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「トンカツ理論」からマーケティング戦略を考える

マーケティングについてです。

トンカツをお店で買う理由から、自分たちの強みをどう磨くかを考えます。

トンカツをお店で買う理由 (トンカツ理論) 

私の尊敬するマーケターの佐藤義典氏が提唱するマーケティング理論の1つが、「トンカツ理論」です。

トンカツ理論とは、トンカツを自宅で食べたいときに、自分で作らずスーパーで買う理由を整理すると、企業が外注する理由に当てはまるというものです。

トンカツを自分で作らずにスーパーで買う理由
・道具やスキルが無いために、そもそも自分では作られないから
・スーパーで買った方が楽で早いから
・スーパーで買った方が低コストだから
・スーパーの方が自分より上手に作れるから
・スーパーで買った方が選択肢が多いから

トンカツは具体例なので、コロッケなど揚げ物や惣菜コーナーで買えるメニューで考えることもできます。ハンバーガーなどのファストフードにも当てはまります。

自分では作りたくないもの、作れないメニューでも、食べたいと思ったときにスーパー等で買う、または飲食店で食べる理由です。

トンカツを買う理由を一般化すると

トンカツをスーパー等で買う5つの理由を一般化すると、3つに整理することができます。

買う理由の一般化
・自分にはできないから、外で買ってくる
・自分でもできるが、外で買う方が手軽、早い、安く済む
・自分でもできるが、外で買う方が高品質、または種類が豊富

スーパーでトンカツを買う理由とは、自分ではない誰かに何かをやってもらうためです。

例えば、企業が自社業務を他の企業に外注する理由に当てはめることができます。

業務を外注する理由
・自社にはできないから、外注先にやってもらう
・自社でもできるが、外注するほうが手軽、早い。自社でコストをかけるより外注費のほうが安い
・自社でもできるが、外注先のほうがアウトプットが高品質、対応の幅や種類が豊富

逆の視点から考えると

トンカツ理論を逆の視点で見てみます。外注する理由を、立場を逆転させて考えると、別の示唆を与えてくれます。

外注する側ではなく、受け手、つまり自分たちがどうすれば発注してもらえるか、案件や注文をどう取ってくるかを考えるヒントになります。

先ほど3つにまとめた外注する理由を受け手側の視点に変えると、発注される理由は次のようになります。

発注される理由
・発注元にはできないことを自分たちはできる
・自分たちのほうが早く、安く済ませられる
・自分たちのほうがいいものを提供できる。対応できることが多様なので、発注元にとって選択肢の幅が広がる

「強み」の視点で考える

ここからは、仕事を受けることを「強み」の視点で考えます。

考察の論点
・自分たちの「強み」は何か
・強みはなぜ実現できているのか
・個人の強みの棚卸しに応用

[考察 1] 自分たちの「強み」は何か

発注する側で考えると、発注を決定する前に、自社でやるか発注をするかの判断が入ります。発注をする場合も、複数の発注先候補から1つを選びます。

発注される理由とは、こうした複数の選択肢から自分たちが選ばれる理由です。

トンカツ理論からの示唆は、自分たちが案件を取った・発注を受けた理由は何かを考えるヒントになることです。

自分たちの強みの掘り下げ
・他社ができないことを自分たちだけができる
・他の会社もできるが、自分たちはより早く、あるいは低コストでできる
・他社もできるが、自分たちはより高品質な対応ができ、または対応の幅が広い

自分たちの強みとは、比較される選択肢の中で、他の選択肢よりも自分たちが相対的に秀でているもので、かつ、選ぶ側にとって価値のあることです。つまり、強みとは選ばれる理由です。

[考察 2] 強みはなぜ実現できているのか

自分たちが選ばれる理由がわかれば、もう一歩踏み込んで自分たちの強みの「源泉」は何かを理解するとよいです。強みがどうやって実現できているかです。

他社ではできないことが自社であれば可能なのは、何らかの構造的な理由があるはずです。例えば、他社にはない技術を自分たちは持っているとすると、それはなぜ、どのように獲得できたかです。

研究開発に多くの投資をしてきたからなのか、優秀な技術メンバーがいるからか、特許によって実現できているからか等です。強みを実現できている理由が、他社にすぐに真似されにくいことであれば、その強みはこれからも自社が選ばれる理由として存続できます。

ただし、強みの源泉が中長期では維持できないことであれば、その強みはいずれは他社もできるようになります。そうなると、自分たちが選ばれるためには、その強みをより強化するのか、それとも別の強みを持ち、新しい選ばれる理由を提示できるかです。

[考察 3] 個人の強みの棚卸しに応用

トンカツ理論は、個人のレベルでも応用できます。例えば、自分の仕事における強みは何かを把握することに使えます。

上司や同僚、他の組織から自分が仕事を依頼されたとします。これは会社レベルでの自社が案件を受注できたことに相当します。

受注できた理由がトンカツをスーパーで買う理由に当てはまるように、自分がなぜその仕事を得られたかの理由もお店で買った理由に当てはめることができます。これが、自分の強みを知るヒントになります。

自分にしかできないことなのか、自分のほうが他人より早くできるからなのか、自分のほうが他人より成果が出せるからなのかです。どの理由で自分が選ばれたのかがわかれば、自分の仕事での「強み」を見極めることができます。

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