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PDCA はオワコンか?OODA ループから考える PDCA を有効に使う方法

今回は PDCA についてです。

PDCA を有効に使うためにはどうすればよいかを、OODA ループというものをヒントに考えます。なお、OODA ループとは、意思決定プロセスです (詳細は後述) 。

PDCA の功罪

PDCA は、Plan (計画) → Do (実行) → Check (検証) → Action (改善) をまわすサイクルです。計画を立て、計画に沿って実行し、結果検証から改善点を見い出します。改善を計画に反映させ、次の PDCA サイクルをまわします。

PDCA には、弊害があります。

P の計画に時間をかけすぎ、いざ D の実行段階で計画が機能しないことです。

特に変化の激しい分野や業界で顕著です。時間をかけて色々と調べ、詳細に検討を重ねて計画を立てても、変化が早いとその間に当初の状況が変わってしまいます。

P を仮説 (Hypothesis) と捉える

PDCA では、いかに早く D にもっていけるかです。P は plan というよりも、プロトタイプの P と位置づけ、入念に時間をかけずに早く実行に移せるかです。D の前の P は、仮説 (Hypothesis) と捉えるべきです。

PDCA で大事なのは、D の後の C と A です。実行して終わりではなく、検証と改善を徹底できるかです。

PDCA が有効なのは、D の実行をやりっ放しで終わらせずに、C の検証で何を学び次に活かすことによってです。

何が成功、何がうまく機能しなかったかを見極めます。特に失敗からの学びに価値があります。失敗の原因と対策から改善し、次の PDCA サイクルにつなげます。

OODA ループ

ここからは、OODA ループについてです。

OODA ループは、朝鮮戦争の時にアメリカ空軍が、空中戦でのパイロットの行動を分析し導き出したものです。

米軍の分析からわかったのは、パイロットは四段階の対応をしていることでした。OODA は4つの頭文字です。

OODA ループ
Observe (観察):情報を収集する
Orient (状況判断):収集した情報を解釈し、何を意味するのかを考える
Decide (意思決定):状況判断から決断をする
Action (行動):実際の行動に移す


アメリカ空軍の研究目的は、空中戦での撃墜王と呼ばれるような優秀なパイロットと、一般的なパイロットでは何が違うのかを知ることでした。

研究結果からわかったことは、以下でした (参考:ユニ・チャーム SAPS 経営の原点 - 創業者高原慶一朗の経営哲学) 。

研究結果
状況判断 (O) 意思決定 (D) で、優秀なパイロットは他のパイロットに比べて有意な差があった
・適切な 「観察・状況判断・意思決定」 を欠いた作戦行動は機能していなかった。素早い状況判断と意思決定により、敵がその状況に対応する前に次の行動を起こすことが勝利に結びつく
・OODA ループのサイクルをきちんと回し続けることが勝利の条件

空軍の OODA ループの研究が示すのは、判断と決断をいかに早く適切にするか、決断を早く実行し、OODA ループをまわしつづけることが大事だということです。

PDCA と OODA は補完関係

PDCA と OODA の特徴を見比べてみます。

PDCA と OODA の特徴
PDCA: 実行と改善プロセス。学びを次の行動にどう活かすかが大事
OODA: 意思決定と行動プロセス。状況判断と決断を行動に活かすことが大事

私が思う2つの関係は、PDCA と OODA は補完関係にあることです。具体的には OODA は、PDCA の 「検証」 と 「改善」 をより良くします。

PDCA の 「検証」 において、OODA の 「観察」 と 「状況判断」 から、どんな解釈をし、何を見極め、要するに何を意味するのかを理解することです。

抽出した意味合いによって、意思決定をします。PDCA の最後の 「改善」 に活かすことができます。

PDCA に OODA を効果的に使うためには、PDCA の P から D をいかに素早く移れるか、P を計画よりもプロトタイプや仮説と位置づけ、早く実行できるかです。

以上のように、OODA は PDCA の精度を上げてくれます。2つは補完関係にあるのです。

最後に

今回は、日本のビジネスシーンで馴染みのある PDCA を考えました。

繰り返しになりますが、PDCA のポイントは C と A です。実行で終わらずに、継続的な仮説と検証からの改善プロセスをまわし続けることに PDCA の価値があります。

PDCA は決して使えない考え方ではなく、適切に使えばビジネスにおいて有用なアプローチです。


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