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【商用車メーカーのお仕事-車の残価と中古車ビジネス】

何か商品を購入する際に将来の下取り価格を気にする方は多いのかと思う。私がApple製品を好んで購入するのもデザインや機能だけでなく、将来、商品の買い替えをする時に今使っているApple製品が高くメルカリで売れたりAppleが高く買い取ってくれる事を保証してくれているからと言う理由も結構大きい。

この「将来の下取り価格」を「残価」と定義してここでは話を進めていきたい。商用車ビジネスで残価と言うのは非常に重要で中古車ビジネスとも密接に関係している。この記事ではこの残価と中古車ビジネスについて解説して行きたい。

ここ数年、乗用車のCMのおかげか残価設定ローンと言う言葉を耳にすることは多いのかと思う。

これはトヨタの広告

これは将来の車両の下取り価格を設定して車両の価格からその下取り価格を差し引いた残りの金額をローン契約で支払うというものだ。毎月のローン費用を支払う必要はあるが初期費用がかなり抑えられて手元の現金を残したまま車を購入出来る事が出来ると言うメリットがユーザーのニーズを掴み結構増えている。(実は金利は残りの金額ではなく車両価格全額に掛かっているの秘密だ)

この残価を高く設定出来れば、お客さんは将来、車を買い換える時に高い下取り価格で買い取って貰う事が出来、手元に現金に多く残せる。また車両購入時に残価設定ローンを組む様であれば毎月のローン支払い費用も抑える事が出来る。この残価設定ローンは金利などの諸費用の影響でトータルの支払い金額が大きくなってしまうので車両を買うなら現金一択!と言う方もいてそれは確かにその点に関しては正しい。ただ商用車は乗用車と違って大型トラックなんかは何千万にもなる金額なので一括で購入するのは現実的ではない。また商用車を購入して下さる法人のお客さんは自分達のビジネスが今後どうなるのか分からないし、何かあった時の為に現金を手元に置いておきたい。そんな事情もあってトータルでの支払い金額が車両価格よりも大きくなっても残価設定ローンで購入するお客さんは少なくない。

一方、メーカーと販売店からすると残価を高く設定出来ると、新車価格が高くてもトータルでのお客さんの支払い費用を抑える事が出来、販促費も使用せずとも価格競争で優位に立てるという大きなメリットがある。またリース期間終了後に販売店はお客さんと交渉する機会を持てるので引き続き車両を使用するのか、購入するのか、それとも別の新車を買うのか?等の話をしながら自社の商品を紹介する事でお客さんを囲い込めると言うメリットも大きい。

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