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サイゼリヤ直結のホテル MIMARU に学ぶ、アウトソースの成功法則

今回のテーマは 「アウトソース」 です。

アウトソースではどの業務を他社に任せ、どの業務は自社で行うべきなのでしょうか?

あるユニークなホテルの事例から、アウトソーシングの意義、依頼する判断の決め手を解説します。アウトソースを有効活用する方法をぜひ一緒に探っていきましょう。


サイゼリヤが直結するホテル MIMARU

出典: ITmedia

ご紹介したいのは、ホテルからイタリアンレストランのサイゼリヤが直結している MIMARU (みまる) というホテルです。

以下は関連記事からの引用です。

大手ファミレスチェーン 「サイゼリヤ」 と直結しているホテルがある。ホテルの受付は2階にあるのだが、すぐ隣に扉があり、宿泊者が気楽にサイゼを利用できるようになっているのだ。また、ホテルの1階にも階段があり、一般客も利用可能となっている。

(中略)

サイゼと直結しているのは、2022年6月にオープンした 「MIMARU (みまる) 東京 STATION EAST」 (東京都中央区) だ。

ITmedia 2023.4.29

サイゼリヤを直結させた狙いはどこにあるのでしょうか?

先ほどの関連記事から引用します。

ホテルを運営するコスモスホテルマネジメント (東京都港区) の広報担当者は、MIMARU のコンセプトについて 「広い客室とフロントというシンプルな運営サービスで提供する宿泊特化型のホテルであり、食事などは、街の中にある魅力的な飲食店を利用していただきます。また、食材を室内で調理するといったシーンも想定しています」 と説明する。

日本の都市型ホテルには2人タイプの部屋が多く、ファミリーが一緒の空間で楽しみにくいということが、同ホテル誕生の背景にあるという。

MIMARU は全客室にキッチンが付いており、調理器具や人数分の食器を用意している。また、ダイニングスペースも備わった広い客室で、大人数での中長期宿泊ニーズに対応しているのが特徴だ。

MIMARU 東京 STATION EAST の従業員によると、2階のロビーと直結していることもあり、宿泊者はサイゼを気軽に利用しているという。また、メニューをテークアウトして自室で食べるというシーンもよく見かけるそうだ。

MIMARU シリーズは宿泊特化型のホテルであり、食事は街中にある飲食店を利用してもらうことを想定している。同ホテルにはオーストラリアや米国からの旅行者も多いため、サイゼのテークアウト可能なピザなどが支持されている可能性もある。MIMARU シリーズの狙い通り、日本にある魅力的な飲食店が利用されている。

ITmedia 2023.4.29

学べること

では今回の事例から、学べることを掘り下げていきましょう。

サイゼリヤが直結するホテル 「MIMARU」 は、アウトソースという視点で学びが得られます。

アウトソースの意義

アウトソースとは、企業が業務プロセスの一部または全部を他の専門的な企業や個人に依頼することです。

アウトソースする狙いは大きく分けると2つあります。そもそも自分たちにはできないことをやってもらう、あるいは、自分たちにもできるが他社のほうが良くできるからです。

もう少し解像度を上げると以下の通りです。

✓ アウトソースから期待できること

  • 自分にはできないことを対応してもらう

  • 自分でもできるが、アウトソースすれば自分の時間ができ、他のことに使える

  • 自分でもできるが、アウトソースのほうが早く、安く済む (自分の人件費や経費に比べるとアウトソースしたほうが安い)

  • 自分でもできるが、アウトソースしたほうが品質の良いものができる

  • 自分でもできるが、アウトソースの相手のほうが多様な方法を持っており、柔軟な対応をしてくれる

アウトソースをする判断基準

アウトソースを決断するとは、長い目で見れば、依頼する領域での自社の能力について 「失っても問題ない」 という判断をすることを意味します。

これはつまり、逆に捉えれば以下に関してはアウトソースを控えるべきなのです。

✓ アウトソースをしてはいけないこと

  • 自分たちのコア領域 (専門性や強みになっていること) 

