応え

 貴方に相談があって参りました。
 見たこともないくらい美しい2頭のポニーは、挨拶もそこそこにすると、そう話を切り出した。1頭は目の覚めるような純白の身体に靡く虹色の鬣、もう1頭は深い、夜空のような色の身体と鬣だった。あまりにも美しかったので、僕はそのポニーたちが自分よりずっと大きいことと、自分と違って角と翼の両方があることに気付くのに、少し時間がかかった。
 「僕に何のお話ですか、僕は飛ぶのが好きなだけのただのペガサスです」
 その時の僕は、自分が何か悪いことをしてしまったのだと勘違いしたのだろう。今考えれば無礼極まりない返答で、在位中におもてなしをしたらしい両親が聞いたとなれば卒倒しそうなものだが、過度の緊張状態にあった僕にはそう口走ることしかできなかったのだ。
 怖がることはありません、私たちは貴方に、貴方の妹さんのことについて相談があって来ただけです。
 貴公、失礼、あなたの妹は、強大な魔力を持って生まれて来ておる。共に生まれてきたあなたもまた、その片鱗に当たる力を持って生まれてきたことに間違いはない。
 白いポニーは優しく、青いポニーは少したどたどしく、幼かった僕には難しいことを言った。妹も僕もまだ学校にすら通う話が出ていなくって、魔法についてすら年相応の、幼稚園ぐらいの程度でしか知らなかったから、強大な魔力と言われても、片鱗がどうと言われてもわからなかった。
 彼女たちは続けた。妹と僕は、エクエストリアを含む大地に危機をもたらすか、それとも平和をもたらすか、どちらなのかはわからない、だけれど、ハーモニーの樹だったとされる城や、そこから生まれた地図が、一様に妹と僕を指し示したことは間違いない。だから、自分たちの持つ力を制御し、正しい方に導くために、それぞれ基礎を学んで、それから友情について学ばなければならない。
 青いポニーが言い出して、それを白いポニーが易しい言葉に言い直す、というサイクルの中で、徐々に僕はどういうことなのか理解していった。妹と離れ離れにならなければならないけれど、それはすごく必要で、世の中全てにとって大事なことだということ、そこまで分かれば、戸惑いはなかった。一緒に育ってきた妹と離れるのは悲しいけれども、それでも、また会えるのだから、そして、みんなを守るために自分たちの力が必要なのだから。
 彼女たちは呆気に取られたような顔で見つめ合い、少し困惑しながらも、なら、貴方に迷いはないということですね、と再び訊いた。僕は自信を持って頷くと、必ず、みんなの役に立って見せます、と堂々と言った。
 覚えているのは、そこまでだ。

 「たぶん、同じ夢をそっちも見たんだと思うよ」
 「何も言わずに行っちゃったって思ったら、そういうことだったんだ、全然覚えてないな、私」
 クラウズデールの養成学校から帰ってきたばかりの僕は、同じくキャンタロットから帰ってきたばかりの妹と食卓に臨んでいた。テーブルの上には、両親が焼いてくれたケーキが乗っている。僕たちの入学祝だそうだ。
 「ところで、そのポニーたちってたぶん」
 なんでもないかのように妹が切り出した途端、彼女が店のドアから飛び込んできた。
 「さあ、パウンドケーキ、パンプキンケーキ、あなたたちの入学お祝いパーティーだよ!!」

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MLP二次創作

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