人身売買の犠牲者とサバイバー

こんにちは!TSUBAKI projectクルーの花城です。

みなさんいかがお過ごしですか?

最近はCOVID-19が猛威をふるい、私の住む島根県でもついに先週感染者が発表され、それ以来、少しずつ増加してきています。

この記事を見てくださっている方の状況はきっと様々だと思いますが、未曾有の事態に疲弊している方も多いのではないでしょうか。

 緊急事態宣言が発表されて、外出を自粛しお家で過ごされている方、医療に限らず生活に関わるすべてのインフラを支えるために毎日出勤されている方、本当にお疲れ様です。

 そして、ありがとうございます。
みなさんのおかげで、私は今日も生きることが出来ています。

 先の見えない日々が続いていますが、どうか無理をせず、体調には十分気をつけてくださいね。


さて、今回は2月に行ったスタディーツアー(以下スタツア)で訪問した、Shakti Samuhaでの出来事を皆さんにお話したいと思います。

 Shakti Samuhaというのは、1996年に実際に人身売買の被害に遭った女の子達によって立ち上げられた当事者団体です。当事者によって立ち上げられた団体はShakti Samuhaが世界で初めてです。

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 Shakti Samuhaでは、自らのことを「サバイバー」と呼んでいます。意味は「生き延びた人、困難を乗り越えた人」。

 サバイバーと呼ぶ背景には、
人身売買による被害は、長い人生の中での一時的な体験に過ぎず、既に乗り越えたにも関わらず「被害者」として見られることに対する抵抗

から来ているのだそうです。
(引用元:『ネパールの人身売買サバイバーの当事者団体から学ぶ〜家族、社会からの排除を超えて』田中雅子 上智大学出版)

Shakti Samuhaでは、実際にインドへレスキューに向かった時の動画を見せていただきました。
 その動画で私たちは人身売買の厳しい現状を目の当たりにしました。


 ある一つの売春宿で、約10人もの女の子がベッドの下の壁の中から出てきました。出てきた女の子は全員ネパール人でした。

壁の中には小さな部屋が広がっており、売春宿のオーナーが警察にバレるのを恐れ、女の子達を部屋の中に閉じ込めていたのです。

壁は、中から出られないように板を貼り、頑丈に釘が刺されていました。

その10人の女の子のうちほとんどは18歳に満たない子どもたちでした。


インドの売春宿へ来る18歳以下の女の子の中には、親や親戚などに騙され、売られてやって来る子もいます。


売春宿の環境は劣悪で、不衛生なので病気を患ってしまう子もいます。
しかし、幼いうちから売春宿で働かされる女の子は故郷に帰るための十分なお金を得られず、毎日生きるのに精一杯です。

帰ったって働く場所はない、病気持ちならなおさらだ」とオーナーに洗脳されてしまい、止むを得ず売春宿で働き続ける女の子達が多いのです。


「どうすれば抜け出せるんだろう...」
彼女達はそう考えています。
帰りたくても助けを呼べない、人身売買は長い時間をかけて彼女達の心と体を蝕んでいくのです。


 自分がもし幼い時に、無理やり知らないところに連れて行かれ、性的搾取を受け、そこから逃げ出すことのできない環境に身を置かれたら、どうしようもない絶望感に襲われるでしょう。

もがいても抵抗しても、女性は男性に力では絶対に抗えません。もしかしたら全てを諦め、助けを呼ぶことすら出来なくなってしまうでしょう。


 そして、たとえそこから救い出されたとしても、幼い頃に受けた人身売買の事実は「自分は愛されていなかったんだ」「自分なんか生まれてこなければよかったんだ」というように、自分の存在を否定し、その後一生傷を背負って生きていくことになりかねません。



 Shakti Samuhaは、同じ経験を乗り越えた者として、我々のような人身売買を受けたことのない人間よりも同じ目線に立って考えることが出来ます。

当事者にしか分からない苦悩、悲しみ、怒りを受け入れることが出来ます。

そして、共につらかった経験を乗り越え、自立して生きていくための術を教えてくれます。Shakti Samuhaのような当事者団体は、今後ネパールで起こる人身売買を根絶していく上で必要不可欠だと私は思います。

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 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


 次回は、昨年TSUBAKI projectがShakti Samuhaのサバイバー達と行ったTEEJのお話と、Shakti Samuhaでのレスキューの現状について投稿します。

次回の投稿もぜひ読んでいただけると幸いです。ではまた!


 

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