  • 今は上手くできなくても、これから注力すべきこと

  • 人から感謝され、信頼蓄積につながるもの

これらのいずれかが当てはまる場合、アウトソースをすれば一時的に楽になるかもしれませんが、中長期で見れば自分たちのビジネスやキャリアの根幹が揺らぎかねません。

トレードオフの視点

アウトソースはトレードオフの問題でもあります。何かをやらない代わりに自分は別のことができるという視点から、何をアウトソースをするかを決めることが重要です。

アウトソースを決断する前に問いかけるべきなのは、「やらないことによって得られるもの、失うものは何か」 という点です。目の前の短期的な時間軸ではなく、長い目でアウトソースによるトレードオフを考えるべきです。

MIMARU がサイゼへのアウトソースで期待できること

ではここまでの話を、「MIMARU 東京 STATION EAST」 の事例に当てはめてみましょう。

大手ファミレスチェーン 「サイゼリヤ」 がホテルから直結している MIMARU は、自社で飲食部門を運営することなくお客さんに飲食サービスを提供しています。

飲食提供の業務をサイゼリヤにアウトソースすることで、MIMARU はそれ以外の業務に注力することができます。単なるコスト削減だけでなく、ホテルの品質向上やお客さんへのサービス強化にもつながります。

アウトソースによって MIMARU が期待できることとして、

  • 自分でもできるが、アウトソースすれば自分の時間が節約され、他のことに使える

  • 自分でもできるが、アウトソースのほうが早く、安く済む

  • 自分でもできるが、アウトソースの相手のほうが多様な方法を持っており、柔軟な対応をしてくれる

が当てはまります。

アウトソースをしない領域

とはいえ、アウトソースを行う際には長い目で見て失っても問題ないかどうか、自社のビジネス活動の根幹に関わるかどうかを考慮しなければなりません。

アウトソースをしてはいけないのは以下の3つでした。

  • 自分たちのコア領域 (専門性や強みになっていること) 

  • 今は上手くできなくても、これから注力すべきこと

  • 人から感謝され、信頼蓄積につながるもの

MIMARU が宿泊客への飲食サービスをサイゼリヤにアウトソースしたことで、その代わりに注力したいことは以下が考えられます。

  • 自分たちのコア領域
    快適な宿泊環境の提供。アウトソースによって時間とリソースが生まれ、より高品質な宿泊特化型サービスを提供するための施設管理やサービス改善に集中できる

  • 今は上手くできなくても、これから注力すべきこと
    市場環境の変化やお客さんからの声・フィードバックをもとに、新たなサービスやアメニティを提供するなど、これからの成長や競争力向上につながる取り組みに注力する

  • 人から感謝され、信頼蓄積につながるもの
    宿泊者の滞在中のサポートやお客さんから問い合わせへの対応など、顧客満足度向上とリピート利用を促す施策に力を注ぐ


以上のように、飲食サービスをアウトソースすることで MIMARU は自分たちのやるべきことに集中し、お客さんに価値を提供できるのです。

まとめ

今回はサイゼリヤが直結しているホテル MIMARU を取り上げ、学べることを見てきました。

最後に学びのポイントをまとめておきます。

✓ アウトソースから期待できること

  • 自分にはできないことを対応してもらう

  • 自分でもできるが、アウトソースすれば自分の時間ができ、他のことに使える

  • 自分でもできるが、アウトソースのほうが早く、安く済む (自分の人件費や経費に比べるとアウトソースしたほうが安い)

  • 自分でもできるが、アウトソースしたほうが品質の良いものができる

  • 自分でもできるが、アウトソースの相手のほうが多様な方法を持っており、柔軟な対応をしてくれる


✓ アウトソースをしてはいけないこと

  • 自分たちのコア領域 (専門性や強みになっていること)

  • 今は上手くできなくても、これから注力すべきこと

  • 人から感謝され、信頼蓄積につながるもの

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