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「マーケティングプロフェッショナルの視点」 に学ぶ、マーケティングとブランディングの共通点と違い

今回は、書評の記事です。

ご紹介したい本は マーケティングプロフェッショナルの視点 (音部大輔) です。

この記事でわかること

この本に書かれていること
マーケティングとブランディングの 「共通点」 と 「違い」 
ブランド設計の考え方

マーケティングの知識やノウハウは、直接マーケティングに携わっていなくても、ビジネスで広く使える汎用的なスキルになります。

ぜひ、最後まで読んで、仕事での参考にしてみてください。

本書の内容

この本はマーケティングの考え方や方法について、著者の音部大輔氏の視点で書かれています。

特に自分の考え方との違いが興味深く読めた本でした。

以下は、本書の内容紹介からの引用です。

P&G 、ユニリーバ、ダノン、資生堂……

先進企業でマーケティング部門を育成・指揮してきた著者がビジネスを成功に導くプロマーケターの “共通言語” をやさしく解説。

技術による差異化が難しい今、企業が持続的に成長するには、顧客視点に立ったマーケティング戦略を立案・実行できる人材が必要です。その第一歩が、マーケティングのプロフェッショナル = プロマーケターだけが知る “共通言語” を学ぶこと。

マーケティングとは何か、ブランドとは何か、競合とは何か、戦略を構成する目的と資源とは何か──。

この本で興味深く読めたのは、マーケティングとブランディングの共通点と違いでした。

マーケティングとブランディング (共通点と違い) 

マーケティングとブランディングの共通点は、消費者の認識に作用し、購入などの消費者行動に必然性を提供する企業活動です。

では、マーケティングとブランディングの違いは何でしょうか?

以下が、それぞれの意味合いや目指すものの比較です。

マーケティング
・マーケティングとは市場を創造する活動
・カテゴリーの順位を再定義する。新しい 「よい ○○ 」 を創り出す (○○ にはカテゴリー名が入る)
・マーケティング活動の結果としてニーズをつくる
ブランディング
・ブランドとは意味である。ブランディングとは意味をつくり確立する活動
・ブランド = 商品 + 意味
・ブランディング活動の結果としてベネフィットをつくる

[補足] マーケティングの 「よい ○○ 」 

マーケティングの補足です。

カテゴリー順位の再定義をすると位置づけ、おもしろい捉え方だと私が思ったのは 「よい ○○ 」 を創り出すというものです。

例えば、「よいスマートフォン」 や 「よい洗剤」 などです。

これまでとは違った切り口での商品を訴求することによって、新しい使い方を提案します。そのカテゴリーでの視点を増やし、カテゴリー内の既存の 「秩序」 を新しくします。

秩序とは、カテゴリー内のニーズごとの順位です。

例えば洗濯洗剤であれば、汚れが落ちる度合い、香り、除菌、部屋干し可能、花粉等のアレルギー物質が付着しない、などです。

新しい切り口を提案し、何をもっての 「よい洗剤」 かの消費者の認識を変えます。マーケティング活動から、新しい秩序での上位を目指し消費者の購入確率を高めるのです。

ブランディングで思ったこと

本書での 「ブランドは意味である」 という捉え方は、私自身のブランドの定義と異なり、新しい気づきになりました。

私のブランドの定義は、消費者の好ましい感情が伴った商品やサービスです。

好ましい感情とは、好き・共感・満足感・誇り・憧れなどです。こうしたポジティブな感情があるほど、ブランドとして強い商品やサービスです。

ブランディングの定義は、消費者が商品・サービスに好ましい感情移入を起こす働きかけです。

私の考え方をブランドを式で表現すれば、「ブランド = 商品 + 感情」 となります。

ブランド定義書

ブランドのあるべき姿の指針となる 「ブランド定義書」 の考え方も、この本から興味深く読みました。

本書で解説されるブランド定義書は、以下の8つで構成されます。

ブランド定義書
・大義
・市場 / 競合
・ターゲット消費者
・ベネフィット
・エクイティ
・パーソナリティ
・アイコン
・機能 / 性能

それぞれについて、簡単にご説明します。

1. 大義
・ブランドが何のために存在しているかを示す
・実現したい世界観のビジョン、ブランドが担う使命であるミッション、尊重すべき行動様式や価値観のバリュー
・ブランド固有の役割 (Role) があれば、自社の他ブランドと連携しやすくなる
2. 市場 / 競合
・2つの視点で市場を設定する。製品カテゴリー市場とベネフィット市場
・ベネフィット市場とは一般的なカテゴリーではなく、消費者が何かをしたいと思った時に、頭の中で選択肢となる範囲
・例えば、万年筆を 「贈答市場」 とすれば競合は高級時計
3. ターゲット消費者
・消費者群を二段階で設定する。ブランドターゲットとプロモーションターゲット
・ブランドターゲットは中長期で関係を築いていきたい顧客
・プロモーションターゲットは、特定の施策や新商品導入時に限定的に訴求するグループ。ブランドターゲットの一部
4. ベネフィット
・消費者が購入するもの
・主語は消費者。ブランドが主語になる機能や性能と区別する
5. エクイティ
・ブランドが独占したい 「意味」 
・ベネフィットや機能と関連した内容になる
・ブランドの意味なので、主語はブランド
6. パーソナリティ
・ブランドの擬人化
・スポークスパーソンを設定するという方法で考えられたブランドの人格
7. アイコン
・記号や色、デザイン、ロゴなどの知覚できる特徴
・ブランドを長らく使ってきて、失うべきではないと判断されるもの
8. 機能 / 性能
・物理的な特徴。ベネフィットを提供し、エクイティ (ブランドの意味) を体現する性能
・主語はブランド。対してベネフィットは主語は消費者

以上のブランド定義書で重要だと思ったは、全ての要素での具体性と一貫性です。

8つの要素それぞれが具体的に言葉や図・イラスト等の視覚情報に落とし込まれており、矛盾がなく整合性が取れていることです。

まとめ

今回は、マーケティングプロフェッショナルの視点 という本から、マーケティングとブランディングについて書きました。

最後に今回の記事のまとめです。

この本は、マーケティングの考え方や方法について、著者の音部大輔氏の視点で書かれている。特に、自分の考え方との違いが興味深く読めた本。
マーケティングとブランディングの共通点は 「消費者の認識に作用し、購入などの消費者行動に必然性を提供する企業活動」 。
マーケティングとブランディングの違い
マーケティング:市場を創造する活動。マーケティング活動の結果としてニーズをつくる
ブランディング:意味をつくり確立する活動。ブランディング活動の結果としてベネフィットをつくる
ブランド定義書には8つの要素がある。全ての要素で具体性と一貫性が大事。

ブランド定義書
1. 大義
2. 市場 / 競合
3. ターゲット消費者
4. ベネフィット
5. エクイティ (ブランドの意味)
6. パーソナリティ
7. アイコン
8. 機能 / 性能


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