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Rush Gamingという日本チームと出会うまで(後編)

 Rush Gamingという日本のCall of Duty (COD) e-sportsチームとの出会いによって、今、私は過去最高にCall of Duty World League (CWL) Pro League の観戦を楽しめている。ゲームとの出会い、CODとの出会いを学生時代を絡めて振り返りつつ、Rush Gamingを応援するに至った経緯について書かせてほしい。前編は幼少時代まで遡り随分と長くなってしまったので、今回は端折れるところは端折って書いてみることにする。

■  Xbox360『Halo』からe-sportsへ

 私にとって初めて目にしたFPSというジャンルのゲームは、兎に角目が回るゲームだった。勧められて何度かNINTENDO64と似た様なフォルムのコントローラーを握ってみるも、慣れない私は数歩歩き視界を動かしただけで数秒でギブアップした。『Halo』を通して快く友人になってくれたキース氏(前編の末尾参照)にとって如何にこの『Halo』というゲームが素晴らしいか、どれほど自分の青春がこのゲームに詰まっているのか、あまりにも情熱的なプレゼンをされた私はプレイが出来なくともゲームの内容に興味を持つようになったのだ。そんなパッション溢れるプレゼンの中で激推しされたのが、彼が一番夢中になっているらしい「プロの試合観戦」。これこそが、私がe-sportsというものを観戦し始めるようになったきっかけである。(不思議なことにe-sportsという言葉は当初聞いた覚えがなく、シンプルに「ゲームをフィールドとしたプロの試合」として観るスポーツ観戦感覚のものだった)勿論、初めて”プロフェッショナル・ゲームプレイヤー”という名称を耳にした時は首を捻ったのだが、ボードゲームもカードゲームもスポーツも"Game"と言うのだしこのゲームにだって”プロフェッショナル”がいても何ら可笑しくはないだろうな。と、違和感なく納得したのを覚えている。何より、試合をする彼らが、時折交わされるチーム内での会話とその時の真剣な眼差しが、私に「たかがゲーム」とは言わせない真撃さを持っていたのだ。

 そこからは怒涛のようにキース氏に情報を詰め込まれた。どのチームが優勝候補か、期待の選手は誰か、得意な武器は何か、どんなマップとルールがあるのか。動画を観させられながらまるで大学の講義のように延々と聞かされたのだ。その甲斐あってか、私が初めて目にすることになった『Halo Reach:MLG Pro Circuit Orlando 2011』はこれでもかというくらいに楽しめた。何もかもが新鮮だったのもある。プロの実況と解説が入り、インターバルで時々選手の真剣な表情が映り込む。私にとってe-sportsとは勝利とプライドをかけて戦う純粋なスポーツであり、プレイヤーは知識・戦略・チームプレイ・キャラクターコントロールの全てを同時に熟すアスリート選手として頭に刷り込まれたのだ。(生憎、リアルタイムで観ていたのか記憶が定かではないのだが、当時の試合のVODがYoutubeに上がっているので、興味のある方は是非)

■  『Halo』から『Call of Duty』へ

 さて、前編でもお伝えしたが『Halo』の話になると長い為、ここからは駆け足で書き進めようと思う。実はこの時初めての試合観戦で私と友人のキース氏が応援していたチームは「UoR Dynasty」というチーム。そう、現在CWL Pro League TeamであるLuminosity Gamingの選手の一人、FormaLがいたチームである!(現在OpTic Gamingと100 TheivesにいるCrimsixとEnableもこの時同じ大会の別チームでプレイしている)当時は「cR_FormaL」という名前でプレイしており、私は彼のSR使いとチームプレイに惹かれたのだ。何度かチームを辞めたり、新しくチームを立ち上げたり、AGL9(Arena Gaming League)ではEnable(確か)と同じチームでプレイして優勝したり。彼が『Halo2』でHaloの選手をリタイアするまで追いかけ見守り応援した。話の流れで察するかもしれないが、私がCODのe-sports観戦を始めたのはFormaLがCODへと移行したのが理由である。残念ながら学生生活の多忙化が重なり観戦できないシーズンや試合も増え、何とか観れたのはFormaLがOptic Gamingに入りプレイしたAdvanced Warfareくらいで。...が、帰国のタイミングに続き今度は就職が重なり、ようやっとゆっくり観戦できる時間を作れるようになったのがInfinite Warfareのシーズン。しっかり観戦したCOD e-sportsの印象は兎に角慌ただしかった。Infinite WarfareはふわっとしたジャンプがHaloとは似ているのだが、リアルな銃撃音が大きくてマップも複雑で遮蔽物も多く、キャスターモードで観戦出来ているはずなのに目の前の状況しか理解できなかった。(それでもプレイヤーが4人なので、今よりも目の数は足りたのだが)ちなみに、友人の中にFPSで遊ぶ人や試合を観戦する人がいなかった為、基本的にPCの前で一人でわーわー言いながら"Let's go OpTic!"と歓声をあげて観戦していた。(羨ましいことに当時まだアメリカ住みだったキース氏は現地観戦だったので)

