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夜警国家

左手には一棹の三味線。

目の前には一体の仏像。

オレは一隻のタンカーの上で熱心に三味線を弾いていた。


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オレの生まれは高知県金剛峯寺の社である。空海で有名なあの寺だ。

といってもオレは捨て子だった。

寺の住職に見つけられ、その後住職に息子同然に育てられた。

転機は15歳になったころ、

住職「お前にはそろそろ独り立ちしてもらわないとな」

オレ「おう」

住職「とはいえ金がないだろう?」

オレ「おう」

住職「これに出ろ」

チラシを渡された。

『一番強い寺を決める大会、略して『寺一』開催決定!賞金は100BTC!』

いろいろツッコミどころはあるが、とりあえずオレは強いので参加することにした。

この大会のきっかけは、日本の寺院の多さらしい。なんでもコンビニより多いらしく、都市開発のジャマになるため強い神社を決め、それ以外破壊することが閣議決定されたらしい。

オレは「空海」という名を授かり、出場することにした。

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最寄りの港にタンカーが出ているらしい。

そこに乗り込んだ。

自分の部屋があるらしいので廊下を歩くと、すれ違いざまに肩がぶつかった。

空海「おい、〇すぞ」

???「わっ、ごめんっ!」

胸ぐらをつかもうとすると、逆に手首を恐ろしい速さでつかまれた。

「(こいつ、強いな…)」

二撃目をしようとすると、唐突に自己紹介された。

最澄「俺、延暦寺の最澄!同い年くらいかな?君も「寺一」に参加するの?よろしく!」

なれなれしいがまあいい。

空海「おれは空海。ところでこれはどこに向かっているんだ?」

最澄「そんなことも知らなかったのかい?(笑)いまから東京、北海道を経由して天竺(インド)に行き、ガンジス川の上流で最後の一人になるまで戦うんだよ。」

空海「……へえー。じゃあお前も敵ってわけだな。」

最澄「おいおい!(笑)ここでやり合うのは早い。なんせ、天竺まで2週間以上あるんだぜ!?」

最澄「……それに声を抑えた方がいい。誰が聞いているかもわからない。この大会は『協調』も黙認しているんだ。君だって好んで多勢に無勢になりたくないだろう?今は機をうかがうのが最善だ。」

空海「…わかったよ。それにここに来るまで疲れたし、荷物おいて休むわ」

最澄と別れ、部屋で荷物を置き、横になった。

あいつも来ているのだろうか……

薬師寺の『天武』。

隣県の奈良にいる男だが、あいつには一度負けている。

しかし、……今度こそ〇す。


がんっっっっっっっっ!!!!!!!


!?

なにかがタンカーにぶつかった。

アナウンス『非常事態発生!非常事態発生!何者かが攻撃しています!』

まだ出港して30分も経ってないぞ!?


慌てて屋上に出る。

すると、タンカーの右舷に一艘の小型船が激突していた。

一人の男がその上で叫んでいる。

鑑真「俺は唐招提寺の鑑真!!!はよう〇し合いしようや!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


空海は口角をめいっぱい上げていた。


(つづく)

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