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味見をすると見えてくるもの

身内はいつも何かにハマっている。

みなさん、MLM企業ってご存知でしょうか。
マルチレベルマーケティングの略で、紹介者が紹介者を呼ぶ「多段階報酬システム」を利用する企業のことです。
いわゆる連鎖販売取引ですね。

日本ではマルチ商法と言われている、ねずみ講と類似したシステムのことです。
自分が紹介した友達(や身内、知人)が更に友達(や身内、知人)を紹介すると、売上げの一部をもらうことができます。

ここまで言うとみなさんも幾つかの企業を思い浮かべるでしょうか。
私の従姉はそのMLMにハマっておりました。(今もかな?)


社会人一年目が過ぎたころ、同じ市内に住む従姉(母の妹の娘)と会う機会がありました。
すごくいい化粧品があるから使ってみる?
そんな内容から始まった気がします。

私は中学校の頃からかなりの偏食であり小食であり、ご飯よりもアイスやお菓子を食べるような子供だったので肌は結構ボロボロ。
便秘もすごいし、気分も浮き沈みが激しく酷いものでした。


社会人になっても、どんな化粧品を使ってもニキビが出来るのでガッカリしていたところ、従姉からそんな話を受けたのです。(まずは食生活の見直しが必要だったのにその時は気付かず)

お試しで使わせてもらった化粧品、使ってみると確かになんだかしっくりくる。
従姉も、何故か一緒に来た従姉の友達(ここ怖いところね)もべらぼうに褒める。
「すごい! これ使ったら全然顔色変わったね!」
「肌がモチモチになってるじゃない!」
「なちこちゃん、化粧品はやっぱり良いもの使わなきゃ! もう社会人なんだし、これ使い続けたら絶対ニキビ無くなるよ!」

交互にまくしたてられ、まぁ身内(従姉)が言うことだし使ってみるか、とのことでその場で何かの契約書を書く。
紹介者は従姉の名前になっていた。

「買えば買うほどポイントがもらえるから、次に使えるしいいよ! どっちみち必要なものなんだから、買うときは一気に買うといいよ!」

その後、料理教室と称されるものにお呼ばれされ、「この洗剤は本当にすごいんだ!」と実践して見せたり。
「この鍋は本当に焦げ付かないんだ!」
「この鍋を使うならこの卓上のIHコンロいいよ!」
「このフードプロセッサーは本当に便利だよ!」
「やっぱり人間は水が大事! 浄水器付けた方がいい!」
「やっぱりサプリ! 体の中から健康に!」

するとその場に集まっている人たち、みんながみんな持っていたりその場で買ったりして。ほほぅ、そんなにすごいのかと私も流れで購入した。
総額、ひと月分の給料では当然足らなかった。

こうして書いていて思う。
冷静に考えると分相応ではなかった。
しかし身内のススメというのも大きな要因となった。私は存外、従姉のことを信頼していたらしい。


その内、従姉から「なちこちゃんも誰かに紹介したら? その子が何か買ったらなちこちゃんにもポイントつくよ?」とのこと。
なるほど、まぁ悪いものでもないし友達に一回聞いてみようかな?
そんな軽い気持ちでMちゃんに話してみた。


色々話した結果、Mちゃんの出した答えは「合う人には合うだろうね~」だった。
なんと中立な意見。
否定もされないが肯定もされないその答えが、私は妙に心に残ったをの覚えている。


それからしばらくの間は何やかんやと購入し続けていたが、やれカートリッジの交換が必要だ、次は新しい基礎化粧品が出たからこっちのほうがいい、新しい味が出たから試したらどうだと従姉からの「はい、どんどん買って~どんどん買って~」の連絡が絶えなかった。わんこそばのようだ。


物は確かにいい。
しかしお金は湯水のごとく使えるものではない。そのうえ私は社会人二年目だ。(その時にはもう三年目だったかも)


段々と「購入しなければ」という強迫観念のようなものに支配されていたように思う。
私が買わなければ従姉に迷惑がかかる(ポイントが付かなくて)とも思ってしまう。
すると当時彼氏であった旦那さんが「もうやめたら?」とあっさり言ってくれた。本当にあっさりと。

会員の更新をすることなく、そのままフェードアウトする。
従姉からの連絡には「ちょっとお金も無いし一回退会する」と伝えた。彼女はまた必要になれば声をかけてくれと言い、特にそれ以上は何もなかった。


あの化粧品を使わないからお肌がボロボロになるかも。
あの油を使わなかったら体に悪いかも。
あのサプリを……あの洗剤を……

やめてしばらくの間はそんなことが頭の中を駆け巡ったが、結局のところちょうど旦那さんがダイエットを始めてご飯の見直しもしたり、運動もしたりで逆に健康になり、肌もイイ感じになった。
その頃は基礎化粧品、「ちふれ」だった。とても安価なやつだ。


今回、ららみぃたんさんの企画で思い出したこと。
Mちゃんのいう「合う人には合うかもね」と否定も肯定もしない、ジャッジをしない中立な立ち位置にいた彼女。

言われた当時は「せっかく紹介しようと思ったのにな……」とちょっぴり残念な気持ちを抱いたのに、特にショックでもなく、逆に勧めようとした己の欲が見透かされたようで恥ずかしくもあり、その上その言葉が心に残っていたのはこの「一元観」な姿勢であったMちゃんが羨ましかったのではないか、と思う。


これは今に始まったことではない。
私の両親は宗教にハマっているからだ。


そちらに関してはまたいずれどこかで書くかもしれないけれど、俯瞰してみればなんら従姉のMLMと忖度ないように感じる。

私は両親にも従姉にも嫌気がさしていたし、「そういうのってどうなの?」と思うことが多々あった。軽く流してはいるけれど、実際心の内では理解できなかった。何故あんなにもハマってしまっているのかが。


しかし、Mちゃんの言う通りなのだ。
合う人には合うのだ。


買いたい人は買えばいい。やりたい人はやればいい。それだけのこと。
私が何に嫌悪感を抱くか、それを強要してくる姿勢が嫌なのだ。
これを相手に理解してもらえるかが肝だと感じている。


そんなカッコイイことを言いながら、私は今も友達やnoterさんがオススメするコスメや本、食べ物などに飛びついて購入している。


何事もまずは味見をしなければ、中立な意見を言えないもんねっ!(単なるミーハー)


いつもスキ、コメントありがとうございます✨ 次はバイエンススーツ第二弾を目指します🥰笑