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アップルパイのその後と料理教室の話。

昨日のアップルパイ、八百屋のおかみさんの話だった。
今日野菜を頂きに行ったらさっそく「焼いてみたわよ!」って報告をうけた🥧

「でね」と、続ける。

「何分くらい焼くの?」

えっ!?

すごい、何分焼くかわからないまま焼いてみて、焼いた後に質問している。
なんだか感動すら覚えた、衝撃だった。

まあ、
焼いてみて、
焼けたっぽいところでおしまいにして、
その結果を次に生かす、
そういうやり方はありだ。

「私は30-40分くらい焼きますけど」

「えっ!そんなに焼くの!」

「うーん、そうですね。まあ、だいたいそれくらいは焼きますね、わたしはですけど」

「もっと短かったなぁ、でもまぁ焼けてたし、みんなに食べてもらったらおいしいって言ってもらえたよ!」

「それはよかったですね!!」

大事なのは、その人がどうやったらうまく焼けるか考えて試して、そーして失敗せずできあがった、ということなのであって、完璧な商品をつくることなのではない。
と、わたしは思っている。

「寝ないで遅くまで起きて作っちゃった。
つくるのって楽しいね!」

おかみさん、にこにこして楽しそーだった。

いいねえ。

料理教室やらないの?って時々聞かれるんだけど、そういうのより、こういうのの方が楽しーな。
お金をいただく仕事としてやってないから気楽っていうのもあるけど、
取り組んでるほうも気楽に楽しんでやっていて、なんかいいなぁ、と思う。
「ラスク、初めて焼いた時はちょっと焦がしちゃってさぁ、だけど次はうまく行ったのよ!」
みたいな、そういう。

20歳の頃、代官山にパンを習いに行ってたことがある。
偶然だけど、それはいまのお店の近所にあった教室だった、今はもうない。

ホシノ天然酵母を使って、ふわふわした、かわいらしいパンを焼くお教室だった。
上品な奥様がたばっかりのなかに、大学生がひとり、かなり場違いだったなぁ。

パンはすごくおいしかった。
あの頃はドライイーストで焼くしかできなかったから、書きつけたレシピを使うことはなかったけど、今もそのノートは残ってる。
今読んだらどうなんだろう。
何か学ぶことがあるのかなぁ。
なんとなく気になりつつ、開くほどでもなく、棚のなかにそのノートは存在し続けている....

お教室で持ち帰ったパンは完成度がたかい、パン屋さんの商品、という感じの仕上がりだった....それもそのはず、
先生が一次発酵まで終えた生地を用意してくれていて、生徒は成形して、焼くのを待つだけだったから。

最後に焼きあがったパンを試食する時間がとられていたけど、奥様がたがあれこれおしゃべりしているなかに馴染めなくて、どうにも居心地がよくなかったことを覚えてる。。

まあ、そういう空気にいい印象が持てなくて、結果「料理教室」たるものに興味が持ててないってことなんだろう、
きっとそう。

プロっぽく作れたら、そりゃあいいだろうけど
大事なことは、自分がおいしいと思えるくらいのものを作れることだし
作ってあげた人がおいしいって喜んでくれたらそれでもう満点💯なんじゃないか。

その解答は人それぞれあって、
それを見つけるヒントを与えてあげられて、それを基にその人が答えを見つける、あるいはつくりだす、そういう道すじを歩んでいく、
そういう有機的なやりとりができたら最高だな〜〜、と思う。

で、今のところ、八百屋の女将さんと、あの人とこの人と、くらいの
身近なひとたちとそういうやりとりをしていて、それは不定期に取り交わされる、楽しいひと時なんである。

そのうちアップルパイを食べさせてもらおう。
楽しみ。

写真はわたしの作った練りパイクラムケーキ。
さくさくほろり、というより、強力粉だからザクザクほろり、という感じがたまらなくおいしい、というか好き。

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