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日本電産流 V 字回復経営。経営と営業強化で企業を強い組織にする

日本電産流 V 字回復経営の教科書 という本から、組織として強い企業をどうつくり上げるかを書いています。

体系化されたノウハウ

本書を興味深く読めたのは、体系化されたノウハウでした。

本書のタイトルは「日本電産流 V 字回復経営の教科書」の通り、教科書と呼ぶのにふさわしい内容です。

なぜ、長年にわたって赤字体質だった企業を一年以内に黒字化できたのか、日本電産の強さの源は何かが、読んでいて見えてきます。

著者の実体験からのノウハウがここまで公開してもいいかと思うほど、惜しげもなく書かれています。

秀逸な分析手法

体系化されたノウハウのうち、多くのページを使って紹介されているのは営業力強化についてです。個人レベルではなく、組織としてどう営業を強化するかです。

営業の分析や計画で興味深かったのは、パレート分析をベースにした手法でした。

本書のパレート分析は、「80対20の法則」をもとに作られています。パレート分析で示されるグラフは棒グラフと折れ線グラフの複合グラフです。

例えば売上の数字を大きい順に並べた棒グラフと、売上の累積量の折れ線グラフを組み合わせます。上位の一部要素が全体にどのくらい貢献しているかをみる分析方法です。

本書でのパレート分析の使い方は、顧客を売上高の順番で並べ、上位の何社で総売上の何 % を占めているかを視覚化するためです。例えば、視覚的に上位20社で売上全体の 80% であることがわかります。

著者の工夫として興味深かったのは、パレート分析にもう1つデータを組み合わせていることです。具体的には、その顧客内の自社シェアがどれくらいか、あるいは、顧客が業界内でどの程度のシェアを取っているかです。

売上のパレート分析で自社の状況を把握し、顧客内の自社シェアや業界内の自社シェアから売上ポテンシャルを見極めることができます。本書では「二面パレート図」と呼ばれています。

経営変革を実現するフレーム

本書で紹介されるフレームの1つが、以下の3つを三位一体で経営することです。

経営変革を実現するフレーム
・経営者のリーダーシップとマネジメントスタイル
・組織カルチャー
・業務革新のメソッド

ポイントは、3つはこの順番で機能するということです。

強いリーダーシップが発揮され組織に影響を及ぼすと、カルチャーが醸成されます。組織内で共有されたカルチャーがあるからこそ、3つ目の業務革新のメソッドが生きます。

逆に言えば、メソッドだけを導入しても、メソッドの前提となっている受け皿となる組織の文化が成熟していなければ、逆効果にすらなります。

「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」

日本電産は三大精神を持っています。そのうちの1つが、「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」です。本書のキーワードです。

この言葉には、日本電産のカルチャーが込められています。

日本電産のカルチャー
すぐやる:スピード
必ずやる:必達 (未達を許さない)
出来るまでやる:徹底してやる、できるまでフォローを続ける

本書では日本電産の営業メソッドが紹介されています。

読んでいくと、メソッドには、スピード・必達・徹底とフォローの3つが深く入り込んでいることがわかります。3つのカルチャーがあってこその営業メソッドなのです。


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