高井たかし議員宛 #消防団の課題

すでに皆さんが沢山の問題点を指摘している通り、消防団行政には様々な問題点が有ります。

近年、消防団には消火活動以外にも実に様々な多様な活動が要求され負担が増えている現状、また、団員を取り巻く環境も随分変わり、団員の殆どが会社勤め、核家族化が進み男女の性差なく家事や子育てを分担するのが当たり前の時代となっています。しかしながら消防団組織や運営、訓練、式典は昭和の時代からなんら変わっていない為、若い世代に全く合わないというのが現状です。
つきましては以下の2点提案したいと存じます。


・ポンプ操法大会の廃止
・形式的な訓練や不要な式典の見直し

以下に理由を述べます。

■ポンプ操法大会の廃止
消防協会主催で全国消防操法大会(以下ポンプ操法大会)が開催され、付随するように県大会、地方大会、市町村大会などが開催され代表を選出するなど学生のスポーツ大会のような開催形式・規模となっており、多くの自治体や消防団では代表を選出しないわけにはいかないというような意識であり、毎年ポンプ操法大会方式の訓練を行っております。

このポンプ操法大会で模範とされる所作は実際の火事の現場では全く行わないような体の動きや確認動作が数多く含まれており、無駄であるばかりか、水を出し目標物を倒すタイムに採点の重きが置かれている為に選手が訓練中にケガをするケースが非常に多く、団員の普段の仕事や家庭にまで影響するような不幸な事故が多発している。そしてこのポンプ操法大会用の訓練に最も多くの訓練時間が割かれ、大会前数か月に亘って週に何度も平日仕事前の早朝や仕事が終わった後の夜間に集合し訓練しており、その練習には報酬など対価支払いも無い。多くの団員は実際の消火活動とは違うものと割り切って考えるなど、意味が薄いと思われる訓練を繰り返しさせられ大変な苦痛と感じているし、団員をサポートする家族にとっても大変な負担になっている。

もちろん消防団員であればだれでもポンプを扱えて水を出せなければならないのは当然ですが、ポンプ操法大会に対応した訓練のみをしていればポンプ担当選手以外はポンプに触ることはありませんのでポンプを扱う事はできません。

消防団が行うべき放水訓練とは、実際の火災発生を想定した訓練であり、集合した最小団員で出動し放水できることや、川や用水路など自然水利からスムースに安定して取水できること、夜間の火災を想定すること、何よりも大事なのは安全に展開し活動し、撤収できることに他なりません。


■形式的訓練や不要な式典の見直し
消防団機能の維持を目的とし平時に様々な訓練を行っていますが、服装の乱れが無いか確認する訓練(通常訓練)や、団員が並んで行進する訓練(小隊訓練)に代表される多くの団員規律を目的とした訓練メニューは既に形骸化しており、地域の防災に寄与しているようには思えません。また、来賓を招き町が主催して行う出初式や検閲式なども同様です。

このような形式的な訓練や式典の為に、言い換えれば住民の為ではなく、団や自治体のメンツを保つ為に自分の時間、或いは家族と過ごす時間を返上してまで臨まなければならない事は消防団活動参加のモチベーションを損ねている一因であると思いますのでぜひ見直しを行って頂きたい。

自治体や消防団はその地域に起こりうる災害やその影響度合いを見極め、本当に地域にとって必要な訓練とは何かをよく考えて訓練メニューを策定し訓練を行うべきだと考えます。


■あとがき
消防団員減少を食い止めようと、総務省は有識者による「消防団員の処遇等に関する検討会」を開催し議論が行われていますが、小さい自治体の末席消防団員の私ですが第一回議事録を読み、本当に団員減少要因を分析したようには思えない。問題の本質から外れた議論に終始しているように感じました。検討会の議論の中心である金銭的処遇もその額の低さや個人へ届かないなど問題が多いのは確かではあります。しかし私が考える問題の本質とは、実情として消防団員とその家族に多大な負担が掛かっている事こそであり、まずその負担を少しでも軽減することが団員減少対策のスタートラインであろうと考えており提言具申致します。

以上、よろしくお願い致します。



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