見出し画像

手放せない葛藤があってもいい。

「俺って、どうしてこうなんだろう」

夫と出会って10数年。彼がそういって自分自身を責める姿を、なんども、なんども、見てきた。

夫は、世間から見れば不器用とされる自分の生き方を、完全には肯定しきれず葛藤を抱えながら生きている。
その様子を見る度に、「彼を好きなわたし」まで否定されているみたいで、悲しかった。

深いところまで沈みこんだ夫には、わたしの声は届かない。


でもね。先日、落ちこんで丸まった夫の背中を見ながら、ふっと思った。

10年以上も、葛藤を手放さず抗いつづけてる夫って、めっちゃたくましくない?

自分の嫌いな部分から目を逸らさず苦しみ抜くなんて、わたしにはできない。
自分の好きな部分に目を向けて、だましだまし生きてる。

どうやらわたしは、葛藤を手放さず苦しみつづける、夫の不器用な強さを愛しているらしい。

◇◇◇

わたしの手放せない葛藤は、なんだろう。
夫を見ながら考えて、ひとつだけ見つかった。

わたしは、大切な人を、自分の言動で傷つけるのがこわい。

自分のバカさで、大切な人に取り返しのつかない傷をつけてしまう日が来るんじゃないか。
そんな恐怖が、つねに背中あたりに張り付いている。

それでも誰かと繋がりたくて、いつも葛藤しながら、大切な人の側で生きている。

◇◇◇

葛藤って弱さじゃない。

こだわり続けてしまう、なにか。自分の美学のようなものが、そこにはあるんじゃないかな?

もちろん、手放して楽になれるんなら、それもいい。

ただ、どうしても手放せない葛藤があるなら、それを認めて、引き受けることで拓ける、新しい道もきっとある。

夫がまた浮上して、わたしの声が届くようになったら。そんな話をしようと思ったんだ。



お読み頂き、ありがとうございました。 読んでくれる方がいるだけで、めっちゃ嬉しいです!