規則を入れることでスピードを上げる

Note投稿第2弾です。

前回の投稿にも反応をいただきとても嬉しく思います。
フットボールはカオスな側面を持ち、そこに文化を形成して価値観を共有し、一体感を持たせることが監督の仕事だというフレーズに共感をいただいたようです。


同じ浜松出身の佐藤さん。劇団四季でもご活躍されていたそうです。
ぜひ、お会いしたい方の一人。

フットボールにおけるスピードとは

さて、フットボールにおいてはスピードは超重要です。
日本にいる時はチームスポーツにおけるスピードに関する文献が見当たらない中で自分なりに色々と速さについて試行錯誤していて、自分の中で「3つの速さ(判断の速さ、テクニックアクションの正確さから産まれる速さ、走る速さ)」と題して、これらがサッカーには必要だと定義つけていました。

今では色々と勉強できる環境があるのでスピードとは?というものを理論的にある程度は理解することができましたが、チームスポーツである以上は集団でプレーのスピードをあげることがとても重要です。(でも、いつもいつも速いということがいい訳ではなく、時にはブレーキをかけることがスピードを上げることにも繋がるのがフットボールの面白いところ)。

その中でのパコ・セイルーロの考えるスピードの概念は非常に的確であります。

「FCバルセロナで最も素早い選手は、グァルディオラだ』と言ったら同意できるだろうか? 週一回行われるスピードに関する練習で最適解を見出すのは常にグァルディオラだった。5〜20メートルのダッシュ・止まる・動き出すという動作において。セルジはグァルディオラよりも速い。しかし、動き出す前の『予測を立てる』『次のアクションまでに味方のポジションを見る』『正しいポジションを取る』といった動作で最も速いのは、グァルディオラだ」 (パコ・セイルーロ)
『バルセロナフィジカルトレーニングメソッド』より抜粋

ではこの概念を踏まえながら、
チームでスピードを上げるということはどういうことなのか?
また、それはどうやったらできるのか?
格下が格上に勝つにはチームでのプレースピードの最適化はどうしたら良いのか?

今日、いよいよ日本代表がコロンビア戦を戦うわけですが格下の日本がどうやって世界レベルの格上の相手に勝利を見出すにあたりこのテーマは密接の関係があると私は考えています。

一つの鍵はベクトル(価値観)の共有とそれぞれ(各選手)のタスクのシンプル化だと私は考えます。

2017−18シーズン、私がエウロパユースAで過ごしたシーズンではリーグの中で比較的能力が高くない選手たちでプレーモデルとタスクをシンプル化して非常に簡単(選手にとって実行するのに負荷が低い)な戦い方を選択し、リーグ4位で昇格をするという結果を出すことができました。開幕前は残留争いをするチームと見られていた中でこの結果はサプライズだったと思います。

どういう方法で戦ったかというと、しっかり守ってカウンターで縦に速い攻撃を実行し、あとはゴール前での一工夫とセットプレーでゴールの可能性を見出すプレーモデルです。多分、見ている人からしたら「つまらないサッカー」に部類されるサッカーです(笑)

そして、チーム内ではどのようにしてそれを落とし込んだかというと、余計な横パスやバックパスを行う選手がいれば徹底的に「それは違う」と指摘し(価値観の訂正)、各選手のアクションのコーディネートも「背後へ」という部類のキーファクターを与えて徹底しました。その結果、各選手のプレーの選択肢が減ることで判断のスピードが上がりました。また、味方の選択肢が少なければ周辺の選手の予測も高まり、よりグループやチームのプレースピードは速いものとなったのです。

簡単に表現すれば、グループでプランニングされたものが理解されていればコーディネートや実行はより簡単(負荷が低い)になり、そのスピードは上がるということです。そして前回の記事の流れでいくと、大事なのはそこにはイメージを共有できる言葉が存在してアクションに規則性・再現性があるということです。再現性があれば、2回目・3回目のアクションは予測と共にプレーできますのでよりスピードは高まるでしょう。このようにして、チームプレーのスピードの向上は進んでいきます。

エウロパユースAの例では、このようにしてプレーモデルとその中の選手のタスクをシンプル化することで格上を倒すゲームを実現・再現化することに成功したと言えます(バルサにホームで1−0勝利、エスパニョールにアウェーで0−0、ジローナにホームで3−0、加えてリーグでの失点は32失点/34試合でリーグ最小失点)。

格下だからこそしっかりとチームに規則性(再現性)を落とし込むこと。それが今日のコロンビア戦におけるマネジメントのキー、強いてはこのショートタームでW杯を戦う上でのポイントだと私は見ています。状況は厳しいと見られていますが、大舞台での勝利は驚くほどの自信をチームと選手に与えます。

本当に不思議なことが起こってしまうくらい「自信」が与える影響は大きいです。しかし、自信を得るためには結果は大事。結果を得るためにはオペレーションが大事。良いオペレーションのためにはプランニングと規則性が大事です。

日本代表をそのような視点で見ながら応援したいと思います。


あと、もう一点!新書の告知です!

6月20日(地方によっては19日)に私の3冊目の書籍『サッカー 新しい守備の教科書』がカンゼンから発売となります。攻撃における規則性と再現性を行うためのサッカーの言語化と定義をまとめた一冊になります。
私の視点でのフットボールの見え方、理解の仕方、チームへの落とし込み方が記載されていますので、ワールドカップでのお供にぜひどうぞ!


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坪井健太郎

バルセロナ在住。サッカー指導者 CEエウロパユース(スペインユース1部)第二監督/プロ選手分析/プレサッカーチーム代表(スペイン起業)/オンラインC『サッカーの新しい研究所』運営/サッカー専門書「サッカーの新しい教科書」3冊執筆、バルサフィジカル理論1冊翻訳/静岡浜松出身
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