招いてくれる大きなイベント。

川沿いはどこも満席、川沿いからすこし入ったところもいっぱい。

うちはといえば、フリーのお客さんが入ってくるような場所でも佇まいでもないので、いつもの人たちが「ここはいつもどおりだろう」という気持ちで(たぶん)足を運ぶ、そういう人達が多い、

結果として、総客数が増える時期である。

Openして初めてのシーズンは、メニューをかなり絞って臨んだ。

結果、厨房の仕事がスリム化されすぎて、ホール業務が追いつかないという結果になった。
(料理は早く出るけど、片付けたり洗い物したり、が追いつかない)
洗い場に食器が山積みで、料理は作れるけど食器がない、みたいなこともよくあった。

翌年以降は、いつものメニューで臨んだ。

ラーメンは比較的作るのも食べるのも早く済むメニューだけど、定食や一品料理は10分くらい時間がかかるものもあって、食べる時間もラーメンのそれよりは長い。

自然なオーダーミックスで、厨房の処理能力とホールのそれのバランスがとれるようになって、メニューを絞らない方がいいね、ということになった。

忙しいのは同じだし、回らないときは回らないけども、それはお花見シーズンにかかわらず日々の営業でも同じことなわけで、

出した結論は、

「お花見シーズンよりいつもの営業の忙しさの方が上」

というものだった。

外部から人が来る場合、看板メニューみたいなぱっと目立つものを頼むことが多い。

「せっかくだから(珍しいから)トマトラーメンにしよう、ふつうのやつ。」
「私も同じのにする。」とか

「せっかくトマトラーメンを食べに来たから、人気メニューにしよう、マルゲリータ。あなたはボロネーゼだね。」とか。

からあげや、フライや、そういうものはほかの店でも食べられるし。

となって、勢いラーメンのオーダーが増えて、厨房がスムーズにまわりやすい。

でも、いつもの営業だと
ラーメンの人がいれば、定食の人もいる、トッピングもするし、こっちは煮込み、あっちはソテー、つぎは揚げ物、という感じでかなりオーダーがばらけるから

ラーメンを作りながらフライパンを火にかけて、焼き上がりを確認しながら揚げ物のあがる時間をみて、ごはんをよそって、そうそう味噌汁は温まってるかな?

平打ち麺がそろそろ茹で上がる、ごはんの残りはどれくらいだろう、追いかけて炊かないといけないかな。ごはんを炊いてる間は火口がひとつ減るからやりくりが大変だ!

っていうようなことをくるくる考えながら、
オーダーをとり、お会計をし、テーブルを拭いて、次の方をお通しして、

とやるわけだから、わりと毎日フル回転。

仕込みの内容を考えても、オーダーが集中すれば仕込みをまとめてやることができる、

でもオーダーが分散してると、
あれがもう少しでなくなるけど、こっちの仕込みもやらなきゃな、これは出方をみて明日か明後日かな、限定メニューは今週持つかどうかだから、来週のために肉を発注しておかないと。となって、こまごま仕込みすることになるので、

あれとこれとそれ、を並行して今日仕込む、とか、あれが終わったらそのままこれを茹でて、とか工程をめちゃくちゃ考えないといけない。

その次の年から、もう特別なことをするとかしないとか考えなくなった。

お花見シーズンも、一年のうちの半月くらいの、日々のことにすぎない。

そう思うとき、「わりと頑張ってきたほうだよな」と、ちょっとだけ自分たちを褒めたくなる。

でもまあ、人の考え方によっては
「なんでそんな毎日大変なやり方を選んだの」って思う人もいるだろう。

稼げる時期に出来る限り稼いで、ほかの時期の補填をするのでもいいじゃん。
とかね。

答えはひとつ。

そういう商売をやりたがらない人がほとんどだから、難なく取り組めるようになれば、そのジャンルで勝てるからだ。

負けない、ということも大事だけど
勝てる場所を見つけて、そこで勝つ、ということも大事なことだ。

だって、その方が気持ちが上がるし⤴︎

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