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MPH

今回はMPHについてご紹介したいと思います。そもそもMPHとはなんですか?という方が多いのが正直なところではないでしょうか。一年前は、私も言葉だけ知っていたもののさっぱり分かっておりませんでした。渡米を考えている方なら一度はどこかで耳にはしているかもしれませんが、今回は少し詳しく説明できたらと思います。

MPHとはなんぞ

Master of Public Health 公衆衛生大学院修士のことです。これに進学すると大学院生になり、主に1年or 2年(online等も含めると3年コースもある)かけて公衆衛生学を学ぶ事で医師としてのMDに加えてMPHという修士称号がもらえます。あまり日本では馴染みがないかもしれないのですが、アメリカの医療職の人は自分の名前の横にMDやMPH, PhDなどとアイデンティティの一部として記載するのが一般的なようですので称号が増えます。何を学ぶかに関しては、自分もまだ始まっていないので具体的にお伝えできないのですが、医療経済、統計、国際保健など一般的に大学医学部でそこまで深く知ることのなかったエリアを学べます。Public Healthという学問の中にもまた細かく応募する項目が異なっている大学院もあるので、そのあたりは実際に通っている方に聞かない限り、何を具体的に学べることは分からないかもしれません。

なぜMPHという言葉をよく聞くのでしょうか。一つ目は純粋に公衆衛生や国際保健に興味がある方が一定数いるからだと思われます。医系技官の方はどこかのタイミングではーバードなどのMPH留学のチャンスがあると伺ったことがあります。(詳しくはわかりませんすみません)二つ目の理由は、将来的に医師として渡米を目指す方のステップの一つとして選択される方がいらっしゃるからだと認識しております。まだ今年度のUSMLEのステップが揃っていないorレジデンシーアプライまでには時期が合わない、、、だからといって一年間身を置ける場所を確保しないまま過ごすのも履歴としてどうなのだろうか、、、。そんなときにMPHがぴょこりと選択肢として出てきます。レジデンシーにアプライするよりも敷居は高くなく、履歴に傷をつけることなく、アメリカに身を置いて生活することができ、大学院生として新たな医療分野を学ぶことができ、なおかつUSMLEの勉強やレジデンシーアプライの準備にも当てられる、、、というとても有難い機会と言えます。実際行かれた方から思ったより忙しいと伺ったこともあるのでどれ程USMLEの勉強時間に当てられるのかは分かりませんが、実際に大学院に通いながらレジデンシーにアプライされ、大学院卒業と同時にレジデントを開始される方を何人も知っています。MPHがマッチングにどれほど有利に働くかに関して色々なご意見があるので一概にはお答えできません。が、選ぶ側からすると、少なくともこのアプリカントは今アメリカに住んでおりアメリカの教育を受けていると言うのは事実なので、全く渡米経験がなく海外にある名も知らない病院で働くアプリカントと比較すると選考の際少し安心材料になるのかもしれません。

どうやってMPHに申し込むの

当時一番ネックでした。研修医中にさらっと調べたことがあるのですが、頭が混乱してさっさと諦めた記憶があります。ただ実は意外とシンプルです。まずはSOPHASというサイトで登録をします。基本的にMPH等を含めた多くの公衆衛生系の大学院への応募や書類の提出は全てこのサイトのみを通じて行います。応募時期は、Johns Hopkins, Harvard, Columbiaといった名門は大体12月で締め切ります(2020年は12/1締め切りでした)。Emoryは少し猶予があり1月でした。他にも大学院によっては4月くらいまで応募可能なところもありました。またオンラインメインのプログラム等も含めると年中募集しているところもあるようでした。

必要だった書類は以下の通りです。

TOEFL(IELTSも可なところあり)、GRE、Statement of Purpose (志望動機書)、推薦状(3通くらい)、大学の成績表の翻訳、履歴書

全ての書類は半年あれば余裕をもって準備できるのではないかと思います。(私は2-3ヶ月くらいで一応形にはなりました)。やはり、応募に支障をきたすのはTOEFLではないでしょうか。名門大学では100点を基準にしているところが多く大きな障壁となりえます。ただIELTSを用いて(確か合計スコアが7点)名門から合格通知をいただいている方もいらっしゃるので、とりあえず早くから手広く英語の試験を受験しておくことをお勧めします。ただ、実はスコアの基準がとても緩いところもあるので大学院を選ばなければアメリカのどこかにはいけます。

GREは、アメリカの学生も受けると言われる英語と数学の試験(英語試験の難易度が鬼畜)です。COVIDの影響もあり必須としない大学院が増えており、実際使用せず通知をもらっている方がいましたので、2020年はあってもなくても大きく合否には影響しなくなったと思われます。GRE撤廃運動があるので将来的になくなるかもしれません。私は一応1-2週間ほど勉強し、COVIDの影響で家受験できました。

選考に大きな影響を及ぼすのはStatement of Purpose(SOP)と推薦状ではないでしょうか。SOPは大学院ごとにSOPHASを通して何words以内でこれとこれを含めて書け、などと指定がありますので一つ一つ書き分ける必要があります。推薦状はアカデミックな機関の人や進学予定大学院関係者だと選考に有利に働くと聞いたことがありますし、おそらく実際有利に働きます。実際のところ、私は準備期間の制約や、アカデミックで名を馳せた大学院関係者との繋がりもなかったため、日頃お世話になっている方々にお願いしました。

残りの大学成績表はアメリカ換算する必要があるのでWESという機関を使いました。COVIDの影響を受け完成までに2−3ヶ月かかった方もいたので早めにWES に登録し、自分の出身大学の学務と連絡を取りながら進めたほうがいいかもしれません。最後に、履歴書は自分で作成するだけなので数週間もあればできると思います。

応募要項はひとまず以上です。「名門」というのはMPH rankingと打てば順位が出てきますのでそちらを参考にしてみてください。私は5つの大学院(Johns Hopkins, Harvard, Columbia, Boston, Emory)に応募して4つ合格をいただきました。Harvardからはいただけず悲しかったです。同時にレジデントの応募もしていたためMPHの準備不足感は否めず、爪の甘さが見抜かれたのだと思います。最後に、なんだかんだ言ってPublic Health大学院はとんでもない費用なので(500-800万くらい)奨学金に応募したり、とってもお金持ちでないと進学は厳しいと言う現状もあります、、。

今後の進路選択の参考になれば幸いです。ではまた!


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