 そんなこんなで、ここから私のCWL Pro League観戦は始まったわけである。大会のルールを調べ、マップを調べ、OpTic Gamingのstreamを観て、試合をアーカイブで観戦する。丁度2018年World War IIのシーズンで、FormaLとKarma(BO4シーズンでは戻っている)がOpTic Gamingから外れたタイミングで、確かにずっと同じ選手が同じチームにいるわけではないのだから、もっと視野を広く他のチームも観てみたほうが良いのでは...?と考えが変わったのもこの時である。(勿論私にとってこの先もFormaLは特別な選手であるのは変わらないのだが)CWL Pro Leagueを観戦する上で、Las Vegas OpenのChampionship Bracketのトップ4(自動的にCWL Pro Leagueで試合できる権利を貰えるチーム)以外のチームの試合を観戦してみたのは今回のシーズンが初めてだった。もっと早く観ていればよかった!と思うくらいには今回Pro League Qualifierで権利を掴んだチームは面白いチームが多かったのだ。(100 TheivesとかTeam Hereticsとか!)

 視野が広がったことで他のチームの動画コンテンツやチームHPを観て、もっと自分のチームを知ってもらうのにインタビューやドキュメンタリーをアップロードすれば良いのに、と思ったチームも多々あったが、色んなチームを観てみることで、応援していきたいチームや魅力的なチーム、得意なプレイなんかが何となく(本当に何となくなのだが)解ってくるので非常に良い機会だったのだ。(また今度このあたりに関しては書きたいと思う)

■  ついにCWL Fort WorthでRush Gamingと出会う

 そうして訪れたのがCWL Fort Worth 2019。メインで観戦していたのはFormaLが所属するLuminosity Gaming(Fort Worthでは優勝を掴んだ!)と100 ThievesとeUnitedで、時間がぶつからない限りAlpha, Bravo, Charlie, DeltaとPool playを覗きながら観戦していたのだ。そこで突然テンションの高いメールが届く。

「Hey sis!!!!CODチームに日本のチームっているのかよ!!日本人だぞ日本人!!!(意訳)」

 私はこの時初めてCOD e-sportsをプレイする日本のチームがいることを知った。Twitchの公式配信、Call of Duty Openを開けば既に始まっている試合、ポイントの上のチーム名にはTrue VenomとRush Gamingの文字。どっち?どっちが日本のチーム??どっちなんだ!!と、1Map目が終わり勝利したチームが映った瞬間、一番手前には眼鏡をかけたGorou選手。日本人...日本のチームだ!!!!!!私がRush Gamingと出会った瞬間である。(友人のキース氏も今回初めてOpen Bracketも観たと言っていたので、本当にタイミングよく全てが重なったと思うと、このチームと出会えたことはもはや運命なのではと思えてくる)

 そこからはリサーチの始まりだ。日本のCOD e-sports teamをざっと調べ、HPを見て動画コンテンツをチェックする。もしも、ここでRush Gamingというチームがプレゼンテーションを全く行わないようなチームであれば、私はここで興味を失っていたと思う。CODをプレイする人であれば、作戦を含めた選手の立ち回りやスーパープレイなどに惹かれるのかもしれないが、私が求めていたのはストーリー性である。選手が何を思って戦っているのか、選手間で試合のフィードバックを交わしながらチームプレイを組み立てていこうとする姿勢や、イメージしているプレイが出来ないことへの苛立ちや苦しさ。当然、選手間での意見の食い違いでの不和もあるだろう。今シーズンのCWL Pro League teamの中で私が一番応援しているチームeUnitedも、彼らのドキュメンタリーとインタビュー動画を観ていて惹かれた結果応援するに至っている。(100 Theivesの[02100]もプレゼンの鬼!という感じでとても好みなので毎回見ている)

