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「生まれたことが犯罪?」感想文

お正月に実家に遊びに行きました。すると母が
「あなたに借りた本がすごく良い本で、夢中で読んだわ…‼」
と、興奮冷めやらぬ様子で感想を話してくれました。
私の大好きな本を、母が読んで感動してくれて、とても嬉しかったです。
その本について、私が2年前にブログに書いた感想文と共に振り返ってみます。

【2019年10月27日のブログより】
先週の今日(10/20)、ラグビーワールドカップで、日本vs南アフリカ戦が行われました。
惜しくも日本は負けてしまいましたが、両チームともベストを尽くしていると感じられ、感動的な試合でした。
この試合を一緒に見ていた私の主人が
「南アフリカチームのキャプテンのシヤ・コリシさんは、初めての黒人キャプテンなんだ」と教えてくれました。
それを聞いた時の私は、愚かにも
「ふうん。今までたまたま、キャプテンは白人だったのか…」
程度にしか、思いませんでした。

ところが後日、ニュースを読んで驚きました。
南アフリカ共和国では、長い間アパルトヘイト(Apartheid/人種隔離)が取られていたため、黒人はラグビー選手になれなかったというのです。
1991年にアパルトヘイトを廃止し、黒人初の大統領となり、人種差別の撤廃に貢献してノーベル平和賞を受賞したのが(1993年)、ネルソン・マンデラさんでした。

南アフリカ。そしてアパルトヘイトと言えば、
私の人生でベスト5に確実に入る本があります。

★“Born a Crime” Trevor Noah(原書)
https://amzn.to/2JkyzhS

★『生まれたことが犯罪!?』トレバー・ノア著、斎藤慎子訳
https://amzn.to/2p5awgd

※私と母が読んだのは英語で書かれた原書なので、日本語訳はこれから買って読みたいと思います。

著者のTrevorさんは、アメリカのニュース風刺番組"The Daily Show"で司会を務めています。
(この政治風刺番組”The Daily Show”、私もよく見ますが、毎回豪華な政治家や有名人のゲストが出演し、トレバーさんが鋭い切り口でギャグを交えてインタビューしながらニュースを分かりやすく解説してくれます)

●昨日1/10はオバマさんがゲスト出演
https://www.youtube.com/watch?v=QRM-HWRLbBc

彼の生まれた1984年の南アフリカでは、悪名高き人種差別政策「アパルトヘイト」が公然と行われていました。
白人の父と黒人の母の混血児のトレバーさんは、
「生まれてきたこと自体が犯罪」でした。(※それがタイトル)
何と、白人と黒人が結婚することも、ハーフの子を産むことも、この国で犯罪だったのです!!

作中、人を人として扱わない、信じられないほど理不尽な差別が繰り返されます。
トレバーさんの肌は、普通の黒人より少し薄く、白人に比べるとdarkな色でした。
そのため、白人のグループに行っても、黒人のグループに行っても「あいつは変な肌の色の、謎の人種の、変なヤツ」と、気味悪がらます。
そんな中、「どうすれば皆にいじめられずに馴染めるか?」
と、カメレオンのように自分の振る舞い方を変えざるを得なかった幼少時代。彼の頭の良さは、この環境の中からも磨かれたことが推察されました。

ところが、彼も、シングルマザーであるお母さんも、
辛いことをギャグにし、明るく笑い飛ばします。
どのエピソードも、明るく楽しいタッチで書かれていますが、
このように出来事や受けとめるため、どれだけのことを乗り越えてきたのでしょう。彼の強さ、明るさ、聡明さに、たくさんの勇気をもらいました。
本文から少し引用します。
(※日本語に直したのは私です。日本語訳も出ているので、それと比べたら下手な日本語でお許しください。)

~ここから本文の一部抜粋~
Even more amazing thing is the fact that my mother was that way at a time when she could not have known apartheid would end.
My mother took me to places black people never went.
She raised me as if there were no limitations on where I could go or what I could do.
We tell people to follow their dreams, but you can only dream of what you can imagine, and depending on where you come from, your imagination can be quite limited.
My mother showed me what was possible. She found her way through sheer force of will.
「あの頃ぼくらは、アパルトヘイトに終わりが来るなんて想像さえしていなかった。驚くべきことに、その時代にあってさえ母さんは、普通の黒人が絶対に行かない所に僕を連れていってくれた。
自分がどこまでいけるか、何ができるか。その未来に限界なんてないかのように、僕を育ててくれた。
大人たちは「夢を追い続けろ」と言う。けれど人は結局、自分の想像の範囲でしか夢を見られない。人種に縛られると、僕たちの想像力は限界で狭められてしまう。
だから母さんは、何が実現可能なのか、示してくれたんだ。
誰から指図されたわけでもなく、自分の強い意志の力で、
彼女は自分の道を切り開いてきたんだ。」 (和訳: 椿由紀)

私はこのページを読んで、涙を流しました。
自分の塾の授業中に、このページを朗読して生徒さん達に聞かせたこともあります。
高校生の授業で、Daily ShowのYouTube動画を流すこともありますが、
トランプさんの物まねをするトレバーさん(すごく上手いんです)を見て
「トレバーさん、すごいなぁ。勇気あるなぁ」
「ここまで政治批判をしても、テレビで放映されるのが、アメリカって国なんですね」
と、高校生の生徒さん達も舌を巻いています。
(本当は感想文はこの倍くらいありますが、長いので割愛し、後半は後日書きます)

『生まれたことが犯罪?』…この本は、ビル・ゲイツさんが絶賛していたことでよく知られ、映画化も決定しています。
ぜひ読んでみて下さいね!

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