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キープ購買を解説。「影響力の武器」 でお客さんの購入に導く方法とは?

今回のキーワードは 「キープ購買」 です。

キープ購買とは何か、どうやってマーケティングに活かすかを解説します。

書籍 「影響力の武器」 も補助線にし、キープ購買を的確に捉え、お客さんの購入に導くアプローチについて、ぜひ一緒に学んでいきましょう。


キープ購買

とりあえず保存、セールイベントで購入

キープ購買とは、気になった商品は保存しキープしておき、お買い得なタイミングで後から買うという消費者行動です。

a出典: MarkeZine

消費者が欲しい商品を見つけた際に、写真やメモ、ウェブサイトならお気に入りや買い物カゴ、他には SNS で一時的に保存しておき、セールイベントなどの特定のタイミングで後から購入するという流れです。

セールイベントは有名なものだけでも、楽天市場の 「Rakuten スーパー SALE 」 、Amazon の 「プライムデー」 、Yahoo! ショッピングの 「超 PayPay 祭」 、Qoo10 の 「メガ割」 があります。以前なら年初の 「初売り」 、新生活やボーナス商戦などの年に数回くらいでしたが、最近は年中どこかでやっている印象です。

これらのセールイベントが購入への最後の後押しになるわけです。イベントは期間が決まっているので、終わる前までのお得に買えるタイミングで買うというのがキープ購買です。

キープ購買の成功事例: XOUL

キープ購買をうまく捉えた事例を1つご紹介します。

Qoo10 (キューテン) の 「メガ割」 で成功したのが、「XOUL (ソウル) 」 というスキンケアコスメのブランドです。

以下は関連記事からの引用です。

過去に XOUL ブランドでは、Instagram 広告を中心にインフルエンサー施策を定期的に実施していましたが、「メガ割」 の世間的な盛り上がりを受け、生活者の新たな接点作りのトライアル施策として実施。とはいえ、認知度はこれからの商品ということもあり、「メガ割」 のお得さに惹かれた既存ユーザーの購入が中心になるのと予想されていました。

ところが蓋を開けてみると、「メガ割」 期間中の購入者の 93% が新規顧客という結果に。新規層の獲得チャネルとして大きなポテンシャルがあることがわかったのです。この結果に大きく寄与していたと考えられるのが、「メガ割」 の開催直前から直後に実施したインフルエンサー施策です。

過去の取り組みで実績が良かった方や Qoo10 に関する投稿を普段からしている方を起用し、「メガ割」 にフォーカスして商品を紹介したのですが、平均リーチ率は 90% 以上、平均エンゲージメント率も 3% 以上と、通常のインフルエンサー施策と比較しても非常に高い成果が現れました。

Qoo10 内のトラフィックを見てみると、「メガ割」 最初の週末に 「お気に入り」 の機能からの流入が増加。さらにクーポン期限の発行日と最終日にも 「お気に入り」 からの流入増加が見られました。

これらの事象から、おそらく 「メガ割」 開催前のタイミングでインフルエンサーの投稿を見て、いくつかの商品を検討候補として Qoo10 のお気に入りに追加。実際に 「メガ割」 が始まると、お気に入りの中から順番にお目当てのものを購入していき、終盤にかけてクーポンを使い切るためにお気に入りを見直して購入する。といった行動が起きたと考えられます。

つまり 「メガ割」 の開催前に、インフルエンサーを含む第三者の SNS 投稿を通して 「メガ割で検討したい商品」 としてキープされることが非常に重要なのです。認知率の低い商品の場合、購入検討の第一候補になることは難しいかもしれませんが、9番目の候補までに入れば購入されるチャンスがあるというのが、メガ割を活用するプロモーションの大きなメリットと言えるでしょう。

MarkeZine 2023.9.14

購入者の行動を図式化すると、次のようになります。

出典: MarkeZine

では、どうすればキープ購買を捉え、お客さんに買ってもらえるのでしょうか?

