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ノンちゃんのそら。

ノンちゃんは毎日見上げるノンちゃんのお空が大キライでした。
とても悲しい気持ちになるからです。だけどずっとずっとずっと見上げていました。
他のお空があることを知らなかったからです。

ある日たくさんんのお空があることを知ったノンちゃんは、オウチの外に出てみようと思いました。笑顔いっぱいのお空を思い浮かべ、一歩踏み出しました。

すると目がぐるんぐるんと立っていられない程にまわり始めました。慌ててオウチの中に戻ると、ぐるんぐるんはピタリと止まりました。何度やってみても同じでした。

オウチの中でノンちゃんは悲しいお空を見上げてわんわん泣きました。「笑顔いっぱいのお空の下でたくさんのお友達とただ日向ぼっこをしたいだけなのに…」

ノンちゃんはとても強い女の子でした。
もう一度だけお外に出てみようと思いました。
ふぅーっと深呼吸を一つしました。
大好きなお母さんのハグを思い浮かべました。とてもいい匂いです。
迷子になったとき親切にしてくれたお兄さんを思い浮かべました。優しい色が見えます。
泣いていたとき黙って側にいてくれた、ゆうくんを思い浮かべました。あんしんの音が聞こえます。

「いち、に、さん、ジャンプ」
目を開けると虹色の笑顔いっぱいのお空が広がっていました。ノンちゃんがずっと欲しかったお空です。「わーすごい」

ノンちゃんはお外で自由に遊びました。
泣いたり笑ったり、驚いたり感動したり。
ときどきお昼寝もしながら、のびのび遊びました。

ときどきやって来る"ぐるんぐるん" 。
そんなときは大好きなひとたちの匂いと色と音を思い浮かべます。
そして、
「ノンちゃんが笑顔になれるのはどーっちだ」
この魔法の言葉をとなえます。
お姉さんになっても、お母さんになっても、おばあさんになっても、ずっと。




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