 私が見た限りチームのプレゼンテーションにしっかり力を入れてるグループはRush Gamingだけだったように思う。勿論、他のチームの選手だってYouTubeのチェンネルやTwitterのアカウントも持っているだろうが、最初に知りたかったことは「どんなチームなのか」ということなのだ。COD e-sportsはチームでプレイするものであってワンマンでは勝ち抜けない。(勿論個人技が弱くても良いという話ではない)そして、それがチームプレイでの醍醐味だと思うからだ。だから「どんなチームなのか」チームの色が知りたかった。そんな私が求めていたものをまるっとさらっと差し出してきてくれたのがRush Gamingだ。(COD OpenのクリップでLuke選手のSR使いに目が惹かれてしまったのは秘密だが)彼らが大会に向ける想い、あの試合は何を思っていたのか、貪欲に勝ちたいと思う姿。インタビューやドキュメンタリーを見て、本気で世界を目指す姿勢に応援せずにはいられなくなったのである。結果だけみれば彼らよりも強いチームはいる。彼らと接戦するようなチームだってある。試合内容があまり良くない時や、チームプレイが上手くはまらず、個々の選手の良いところを活かしきれなかった試合もあるだろう。それでも、Rush Gamingというチームを応援するのは、世界の舞台に行ってほしいからだ。自分のしたいプレイを成功させて、戦略とチームプレイが上手くはまり、気持ちよく勝利した時の、あの5人の歓声が私は聞きたい。

■  過去最高にCWLを楽しめている理由

 過去最高にCWLを楽しめている理由とは突き詰めればRush Gamingなのだが、もっと言うとRush GamingのFanbaseのお陰なのだ。Rush Gamingのファンには今シーズンからCODやFPSを始めました!という方が非常に多い。私はHaloで一度挫折したのちDestinyというゲームでFPSにトライしたのだが、いつの間にやらPvPに対して謎の恐怖症を患っていたのである。そんな私が、PvPに特化したCODをプレイするなんて想像もしていなかった。遊んでみよう、とりあえずプレイしてみよう、そう思えたのは一緒にCODやりましょう!というFanbase内での声の多さに背中を後押しされたからだ。(まだ触り始めて4日?ほどだが、心優しい方々のお陰でPvPもあまり怖くなくなった)

 何より一番感動したのが、実際にプレイすることでただ観戦していた時よりも段違いでCWLの観戦が楽しめるようになったことだ。実況と解説を聞きながら、キャスターモードのマップを確認しつつ、プレイヤーの動きを見る。忙しなく切り替わっていくカメラの視点を通した戦況と実況解説の声を聞いて観戦していた時とは観戦の仕方に変化が訪れた。特にことマップを見ると言うことに関しては劇的な変化だ。以前であれば「今何番の選手がどこのエリアに向かっているのはこういうことなのかな?」「さっきは何であんな動きをしたんだろう?」なんてことを考えて観ていなかったのだ。今なら胸を張って言える。

「予測と計算と判断含めた個人技とチームプレイも勿論なんだけど、相手がこう来たらこう行くっていう心理戦と戦略的なやり取りがあんな激しい撃ち合い取り合いの中で行われているっていうのがCOD e-sportsの一番の醍醐味じゃないですか!?」(個人的な感想)

 そりゃあテンションも上がりますよね、と。まだまだ戦略的なことは全然わからないし、チームによってはコールアウトも違うため観て判断するしかないし、目と耳と頭が足りなくなる時はあるのだが。結局は勉強と分析がミソなのだろうか。それでも最大限楽しみたいので、CWLやRush Gamingの交流戦配信など色んな試合を観戦しつつ学ぶ日々が続いている。(特にListen Inがあるとヒントになることもあるのだが、Listen Inが入ると本当に聖徳太子になる必要があるのでまだハードルは高い)

 こんな変化を齎してくれたRush Gamingというチームには感謝しかないし、Rush Gamingを全力でサポートしプロデュースしているWekidsの方々、オーナーのうららさん、コーチのくるたみさんにグリードさん。ストリーマーのGPさんやライトさん。彼らを支え、時に檄を飛ばし背中を押す、関係者の方々にも感謝したい。

■  最後に

 私にとってRush Gamingは観戦の楽しみ方をもう一段階上へと押し上げてくれたチームです。きっとこの先も自分にとって特別なチームであり続けると思います。いつか今の5人の選手の誰かが選手を引退したとしても、一人の人間として彼らのその後を応援していたいと思えるくらいには好きになれたチームです。

 日本のe-sports事情はきっとまだまだ不安定で不明瞭な部分も多く、ゲームに対して抱かれている固定観念が弊害として打つかってくることも多いと思います。そんな中で広がって行くRush Gamingの活躍やファンの応援、サポートしプロデュースする方々の熱意、そんな個々では小さな波が大きな波に変わることを願って、これからも応援していきたいと思います。



 最後まで目を通してくださった方、本当にありがとうございます... !長々と書き過ぎたかとは思いますが、好きなことに関しては思わず熱量が溢れ出てしまうゆえ...。それでは、また次のnoteで。

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