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あいさつとは何か

「おはようございます」「こんにちは」など日常的に行う挨拶。
「しっかり、あいさつをしましょう」とはよく言われるが、それでも、あいさつをしない人は、その目的をよく理解していないか、その目的を拒絶しているかのどちらかなのかと思う。

そこで、改めてあいさつの目的や、意味について考えてみた。

状態確認

個人的に、挨拶とは、状態確認だと思っている。
まず自分が「こんにちは」もしくは"Bonjour"というと、返事が返ってくる。
相手の返答がおかしかったり、返事がない場合は、相手になんらかの不具合が生じていると認識する。

この時、はじめに強調したいのが、あいさつは、相手の反応を知る以前に、自分の状態を確認する役割もあるという点。
例えば、自分の中では、普段と変わらなくても、声を出して見ると、あれ?ちょっと声が風邪っぽいな、とか思ったりする事がある。


コンピューターの世界でも、通信を行う場合に、最初にあいさつを行う場合がある。
電子メールのプロトコルでいうHELOコマンドが例えばそれにあたる。
いきなり宛先にメッセージを送信するのではなく、受取手がデータを受け取る事が可能かを確認してから送るという仕組みになっているのだ。

それなら、あいさつは、メッセージを送信する時にだけ、行えばよいのではないか?
たしかに通信機器であれば、それもありかと思う。
しかし、人間の場合は、一方的に命令文を送信して、それで完了というというわけにはいかない事も多い。事前に相手の状況を把握しておくことで、相手に合わせた、分量や内容を準備しておくのも重要になる。

そのため、生活圏内で接する機会のある相手、特に、その頻度が高い相手に、あいさつをするというのが、一つのプロトコルとして、世界的にも利用されているのだと思う。

異常検知

状態確認と重複するが、あいさつには、異常検知という目的がある。
お店に入って、「いらっしゃいませ」と声をかけられるが、それは「ご用があったら、呼びかけていただければ、対応可能な存在ですよ」と示しているのに加え、「あなたの存在は把握してますから、商品とか盗んじゃいけませんよ」という役割も存在する。

また普段は、元気よく挨拶してくれる人が、今日は様子が変だとなれば、体調が悪いのかなとか、把握できる時もある。

コミュニケーション(通信・交流)

人里離れて、外界との接触もなく一人で生きているのであれば、挨拶は不要である。ただ、様々な人が、共同体として生活していく上で、安全の確認を行いつつ、コミュニケーションを図る上では、挨拶が重要となる。
共同体というのは、それぞれが協力し、役割を分担する事で、機能性を高める事を目的とした集まりだと思うが、協力や、分担というものを行うのにあたり、最初に行うのが挨拶。

興味深い話として、「コミュニケーション能力は高くないが、頻繁に挨拶した場合」と、「コミュニケーション能力が高いが、コミュニケーションの頻度が少いケース」とでは、その関係性において質より量が勝るという。

ということで、挨拶を増やすということは、通信の入り口が強化され、それにより、活発なコミュニケーション、ひいてはコミュニティの成長を促すという事になる。

知らない人と挨拶

買い物をする時以外として、知らない人と挨拶をする場面というと、山登りがある。(山登りしたことがない方のために補足すると、山登りでは、山道ですれちがう人に、適度に挨拶するのが、一般化している。)
これは、山登りを通じて、山を共有しているコミュニティとしてとらえると、そのコミュニティを健全に維持するために、有益な習慣だと思う。

例えば、挨拶ついでに、この先にちょっとした崖崩れがありますよといった情報をもらったり、場合によってはその後で、お世話になったりする事がないとも言い切れない。

もっとも、大勢が一斉に上り下りしているような、渋滞している山に関しては、一人一人に挨拶する必要はないと思うが、「なにかを複数の人が共有して利用する」という時、ある程度のルールが必要になり、それを円滑に運用するために挨拶が自然と発生するのかもしれない。

挨拶禁止

少し以前になるが、「マンション内での挨拶禁止」をルールにしたマンションの話題があった。
これは、本来挨拶がどうこうというよりは、知らない人が、知らないまま住み、安全性より匿名性のほうが重視される、アノニマスな住居で暮らしているという、現代社会の闇に問題があるのかもしれない。

子供への注意喚起として言うなら、「知らない人からあいさつされたら逃げる」は間違いで、「知らない人から声をかけられたら要注意」と「挨拶で異常を察知する」の違いと活用を身につけるべきだと私は思う。


とまあ、話は長くなりましたが、私が思うに、挨拶というのは、コミュニティ健全化のために導入されている仕組みであり、そこ(コミュニティ)に参加するからには、明るく元気よく応対(挨拶)する事を心がけたいと思うわけです。

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