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大学E.S.S.で英語を学ぶなら、スピーチがおすすめである理由

日本の大学では、英語力をの研鑽と向上を目的とした部活動やサークルの一つに、「英語会(E.S.S.)」が存在しています。多くのE.S.S.は、活動内容ごとに概ね「セクション」と呼ばれる活動内容ごとのグループに分かれ、目的とする活動に取り組んでいます。いくつか例を挙げると、ディスカッション、ディベート、英語劇などです。これらにはそれぞれ長所を有しています。

学生の皆さんは、E.S.S.に所属し、こうしたセクション活動に参画することを通して、さまざまな英語力向上のための学習機会や活動に取り組む機会を得られます。

しかしこうした活動の中で、特にスピーチの学習と研鑽は他の活動と比較し、非常に優れていると言えます。なぜならスピーチは、ライティング(文法・語法、構文学習、原稿作成)、リーディング(資料読解、原稿研究)、リスニング・スピーキング(プレゼンテーションとQAセッションの実践)と、英語学習における4技能の習得機会を最もバランス良く網羅しているからです。その意味では圧倒的な優位性を有しています。


Writing能力の研鑽と向上機会

大学英語会で実施されている英語スピーチは、主に"Prepared Speech"と呼ばれる事前原稿準備型スピーチと、"Extemporaneous Speech", あるいは"Impromptu Speech"と呼ばれる即興型スピーチの二種類が存在しています。特に競技人口が多いのは、初心者にも比較的敷居が低い、事前原稿作成型スピーチです。

原稿準備型スピーチに取り組むためには、むろん原稿の作成が必要となります。英語でのスピーチ原稿作成には、まず単語・熟語などの語彙知識の学習や、文法・語法知識が必要となります。そのため、これらの学習を継続的に行うことになります。また、表現技法 (Rhetoric) について学習することで、聴衆の印象に残りやすい、表現力豊かなスピーチを作成することができるようになります。また、原稿をより聴衆に伝えやすくするための工夫として、原稿全体の構成や段落構成について学習することになります。

こうした学習を通して、論理的に話題を展開し、文章を構成する方法や、人間の心情の機微に触れる表現を習得できます。これらは英語で学習することとなりますが、むろん日本語での文章執筆に活用するポテンシャルも有しています。

Reading能力の研鑽と向上機会

英語スピーチの学習に当たっては、自らのスピーチ作成のために、過去の優れた英語スピーチを学習する機会も得られます。有名人・著名人によって行われた英語スピーチを研究する場合もありますし、過去に実施された大会で受賞歴のあるスピーチを研究する場合もあります。こうした機会を通して、継続的に英文を読解する機会も得られます。むろん、それらを読むために、語彙知識や文法・語法知識の学習と研鑽は不可欠になるため、継続的に学習する機会が得られることはもちろん、過去のスピーチを通して表現を学習する機会も得られるでしょう。

Listening能力とSpeaking能力の研鑽と向上機会

英語スピーチは、原稿を作成し、壇上で発表して完結するわけではありません。大会に出場する場合、発表後に審査員から質疑応答の時間 (Question and Answer Session) が設けられています。この時間を通して、発表者 (Speaker) は、自らのスピーチ内容について、審査員から投げかけられる質問に誠実に答えていく必要があります。またそれらの応答は大会において評価の対象となっています。具体的には、主に「質問内容を理解できていたか」「質問内容に対して適切な量と質を持った応答ができていたか」についてです。これらに対応するため、スピーカーは質疑応答練習を実施することになります。

質疑応答練習では、自ら作成した原稿内容に従い、審査員から投げかけられることが予想される質問について事前に想定質問を作成し、それらにその場で解答していく練習を繰り返すこととなります。

原稿作成と発表練習に加えて、このような質疑応答練習のプロセスを通して、相手の質問を正確に理解し、それに対する適切な応答を行う力――リスニング力やスピーキング力――を身に着ける機会を得られます

また、即興型スピーチ (Extemporaneous Speech / Impromptu Speech) においては、発表者は壇上で選択したトピックについてその場で主張や展開を考えていく必要があります。これらの練習を通して、実践的にスピーキング能力を強化していくことができます。

総括

このように、スピーチは4技能を偏りなく伸ばすことができるため、英語力の総合的な向上につながります。大学のE.S.S.活動において、スピーチに取り組むことには大きなアドバンテージが存在しています。時間と労力がかかりますが、地道な努力を重ねることで確実に実力は付いていきます。スピーチは4技能の総合的な向上につながり、長期的な英語力の基礎を築くための最適な活動だと言えるでしょう。


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