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孫子の兵法から、勝つための原則

実践版 孫子の兵法 - 勝者を支える最高峰の戦略書 という本から、戦略について書いています。

孫子の兵法 (勝つための5つの原則) 

この本からは、あらためて戦略への考え方の理解が深まりました。

具体的には、以下の勝つための原則です。

勝つための原則
・戦うことではなく、勝つことが最終目標
・どこで戦うかが大事
・もし戦うなら、相手に勝つ条件を少しでも多くする
・戦いの始め方
・大切なのは負けないこと (生き残ること) 

それぞれについて、詳しくご説明します。

[原則 1] 戦うことではなく、勝つことが最終目標

目的はあくまで勝利であり、戦うこと自体ではありません。戦うことは、目的達成の手段にすぎず、選択肢の一つです。

戦略は勝つという目的のためにあります。戦略の上位にあるのが目的です。目的を達成するために何をやるかが戦略です。

戦略の二文字は、戦いを略すると書きます。目的を達成するのに必ずしも戦う必要はなく、むしろ戦わずに勝てるほうがよいのです。

[原則 2] どこで戦うかが大事

ただし、目的を達成するためには戦う必要に迫られることもあります。

大事なのが、戦う場所です。自分にとって有利な場所、相手には不利な場所を選べるかです。

現代のビジネスに置き換えれば、参入する市場です。個人に当てはめれば、どの業界の会社で働くかです。

市場が伸びているような環境でさらに自分を成長させるのか、停滞または縮小にある業界で勝負するかでは、自社や自分の市場価値に影響します。上りのエスカレーターに乗って駆け上がるのか、下りのエスカレーターを逆走して上がるかの違いです。

[原則 3] もし戦うなら、相手に勝つ条件を少しでも多くする

孫子の兵法が大切にするのは、戦いの準備です。己を知り、敵を知ることです。自分と敵を見比べて、相対的なお互いの強みや弱みを見極めます。

同じ特徴でも比べる相手によっては、強みにも弱みにもなります。だからこそ、己と敵の両方を知ることが重要です。

孫子が説くのは、あらかじめ勝利の態勢を整えたほうが勝つことです。戦いが始まりあわてて勝機を掴もうとしても遅いのです。

[原則 4] 戦いの始め方

戦いの始め方も大事です。戦いの序盤で主導権をいかに握るかです。

戦うにあたって、万が一のプラン B (代替案) を持っておきます。シナリオを複数持ち、前提とともに整理しておきます。

また、戦いに勝てる見込みが始めからないのであれば、勝負をしないという判断が求められます。

[原則 5] 大切なのは負けないこと (生き残ること) 

全てを失う大失敗だけは絶対にやってはいけません。勝つことは大事ですが、負けないことが大切です。

戦う前に勝算がないなら勝負をすべきではなく、勝てないのなら逃げるべきです。一時的に退散してでも、勝利の機会を伺うのです。

孫子からの教えは、局面によっては、やめる勇気を持てるか、逃げる決断ができるかどうかです。

敵を 「自分が新しく始めること」 と捉える (兵法の応用) 

本書でユニークな着眼点だと思ったのは、戦う敵を 「自分が新しく始めること (行為そのもの) 」 と見なす考え方です。

敵に勝つこととは、新しく始めることに成功することになります。敵を新しく始めると捉えると、示唆があります。

孫子の兵法で有名なのは、「己を知り、敵を知る」 です。

新しく始めるにあたって、己を知ることとは、これまでの自分の経験や持っているスキルの何が活かせるのかを見極めることです。

敵を知るとは、新しく始めることについて、事前に調べることです。

例えば、自分にとっては新しい挑戦でも、すでに他人がやっているかもしれません。その人たちの失敗談や成功のコツを事前に知ることができれば、自分が新しく始めることの成功確率を上げられます。

新しいことの始め方

孫子の戦いの始め方からも、新しく始めることへの示唆があります。

リスクテイクは、いきなり大博打に打って出るのではなく、適切なリスク範囲にすべきです。リスクを取りすぎると、大成功の確率がある一方で、大失敗から全てを失う可能性があります。

孫子の教えからは、生き残ることが大事で、生き残っていれば次の機会でまた挑戦できます。

新しいことを始めるにあたっても、常に代替案を用意しておくことも大事です。代替案というプラン B があるからこそ、本命のプラン A に集中できます。

最後に

今回は、あらためて戦略とは何かを考えました。

目的はあくまで勝利であって、戦いではありません。あらゆる行動には目的があるものの、時に人は手段と目的を混同します。

兵法書は、戦争に勝つための道具です。孫子が大切にするのは 「不敗」 、つまり負けないことです。いかに生き残るかということは、現代においても示唆に富みます。


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