心をくすぐり世の中を動かす共感 PR 。PR と消費者インサイトの共通点
共感 PR - 心をくすぐり世の中を動かす最強法則 という本から、共感される PR とは何か、どうやって PR をつくっていくかを書いています。
PR はいくらでもやり直しがきく
本書では、PR は、テレビなどのマス広告に比べると、やり直しができるアプローチだと説明されます。
大量の広告費を使ってテレビ CM を打つなどの規模の大きな宣伝をする場合、費用は数千万から何億円単位になります。マス広告は必要な広告費は膨大になるので、「絶対に失敗できない」やり方です。
PR は、リリースをメディアに送ってメディアに取り上げられなかったとしても、「訴えるポイントがズレているのではないか?」と仮説を立て、アピールすべきポイントを変えられます。
PR のメリットは、トライ & エラーです。メディアや社会や消費者を巻き込み、試行錯誤しながら一緒につくり上げることができます。
では、PR はどのようなことに気をつけてつくるとよいのでしょうか?
魅力的な PR の方法 (5つ)
ここからは、具体的な PR の方法をご紹介します。
魅力的な PR の方法
・PR の仕掛け方の全体像
・共感 PR をつくるための「8×3」フレーム
・魅力的な PR にするための「8つの視点」
・PR 情報が受け入れられるかを検証する「3つの視点」
・まず最初はとにかく量で攻める
以下、それぞれについての補足です。
[方法 1] PR の仕掛け方の全体像
本書で紹介される、PR のつくり方のプロセスです。
PR の仕掛け方の全体像
・現在の企業環境や、ビジョン、ミッション、事業課題などをヒアリングし、分析する
・PR したい商品やサービスの PR 戦略を練る (「8×3」の策定)
・実行
本書で詳しく書かれているのは、2つめに出てきた「8×3」のフレームについてです。
[方法 2] 共感 PR をつくるための「8×3」フレーム
以下は、「8×3」フレームの考え方です。
「8×3」フレーム
8: 自分たちが PR によって伝えたい情報を洗い出すために8つの視点で整理する
3: 消費者やメディアが知りたいかどうかを3つの視点で確認する
つまり、自分たち送り手が言いたいことと、受け手が知りたいことの2つを重ね、商品やサービスの PR 情報をつくります。
[方法 3] 魅力的な PR にするための「8つの視点」
「8×3」の8つの視点は次の通りです。
魅力的な PR にするための「8つの視点」
・新規性:そのサービスや商品にはナンバーワン、オンリーワンだと言える何かがありますか?それは、世界中や日本中、業界内で初めての試みですか?
・優位性:競合や既存のサービスと比べて、明らかに違っていたり、優れていることはなんですか?
・意外性:知人や顧客に話したら、「へぇ」と感心される、「ホントに!?」と驚かれた、「まさか!信じられない!冗談でしょ?」と笑われたことはありませんか?
・人間性:開発や販売などに深く関わる人や経営者のエピソード及びストーリーはありますか?
・社会性:世の中の流行やトレンドに重ね合わせ、人々の興味や関心を喚起できることはありますか?「社会ごと」に変えられるキーワードがありますか?
・貢献的意義:その商品やサービスによって、社会や世の中の問題解決に役立つことはありませんか?
・季節性:季節との関連性がある、または制定されている記念日や日にちの語呂などに掛けられるテーマはありませんか?
・地域性:その地域限定やエリアならではの特徴はありませんか?
自分たちが PR したい商品やサービスの特徴が、8つのうち、どれに該当するかを考えます。
著者の経験から、8つの順番は PR で強力な順になっています。1つめの「新規性」が最も威力があります。8つのうち、まず最初に新規性があるかを確認します。
なお、PR したい商品やサービスの特徴を、必ずしも8つ全てに当てはめる必要はありません。
[方法 4] PR 情報が受け入れられるかを検証する「3つの視点」
8つの視点で洗い出した強みが、受け手である消費者の立場に立ったときに、本当に求められているのかどうかを3つの視点で検証します。
情報が受け入れられるかの検証視点
・社会:社会が求めている情報か
・人 (ターゲット):ターゲットとなる消費者に本当にアピールできる情報か
・メディア:メディアが取り上げたくなるような情報か
「8×3」の「8つの視点」で、企業 (自社) の立場で PR 情報を洗い出します。「3」の消費者視点で PR 情報を客観的に確認します。この「3」のひと手間が、企業側のひとりよがりを防ぎます。結果として共感され、情報が広がりやすくなるのです。
[方法 5] まず最初はとにかく量で攻める
PR では、プレスリリースに伝えたい情報をまとめ、取り上げて欲しいメディアに送信します。プレスリリースは、その商品やサービスを全く知らない人に向けて、いかに興味を持ってもらうかです。
プレスリリースについて著者が強調するのは、「プレスリリースは送らなければ、メディアに紹介されることはない」ということです。行動しなければ、何も起こりません。
もちろん、闇雲に PR 情報をプレスリリースでメディアに送るのではなく、先ほどご紹介した「8×3」で、何をアピールするかを明確にします。
PR と消費者インサイトの共通点
本書で共感される PR のことを読みながら思ったのは、PR とマーケティングの消費者インサイトに共通点があります。
消費者インサイトとは、「人を動かす隠れた気持ち」です。
普段は本人も意識していませんが、気づかされれば関心を持ったり購入などの行動につながる、奥にある気持ちがインサイトです。
PR も同じです。
共感される PR とは、PR された情報を消費者が知れば、情報そのものに興味を持ち、誰か他の人に広めたいという行動に結びつくものです。インサイトのポイントである、「普段は隠れていること (訴求されるまでは本人も気づいていない) 」と、「人を動かすこと」が、PR にも当てはまります。
マーケティングコミュニケーションでは、インサイトを基点に、以下の4つを設計します。
マーケティングコミュニケーションの設計
・何のために (why)
・何を言うか (what)
・誰に言うか (who)
・どこでどのように波及させるか (where, how)
PR も同様です。2つめの what は「8×3」の8つの視点で洗い出します。3つめの who は、「8×3」の3で明確にします。
4つめの where と how は、PR 業界で言われる「情報連鎖」です。
情報連鎖とは、「伝えたい」「意見を述べたい」と思えるような情報をあらかじめ意図的につくり、PR という手法で仕掛け、ひとりでに広がっていくことです。1つの有力メディアや影響力のある人がそれを取り上げると、たちまち、他のメディアにも連鎖的に広がっていきます。
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