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ラウド、メタルコアに使われるほぼ地声のようなシャウトは何なのか

メタルコア系の音楽をよく聞く方は地声を大きくしたような音質のシャウトに遭遇する機会が多いと思います。
デスボイスは歪みの成分が大半を占めているのに対し、こちらは地声9割歪み1割ぐらいの感覚です。
今回はそのシャウトが一体どういった発声なのか解説していきます。

(これは音量の大きいフライスクリームを指しているわけではなく、slipknotのコリィ・テイラーのような怒鳴り、がなり声を含む中低域の地声シャウトについて書いています)
ちなみにチェスター・ベニントンはフライスクリームを使用しています。

地声のように聞こえるミッドレンジのフライスクリームは存在しますが、地声を内包しているわけではないです。
(地声に近いポジションの声帯に呼気による加圧を行っている状態)


さて、以上を踏まえて結論から申し上げますと
基本的には全てフォールスコードスクリームに分類されます。

単純に純粋な声帯のみを使用して生成したスクリームは歪みの無い地声をノイズの内側で鳴らすことはできません。なぜなら声帯でノイズを生成しているからです。
かなりわかりづらいのですが、フォールスコードスクリームは実声+仮声帯なので可能という事です。

地声っぽく聞こえさせることと、地声を内包することは別物になります。

フライスクリームも慣れてくると地声に近い響きを得る事は出来ますし、仮声帯も作用させる事でハイブリッドスクリームという両者のノイズを含む音を作ることは可能です。

ですが、メタルコアなどで使われるような半ば怒鳴り声にも聞こえるドスが効いた音は分解して考えると、
大音量のチェストボイス+フォールスコード
で生成しています。

ただ実はこれは喉にはだいぶ良くない発声になりますので多用しないよう気を付けてください。怒鳴り、がなりのようなニュアンスを付けたいときに限定して行うのが良いでしょう。


ミッドレンジのフライスクリームのほうがダメージが少ないです。


※出し方としてはチェストボイスの音域でフライノイズを作り、息の圧力を強くしていきます。口は低音を響かせるように広く使う必要があります。
(高音域のフライスクリームとは共鳴の使い方が真逆になる)


そもそもフライスクリームはフォールスコードのように怒鳴ることはできません。
(声門下圧に対し、フォールスコードスクリームより高効率での音声の生成が行われる)
怒鳴るというよりも空気の流れで怒鳴っているように聞こえるというのが正しいです。

(大音量のチェストボイスを出しながら仮声帯を刺激するには相応の呼気量が必要となります。)

とはいえ、元より狙った音が出せるようならば細かい分類は不要です。
発声を分類するメリットは到達に必要な段階を把握できる事にあります。

(練習する際はまずフォールスコードスクリームを安全に出来るようになってから行うのが良いと思います。)

ニッチな内容になってしまいましたがお付き合い頂きありがとうございました。



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