2本の樹

 遠い昔、1000年や2000年どころじゃない、気の遠くなるような昔。
 この地には、2つの生き物が存在していた。両者とも、とてもとても小さな、眼に見えないほどの大きさの生き物たちだった。
 2つの生き物たちは別々の所で別々に生まれ、それぞれに殖え、変化していった。
 そんな中で、片方に大きな変化が起きた。空気や水の中に、ある物質を撒き始めたのだ。
 その物質は空気や水のみならず、様々な他の物質を動かしたり、変化させることのできる力を持っていた。元々自然の中に存在している物質だったが、それを利用して動く力を得ようとする存在は、彼らが初めてだった。
 他方の生き物はその物質の充満に対応せざるを得なかった。体は外界の様々な変化から守るために、その物質を防ぐようになり、より強固で大きくなった体によって、様々な姿に変化するようになっていった。
 2つの生き物は互いに若干の干渉を見せながらも、共存し、存在していた。
 それから長い長い月日が過ぎて、物質を変化させられる生き物は世界のあらゆる場所に存在するようになっていった。他方の生き物はより複雑な姿をしたものも現れるようになっていった。
 そんな中で、双方にある変化が起きた。
物質を変化させられる生き物の中に、他方の生き物の中で生きるものが現れ始めたのだ。他方の生き物も、最初は害を為すとしてそれに抗うものが多かったが、そのうちに自分とは異なる生き物を受け入れ、体の中で共存するようになった。
 それが契機となり、更に長い長い時を経るうちに、2つの生き物たちの境界は曖昧となっていった。いつしか相手を自身の中にあり、自身の体の一部として扱うようになった双方は、もはや1つの生き物と言っていい存在となっていった。
 そして今、2つの生き物が1つになったことによって生まれた生き物は、物質を変化させる力、魔法を持ち、この世界に満ち溢れることとなったのである。

 「って話を考えたんだけれど、どうかな」
 「すごい!それってすごく…神話的ね!」
 「ヨナ、この話好き!」
 「小難しい話だけれどさ、これって本当の話?」
 「たぶん、フラッターシャイ教授の授業が基じゃないかしら」
 「あー、あの退屈だった授業か」

 この世界にはかつて2本の樹が聳えていた。1本は変化を繰り返し、もう1本は変化をもたらし、その枝は共にこの世界に満ち溢れている。
 自然をそのまま我々に当てはめることはできなくとも、自然から教わることは多い。
例え起源の異なる存在同士であっても、共存し、共生することはできるのだ。
 1つとなった2本の樹のように。

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