呪いになる血縁、ならない血縁

 血縁関係が呪いに見えることがある。関係ないことにしようとしてもふとした時に血の繋がりが力を持って、簡単に人を結び付けるのがとても怖い。この感覚で深田監督の『よおがお』を観たらとんでもない地獄が広がっていた。

『よこがお』は、ある事件をきっかけに筒井真理子演じる市子の人生が転落していくというストーリーだ。
 この映画で展開されるのはどういう地獄だっただろうか。感情がコントロールできず、コミュニケーションが機能しなくなり、行動が滅裂になる地獄だ。一人だけではなく、何人かがこれに陥って不幸の応酬になる。そこに最悪なタイミングという一押しがあれば人生なんてすぐ棒に振れる。もどかしいし虚しい。そしてこんな地獄を作った引き金は何だと振り返ると、ああただ親戚なだけだったと思い出す。呪いだ。

 キャラクターの宙ぶらりんな感情、矛盾した言動を見ても「なんだこいつら」の一言で一蹴出来なかったのは、主演の筒井真理子をはじめとする最高のキャストの功績だった、本当に間違いない。上映後に深田監督と、『寝ても覚めても』の濱口監督によるトークショーがあり、「はじめに筒井真理子の映画を撮りたいと考えた」「脚本を書く前にオファーした」という深田監督の話を聞いて心の底から納得した。

 こういうトークショーを見るのはは初めてだった。面白い話が聞けた。子役の扱いとか、オーディションの話とか、「よくこんな嫌な話作れるね」と言われるけどそんなつもりは全くない、とか......(まじで言ってる? って思った)。
 Q&Aの時間では演出や設定に関する「これは監督の意図ですか」の質問が多くて、確かに細かいところ全部が監督からのメッセージに見えちゃうけど、作ってる側はそうでもないんだなっていうのを改めて感じた。



 余談だが、昨日是枝監督の『真実』を観てきた。この映画は『よこがお』と打って変わって「血縁関係が呪いにならない」タイプの親子の話だったので胸をなでおろした。
 最近は心が疲れる映画ばかり観ていたので、わだかまりが消えて心がすっと開くような感覚が大変気持ちいい。

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生きる糧
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ただの日記を書きます。ぶれた写真が好きです。

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