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林真理子訳「風と共に去りぬ」と原書を比べてみた

📘最近、林真理子さんが『風と共に去りぬ』を翻訳した『私はスカーレット』にはまっています。(4巻まで読みました)

『私はスカーレット』林真理子 
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林さんは大胆にも、スカーレットの一人称私小説風に、小説を書き直しています。
これが、Margaret Mitchellの原作“Gone with the Wind”と、どの程度違っているのか興味があり、
原作を読み始めましたが…これが面白い!!

"Gone with the Wind" Margaret Mitchel
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林さんの翻訳と原書は、ほぼ変わらないことが判明しました。
ナレーターでなく、スカーレットの目線で物語を追っているのが、唯一の違い。
日本語と英語で物語を読み比べると面白くて、
あっという間に数時間たってしまいます。

この有名な物語は南北戦争を舞台にしているので、1860年代前半。
それなのに、英語は現代と同じで、読みやすいのです。

ちょっと難しいのは、黒人奴隷の少女Prissyのセリフ
(彼女は知的障害を抱えていると思われます)
例えば、スカーレット達が、戦争で北軍に占拠されそうな大都会アトランタを出ていこうとしている時。
“We’ll take it with us. Then we can have some milk for the baby.”
生まれたんばかりのメラニーの赤ちゃんにミルクをあげるため、牛を連れて行こうと提案するスカーレットに対して、
“How all we gwine tek a cow wid us, Miss Scarlet? We kain tek no cow wid us. Cow ain’ no good nohow effen she ain’ been milked lately.”
…と、こんな感じです。(プリシーの言葉、なまりがきつすぎて、何を言っているのか7割くらいしか分からない…)

そして、わがままなお嬢様スカーレットが、Prissyに向かって
“You’re a fool nigger, and the worst day’s work Pa ever did was to buy you!”
こんなあからさまな人種差別的な言葉をぶつけたりする場面もあり、
ショックを受けることもあります。こういう時のスカーレット は、本当に嫌な女です。

わがままで自惚れ屋で、欠点だらけのスカーレットが
戦争でボロボロになった実家に帰って、農場をたくましく立て直していく物語後半は、
ダイナミックでグイグイ読ませます。

「1860年代と現代の英語、160年たっても、ほとんど変わらないなぁ…。そして、人生の教訓も。」
と思ってしまうセリフをご紹介します。

実家のタラに帰ったスカーレットは、ご近所のカルバート婦人に会いに行きます。
婦人は自分の娘に言い聞かせるように言うのです。

“Child, it’s a very bad thing for a woman to face the worst that can happen to her, because after she’s faced the worst she can’t even really fear anything again. (中略)
Don’t think you can lay down the load, ever. Because you can’t. I know.”

ちなみに、林さんのこの部分の名訳は、こんな感じ。
「スカーレット、女がその身に起こる最悪を知るのは、とても不幸なことよ。最悪のことと向き合ったら最後、もう二度と本気で恐れることはできなくなるから。(中略)重荷をおろせる日が来るなんて思わないこと。私にはわかるわ。そんな日は一生来ないのよ。」

子供時代に、過酷な戦争(白人とネイティブアメリカン部族の戦い)を経験した彼女の言葉なので、重みがあります。

この作品は映画も素晴らしいですが、
原作小説もすごく良いですね。

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