キープ購買を捉える方法

ヒントになるのが、影響力の武器 - なぜ、人は動かされるのかという本です。


人を動かす6つの要素

書籍 「影響力の武器」 には人を動かす6つの要素が書かれています。6個の要素にはキープ購買をする消費者に商品を買ってもらうためのヒントがあります。

6つの要素とは、返報性、コミットメントと一貫性、社会的証明、好意、権威、希少性です。

順番に補足すると、

  1. 返報性 (reciprocation)
    相手から何かをやってもらったり受け取ると、その相手に何かを返したくなる

  2. コミットメントと一貫性 (consistency and commitment)
    人は一度何かを決めたり、約束をしたりすると、それを守ろうとする心理がある

  3. 社会的証明 (social proof)
    多くの人がしていることは正しいだろうと思う。たとえばすでに商品を購入した人の声を掲載することで、他の人も購入しやすくなる

  4. 好意 (liking)
    自分を好きになってくれたり、褒められたり、共通点があると、その人には好意を抱く

  5. 権威 (authority)
    専門家や有名人など権威のある人から言われたことは信じやすく、従いやすい

  6. 希少性 (scarcity)
    限定感や希少価値のあるなど手に入れにくいものは価値が高いように感じる

キープ購買への応用

では、人を動かす6つの要素をキープ購買に応用し、それぞれ当てはめてみましょう。

  1. 返報性
    商品を買ってもらう前に先に何かをプレゼントする。たとえば無料サンプルや期間限定の割引、商品カテゴリーに関する便利な使い方やノウハウなどのアドバイス情報も有効。
    このようなアプローチでお客さんの心をまず先につかみ、後々の購入へとつなげる。

  2. コミットメントと一貫性
    キープ購買でお気に入りや買い物カゴに入れるときに 「この商品を後から買っていただけますか?」 などの選択やチェックができるようにする。機能的な拘束力はないが、後から買うことへの心理的なコミットメントを醸成する。

  3. 社会的証明
    すでに購入したお客さんの声やレビューを商品ページや SNS に掲載する。お気に入りに登録してくれた人にだけ詳細のレビュー情報を限定公開する仕組みを入れても良い。
    新しいお客さんも安心して購入に踏み切りやすくなる。

  4. 好意
    お気に入り・買い物カゴに商品を追加してくれた人に、「保存していただきありがとうございます」 というメッセージから、欲しいと思って保存してくれたことへの感謝を伝える。

  5. 権威
    専門家、有名人やインフルエンサー、自分の推しの人から商品をおすすめされると、人は信じやすくなる。お気に入りに商品を入れた人には、その後にタイミングを見計らってインフルエンサーや専門家からのレビュー、ユーザーの口コミ投稿や UGC を表示する。

  6. 希少性
    お気に入りに保存した商品は、他の人もたくさん保存していることを知らせる。
    キャンペーンやセール期間の終了日を伝え、早めに買わないと売り切れてしまうことを煽りすぎることなく自然に伝えることで購入への後押しをする。


以上のように、書籍 「影響力の武器」 で解説されている人を動かす6つの心理的要素をうまく取り入れることで、キープ購買をする消費者に効果的なマーケティングができます。

まとめ

今回は 「キープ購買」 をキーワードに、どうすればお客さんの購入につなげられるかを掘り下げました。

最後にポイントをまとめておきます。

  • キープ購買とは、消費者が良いと思った商品をお気に入りなどに一時的に保存しておき、セールイベントなどの特定のタイミングで後から買う消費者行動。お買い得で期間限定のセールイベントや SNS で見かける商品情報が購入への後押しとなる

  • 書籍 「影響力の武器」 にある人を動かす6つの要素、返報性、コミットメントと一貫性、社会的証明、好意、権威、希少性をマーケティングに活用することで、キープ購買を捉えることができる

  • たとえば、返報性を活用して無料サンプルや特典を先に提供したり、社会的証明ではすでに購入したお客さんのレビューや UGC を見せる。
    権威のある専門家や有名人・インフルエンサーなどからおすすめする。
    希少性はキャンペーンやセール期間の終了日から、早めに買わないと売り切れてしまうことを伝え購入への背中を押す

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