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愛、独白。秀美と眉子(ティア126感想)

こちらの漫画はCOMITIA126でサークル『ラリルレロケット』で頒布されたラリルレロ様(Twitter@Rari_Q)の同人誌です。

どちらも百合がテーマの同人誌です。というか、2冊も新刊が出てるって冷静に考えて信じられないですよね……本当にありがとうございます………1冊ずつ感想を言っていこうと思います。

◾️愛、独白。

もうね、大変です。大事件ですよ。お話自体はささやかな日常の中に確かにあった愛の形、でも本当は最初から互いの中にある愛は形の違うものだった。そんな慎ましくてゆっくりと首を絞められていくような人間らしいお話でした。何が大変かと言うとですね、私の理想の百合だったんです!!!!!思わず大きな声が出てしまいました。

もともと2人の間でしか生まれない感情が好きで特に少女の危うさや、同性同士で尚且つ男性同士よりも性的な事に少し遠ざかって感じる分、心の強い繋がりが2人を結んでいるようなそんな関係の百合が好きなんですけど、とにかく2人の人間の間にだけあった行動の意味とか積み重ねた時間とか、そう言った重いものが確かにあったはずなのに、全部最初から無かったと思い知らされてしまう。そんな一瞬が生々しく描写されていて素晴らしかったです。

表紙のむつみちゃんも強い眼差しを向けながら、その表情は言葉では言い表せなくて、内容がうまく表現されているなあと感じました。

信じていたのに裏切られたという悲しさ、自分に向けられていると思い込んでいた愛はいま別の人間に注がれていて、それが逆説的に自分を否定している。考えたく無くとも深く傷ついても、あの心の繋がりを忘れる事が出来ずにいる。形の無いものをかたどった思い出の品すら、形あるものに形の無い想いを照らし合わせていただけだと気付かされる。

ぐちゃぐちゃになりながらも2度と手に入らないものを求め何も戻らない事を思い知らされる。忘れられない。自分のした事に後悔しながらも相手のせいだと思う事でしか自分を保てない。

そんな複雑な心境があます事なく描写された素晴らしい漫画です。自信を持ってオススメできる一冊です……!

◾️秀美と眉子

優秀な子と落ちこぼれ、人気者とつまはじき者。優越感と劣等感。そんな対照的な2人が互いを哀れみ、自分の醜さに気付いていながらも共依存から抜け出せない。このままの関係が続くはずも無いのに先延ばしにしてしまう、この関係を続ければ続けるほど良く無いとわかっているはずなのに。あまりに残酷で、鈍い痛みが心を蝕み互む。その中で2人は結局は自分の問題から目を背ける為に更に互いに依存してゆく。そんなどうしようもない2人の関係、感情がとってもとっても良かったです………………

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