来訪

 どう形容するべきなのかはわからないが、縁日の屋台で見るスーパーボールが最もしっくり来るかもしれない。
 道中見える物事ほぼ全てに対して何かしらの反応を見せる彼女に、俺は少し辟易していなくもなかった。まったく、ちょっと遠出した帰り道に過ぎなかったというのに、妙な来客を拾ってきてしまったものだ。おかげで20分かかる道のりは既に1時間ほど経過している。もっとも、俺のあまり好きではない太陽の位置から計算しただけではあるが。
 「見て見て!村が見えてきたよ!すごく素敵な村!」
 こんな村はこの国を見渡せばいくらでもあるのだが、外国から来た彼女にとってはとても物珍しいのだろう。
 「ようやっと着いたな、そんなら早よう行くで」
 と言ってみたものの彼女の興味関心はピークに達しているようで、早速目的の場所とは違う方向に跳ねて行ってしまった。村のポニーたちもどうやら突然の来訪者が物珍しいらしく、嬉しそうに対応している。至極和やかで平和な光景だ、俺を除いて。
 結局、村内の観光にたっぷり30分は費やした。おかしい、本来なら所要時間は5分ほどの筈なのだが。
 「着いたで、ここがあんたの言ってたポニーの家や」
 そう言うか言わないかの間に彼女は風のように脇を駆け抜け、軽く引き戸にノックをすると、急にスピードを落として中を伺った。
 「ハロー?どなたかいらっしゃいますかー?」
 はいはーい、と聞き慣れた声が返ってくる。ドラゴンちゃんお帰りー、と返したのもまた聞き慣れた声だ。
 俺の役目も漸く終わりか、あとは2頭に任せるのが吉だ。軽くため息をついて家に帰ろうとする、と俺は彼女に引っ張られた。
 「ハアイ、私ピンキーパイ、本当はピンカミーナダイアンパイって言うんだけれどピンキーパイって呼んで!この村に来られて嬉しいわ!プリンセスルナがひのじ村は良い村じゃった、ってポロっと言ったから気になって仕方なくって聞きだしたんだけれど、プリンセスセレスティアからお世話になった方々にお礼を言って欲しいから行ってきてくださいって頼まれて、トワイライトがあの国は独特な年越し文化があるから羨ましいって言うからせっかくだから年末のカウントダウンパーティーをジャポニーにちなんで出来ないかなって思って、あ、忘れてた、私が住んでるのはエクエストリアのポニーヴィルって所なの!せっかく船でジャポニーまで来たんだけれど全然道が分からなくってピンキーセンスを頼りに歩いてたら偶然このベビードラゴン君に出会って、彼スパイクみたいよね、スパイクってトワイライトの助手のベビードラゴンなんだけれど、トワイライトは私の友達ね!彼に色々案内してもらってひのじ村までやって来れたんだけれど、ポニーヴィルのポニーを全員ここに連れてきてカウントダウンパーティーするのは無理よね、ハァッ!そうよ!プリンセスとお知り合いのふたりがエクエストリアに来てくれたら嬉しいな!一緒にみんなでパーティーしようよ!ね、ベビードラゴン君?きっと楽しくなるよ!Squee. そういえばまだ名前を聞いていなかったわ!お名前は?」
 何度もベビー扱いされて顔が引き攣るのもさることながら、彼女の次から次へと溢れ出て来る言葉には唖然とした。いきなり遠方でパーティーしないかと誘われた2頭も呆気にとられたまま顔を見合わせている。
 「ポニコです…」
 「し、シックスメーン…」
 かくして、彼らのエクエストリアでの年越しパーティーは始まったのであった。俺?堪忍して欲しい。
 「ウィー、最高のカウントダウンになりそうだね!!」

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