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「行動の教科書」は現場で使える行動科学マネジメントの実践テキスト。できる人の行動から学び、誰でも行動ができるようするマネジメント手法

短期間で社員が育つ「行動の教科書」- 現場で使える行動科学マネジメントの実践テキスト という本から、行動に焦点を当てたマネジメント手法をご紹介します。

行動の教科書とは

本書で紹介されるマネジメント手法は、一言で言えば行動にフォーカスして、すでにできる人のやり方を普通の人にもできるようにするアプローチです。

行動科学マネジメントで「ピンポイント行動」と呼ばれる、業績に直結する行動 (例: 売上につながる行動) を見極め、誰でもピンポイント行動ができることを目指します。

ピンポイント行動が具体的に示される

本書のタイトルにある「行動の教科書」では、取るべき望ましい行動としてピンポイント行動が具体的に示されます。

行動の教科書は、分厚いマニュアル書にはしません。全ての行動を細かく指定するのではなく、あくまで業績に直結するピンポイント行動が主です。行動の教科書は30ページ程度の分量です。

できる人の行動から学ぶ

行動の教科書に書かれるピンポイント行動のモデルは、本書でハイパフォーマーと表現される「できる人」です。

ハイパフォーマーは、通常は組織全体では2割程度で存在すると本書では説明されます。彼ら・彼女らは、指示がなかったり抽象的なことを言われても、自身で具体化でき、自分の行動に落とし込めます。

一方、残りの8割の人は、同じことができません。指示が具体的ではないと、行動につながりません。あるいは、本人はできていると思っていても、実際は行動に正しく適応できていない場合もあります。

行動の教科書は、この問題を解決します。

ハイパフォーマーの行動を一般化し、誰でもできるよう言語化します。行動の教科書としてまとめ、普通の人にもハイパフォーマーの行動を定着させることを目指します。

行動の教科書のつくり方

行動の教科書は、以下のプロセスでつくります。

行動の教科書のつくり方
・モデルにする「できる人」を決める
・できる人の行動を観察し、インタビューをする
・できる人の「思考プロセス」を整理する (思考プロセスについては後述)
・ピンポイント行動を見極める
・できる人の行動と考え方を言語化し、行動の教科書にまとめる

行動の教科書をつくるために、できる人の行動やインタビューから、どのような思考プロセスを持っているかを理解します。

思考プロセスは、次のような要素で構成されます。

思考プロセスの要素
・最終ゴールとそこに至る複数の小さなゴール設定
・小さなゴールを達成するための日々の行動
・それらの行動の意図 (できる人が無意識にやっていることも含む)
・再現性 (できる人の個人の要因に依存している場合は除く) 

[ポイント 1] できる人のピンポイント行動を抽出する

2割のできる人であるハイパフォーマーは、これらの思考プロセスからピンポイント行動につなげています。誰かに教えられなくても自分でできます。人によっては、意識しなくてもできています。

行動の教科書では、ハイパフォーマーが何をしていて「できる人」なのかを見極め、行動の中から特に業績に直結する行動をピンポイント行動として抽出します。

[ポイント 2] 小学生にもわかる表現で

本書で興味深いと思ったのは、小学生にもわかるくらい、難しい表現を避けるほうがよいと書かれていました。

実際に企業の従業員を対象に調べた結果でわかったのは、「漢字はあまり使わず、小学5年生に通じるくらいのレベルにしておくと理解されやすい」ということでした。

小学5年生に通じるイメージは、「週刊少年ジャンプ」や「りぼん」に出てくるような表現です。具体的には、次のような表現です。

小学生にもわかる表現で
・概観する → ガチンコで10秒見る
・調査する → マジでググる

ではここからは、行動の教科書をどう使うかを見ていきましょう。

[ポイント 3] 行動の教科書を使い定着させる

行動の教科書はつくって終わりではありません。つくっただけでは道半ばです。

重要なのは、行動の教科書が絵に描いた餅にならないよう、8割の普通の人に伝え、行動を変えて定着させることです。

[ポイント 4] 「Have to」ではなく「Want to」

義務感で「 ○○ しなければならない」と、主体的に「 ○○ したい」で動くのでは、本書によれば主体的な行動のほうが約3倍の成果の違いがあるようです。

いかに「Want to」で動いてもらうかです。そのためには行動自体を褒めることが効果的です。

[ポイント 5] 行動を褒めよう

行動を強化し、継続して定着してもらうためには行動自体を褒めることです。

例えば「よくがんばった」と褒めると、「がんばったこと」について、褒めた側と褒められた側で認識がズレることもあり得ます。

他には、「お客さんに丁寧な対応だった」「迅速な対応だった」では、「丁寧な」「迅速な」は具体的ではないので、お互いの理解に齟齬が生まれます。

そうではなく、「電話をかけた」「お客のところに訪問した」「自分から率先して問題を提起した」などの、具体的な行動を褒めるのです。「がんばった」ではなく、具体的な行動であれば、褒められた側は次もその行動を続ければよいと思え、行動の定着につながります。


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