岸田首相は憲法改正への意欲で支持率と求心力アップを狙うようだがそれは簡単ではない。

おそらく安倍晋三の御威光的なものを狙っているのだろうが、その安倍晋三自身が事実上憲法改正を断念した事実を見る必要がある。憲法改正を強行することは選挙での安定的な勝利や公明党との友好関係、党内最大派閥の支配に野党の今以上の分裂を持ってしてもできなかったし、実際彼が憲法改正を急に打ち出したことで支持率が下落したことも多かった。だから彼は解釈変更や違憲法案の可決に依存していたのだ。

憲法改正は自民党支持者にとっては程度の差こそあれ望ましいものであるかもしれない。しかし公明党支持者や野党支持層、無党派層にとっては許しがたいものであることを忘れてはいけない。政権の支持率低下が無党派層の増加や自民党自体への失望によるものだと考えると憲法改正キャンペーンは支持率を押し下げる可能性こそあれ、支持率を押し上げる要因にはならないだろう。