「しあわせ家族計画」という、かつて放送されていたテレビ番組をご存知だろうか？これは、過去にTBSで放送されていたテレビ番組である。この番組は視聴者参加型のバラエティ番組で、番組にハガキを送り、当選された家には「しあわせ配達人」という人がやってくる。このしあわせ配達人、いろんな人がいたと思うが、だいたいは北野誠だったと思う。多分。そしてこのしあわせ配達人がやってきた家はなんと、番組が用意したものから、好きな賞品を選ぶことができるのである！！家電でも、旅行でも、とにかくなんでも好きなものを選べるのである！！

だかしかし、それだけでは終わらない！！

賞品をゲットするには、「宿題」と呼ばれる課題をクリアしなくてはならないのだ！！そして宿題に挑戦するのは、一家の大黒柱である父親のみ！！（母親のときもあったのかな？間違えてたらすみません…）
そしてまたこの「宿題」が難しいのなんのって。シガーボックスやトランプ手裏剣のようなジャグリング系、国名や東海道五十三次を全部覚えるといった暗記系、ピアノやギターで曲を演奏するといった楽器系、リフティング、ビリヤード、時にはUFOキャッチャーまで…とにかく毎回、どんな宿題が出されるか分からないのだ。そしてその宿題に父親や家族は絶望しながらも、父親の威厳のため、家族の欲しいもののために必死に練習を重ねて、時に団結し、時にケンカをしながら、1週間後の本番へ向けてみんなで頑張っていく…といった、テレビ番組である。あたしゃねぇ、この番組が好きで好きでたまらなくてねぇ。

あの番組に出ている普通の家族が、わたしには「普通」ではなかった。物心ついたころには母親がいなかったし、祖父母は病気で倒れ、家庭で面倒を見切れなくなって施設に入ったし、父親は泊まりの仕事も多くて、家にいない日も多かった。だから、しあわせ家族計画の中にいる普通の家族が、普通に楽しく会話したり、夫婦で宿題を頑張っていたり、親子でケンカしてギスギスしたり、本番では家族総出で父親を応援したり、失敗しても成功しても家族で抱き合ったり。毎回楽しみに見ている反面、ものすごくあの光景が羨ましかった。だからいつか、自分がいつか結婚して子どもができて、普通の家庭を築くことができるようになったら、絶対に家族に好きな賞品を選ばさせて、与えられた宿題をバチっと成功させてやるって決めて、必死にティッシュ箱で「シガーボックス」の練習を繰り返していた。

大人になってわかることは、普通がいちばん難しいということだ。普通に働いて、普通に交際して、普通に結婚して、普通に子どもができて、普通に家を買う。子どものころに想像していた普通はどれもまったく普通ではなくて、それぞれが大変で、特別で、住宅ローンは全然減らない。

住宅ローンは、全然減らない。

そうやって、自分なりの特別を繰り返して、大変を繰り返して、それが徐々に馴染んで普通になっていく。だから人それぞれに普通があるし、その普通も誰かにとっては特別なのだ。
そしてようやく、わたしは自分だけの、家族だけの特別な普通を手に入れた。

そしたら番組、終わってた。

てゆーかあの番組、実際には３年くらいしかやってなかったみたい。笑

いや笑えん。
ちょっとTBSさん！！俺さ、やっと一家の大黒柱になったよ？！いろいろあったのよ？！モテなかったり、モテなかったり、モテることができなかったり！！でも頑張ったんだよ！！もっかい「しあわせ家族計画」やろうよ！！特番でかまわないのでお願いしますよ！！俺、頑張るから！！シガーボックス頑張るから！！UFOキャッチャーも頑張るから！！なんか扇子投げて、倒した人形と落ち方で点数競うやつあったよね？あれもやるから！！暗記系はできればやめていただきたいです！！とにかくTBSさん、連絡お待ちしております！！

#好きな番組