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【脱炭素先行地域】静岡県静岡市

少し時間が経過しましたが、先日発表された脱炭素先行地域の第1回選定にて26自治体の選定が実施されました。以下の記事にて概要は記述しておりますので、もしよろしければご確認ください。

その中で私が住む「静岡県静岡市」も選定がされておりましたので、今回はその内容を確認していきたいと思います。

提案内容概要(静岡県静岡市)

出典:環境省 第1回 脱炭素先行地域の概要 P3
(https://www.env.go.jp/press/110988/117963.pdf) 

選定概要の記載は上記となっておりました。タイトルは「脱炭素を通じて新たな価値と賑わいを生む「みなとまち しみず」からはじまるリノベーション」となっており、エリアとして清水駅東口、日の出エリア、恩田原・片山エリアの3か所の記載がされております。

GoogleMapでみると以下のような感じになります。緑色の円にて清水駅東口、橙色の円にて日の出エリア、青色の円にて恩田原・片山エリアを表示しました。

静岡歴が浅いことから日の出エリア、恩田原・片山エリアがどのあたりかわかっていなかったのですが、地図をみると中心地である静岡駅周辺の施策ではない形であることが伺えました。

出典:GoogleMapを筆者にて編集

提案内容詳細(静岡県静岡市)

それでは詳細について見ていきたいと思います。各自治体の取組内容のポンチ絵の公開がされており、静岡県静岡市は以下となっております。

出典:環境省 第1回 脱炭素先行地域の概要 P19
(https://www.env.go.jp/press/110988/117963.pdf) 

対象範囲

清水駅東口と日の出エリアは海沿いであり「海洋観光開発」、恩田原・片山エリアは「工業物流」が対象となっているようです。

また、対象とするエネルギー需要家は清水駅東口は民生部門(業務その他)と日の出エリアは民生部門と運輸部門、恩田原・片山エリアは産業部門と運輸部門という組み分けとなっておりました。また、具体的な対象建築物は3エリア合計でオフィス19棟、工場4棟、倉庫33棟となっておりました。

取り組みの全体像

具体的な取り組みの全体像としては、各施設や遊休地等に太陽光、蓄電池、自営線、EMS(エネルギーマネジメントシステム)等の導入、PPA(電力販売契約)による太陽光導入の拡大、再エネ由来電力の水素を用いてFCバス運行などの記載がありました。

上記を鑑みると、再エネ導入としては太陽光が主軸という形になっているようです。取組内容の詳細について、スケジュールの記載も見ながら見ていきたいと思います。

主な取り組み内容

まずは清水駅東口エリアですが、遊休地に太陽光発電を設置して各需要家までの自営線を設置して、再エネ電力を供給。また、市域内の太陽光発電設備をもつ住居や事業者からPPAによる相対契約にて電力調達して各需要家に供給するというものになっています。2022-2023年にて環境整備や設置を実施して、それ以降適宜設備の増強をしていく想定がされています。

次に日の出エリアです。倉庫などの屋根にPPAによる太陽光発電設備と大型蓄電池を設置して、マイクログリットを構築。蓄電池で蓄電した電力は夜間に活用して、余剰電力はエリア内で融通・消費となっています。こちらは2022年にFS実施、2023~2025年に設備導入を目指すスケジュールのようです。

最後に恩田原・片山エリアです。こちらは今後エリアに進出する企業にPPAによる太陽光発電設備の設置とするようです。スケジュールの記載をみると2023年に太陽光関係設備導入の他に、2023年以降にて日の出エリアと同様に蓄電池やEMSの導入も見据えているようです。

各エリアにて太陽光発電設備導入が主な取り組みになっていますが、3エリアで計約10,000kWの太陽光発電設備導入を目指すとなっています。

また、その他にFITを活用した小水力発電を導入してトラッキング付非化石証書による再エネメニューにしたり、清水駅東口の再エネ由来水素のFCバス導入のような施策の記載が見受けられました。また、小水力は2022~2023年での導入となっておりました。

取り組みにより期待される主な効果

本取組における主な効果としては、80億円の直接投資と26億円の波及効果、資金の域内循環、再エネや蓄電池の導入による地域のレジリエンス強化が期待されています。

脱炭素取組における考察

清水駅東口エリアについてはENEOS清水油送所や油送所跡地がありますが、「清水駅東口・江尻地区ガイドプラン(案)」の策定が実施されていたり、2021年に静岡市とENEOSが次世代エネルギー導入に係るMOU締結をする等により太陽光発電設備導入の議論の下地は進んでいたようです。

小水力発電の導入の具体的地域がよくわからなかったのですが、中部電力が安倍川水力発電所の工事を進めており、こちらが該当するのかと考えました。発電出力7,500kWで、2024年12月に運開見込みのようです。

脱炭素先行地域の他自治体の案件を詳しく見ているわけではないですが、清水駅東口はかなり議論が進んでいたように調べた形では見受けられ、脱炭素先行地域の公募前からこのような取り組みを進めている自治体には結構恩恵があったのではないかと考えました。

個人的に気になったのは、PPAとマイクログリット導入の2点になります。

PPAという契約は、個人住居では屋根を貸すような形になります。PPA事業者はスペースを借りて設備を設置・管理して発電電力を得るビジネスモデルです。個人的には、これはFIT後としても発電設備の活用につながるため、いい取り組みになるのではないかと感じました。

また、マイクログリットについては是非地方でこのような電力融通が進めばいいなと感じました。大型蓄電池は高額である気がしており、このあたりどのような形での導入になるのかは気になりました。

今回はここまでになります。ついに脱炭素先行地域について記述できました。出来れば現地見学にでも行きたいかと考えており、機会があれば実施したいと思います。引き続きフォローいただけますと幸いです。

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